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星降る夜の約束  作者: 九条
第1章 星の本との出会い
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第2話 夢の中の出会い

その夜、佐藤花さとう はなは夕食を終えた後、自室に戻り、ベッドに横たわった。手には古びた本『星の導き』を持っていた。古い紙の香りが心を落ち着かせる。


「星の力を借りて願いを叶える方法か…。本当にそんなことができるのかな。」


花は本を胸に抱きながら、いつの間にか眠りに落ちていった。


---


「ここは…どこだろう?」


花は気がつくと、広大な星空の下に立っていた。夜空は無数の星々で満ちており、まるで宝石箱をひっくり返したように輝いている。


「こんなに星が綺麗に見える場所、現実にはないよね…。」


その時、ふと後ろから優しい声が聞こえた。


「君が花だね?」


花は驚いて振り返ると、そこには美しい青年が立っていた。彼の髪は銀色に輝き、目は夜空のように深い青色だった。


「あなたは誰ですか?」


「僕は星夜。星の精霊だ。君の願いを叶えるためにここにいる。」


「星夜…?星の精霊?そんなの信じられない。でも、どうして私の名前を知ってるの?」


星夜は微笑みながら答えた。「君が『星の導き』を読んだからだよ。その本には、星の力を借りて願いを叶える方法が書かれている。君の心の中の願いが僕をここに呼んだんだ。」


「心の中の願い…?私にはそんな願いがあるのかな…。」


「もちろんあるよ。君が両親を亡くして以来、ずっと心の奥底に秘めてきた願い。君の強い思いが僕に届いたんだ。」


花は自分の心に手を当て、静かに目を閉じた。「確かに、私はずっと何かを求めていた気がする。でも、それが何なのかはっきりとはわからない…。」


星夜は優しく花の肩に手を置いた。「大丈夫。僕が君の心の声を聞いて、その願いを見つける手伝いをするよ。星の力を借りて、一緒にその願いを叶えよう。」


「本当にそんなことができるの…?」


「できるよ、花。君が信じれば、星の力は君を助けてくれる。」


花は星夜の言葉に少しずつ希望を感じ始めた。「じゃあ、どうすればいいの?」


「まずは、君が本当に何を願っているのかを知ることだ。そのために、君自身の心と向き合わなければならない。」


花は深く息を吸い込み、決意を固めた。「わかった。私、やってみる。」


「その意気だよ、花。さあ、まずは君の心の中の旅を始めよう。」


---


突然、辺りの景色が変わり、花は自分の幼い頃の記憶の中に立っていた。そこには、まだ元気だった両親と過ごした幸せな日々が映し出されていた。


「お母さん、お父さん…。」


花は涙を浮かべながら、懐かしい風景を見つめた。星夜がそっと寄り添い、花に語りかける。


「君の心の中には、失った家族との思い出がたくさんある。君の願いは、きっとその思い出と繋がっている。」


「私、ずっと一人で寂しかった…。でも、祖母や友達に支えられて、何とかやってきた。でも、本当に願っていることは何なのか、まだわからない。」


「大丈夫だよ、花。この旅を通じて、君は自分の本当の願いを見つけることができる。そして、その願いを叶えるために、僕が君と共にいる。」


花は星夜の言葉に力をもらい、再び決意を新たにした。「ありがとう、星夜。私、もう一度頑張ってみる。」


星夜は優しく微笑み、「それでいい。君が信じる限り、星の力は君を導いてくれる。」と応えた。


---


その瞬間、花は目を覚ました。自分の部屋に戻ってきていることに気づき、夢だったのかと一瞬思ったが、心には確かに星夜との出会いの記憶が残っていた。


「夢じゃなかったんだ…。星夜、本当にありがとう。」


花は『星の導き』を抱きしめながら、心の中で新たな希望を感じた。そして、これから始まる冒険に向けての準備を心に誓ったのだった。

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