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第35章 全部入り

「……どこから聞いていると?」

「だいたい最初からね」

王女は、申し訳なさそうな顔のまま、金内に話す。

俺はまったく気づかなかった。

気配すら分からないほどだったのに、金内ははっきりと分かっていたのだろう。

そのことが分かると、背筋がスッと冷えた。

「怖いのは分かります、先輩」

その気持ちも見透かされたのか、金内が俺に話しかけてくる。

「ああ、怖いな。心のうちまで見通してしまうっていうのは」

でも、だから俺の本心が直接伝えられる。

俺はそうポジティブに理解する。

それは、俺が金内が好きだと言うことを、そのまま伝えることができるということだ。

「……ですよね」

「どうしたんだ」

王女と皇女は、ベッドに座った。

と言っても、皇女は眠ったままだったので、ベッドに優しく寝かされた。

「私を好きだってこと、ですよね」

「そうだな」

間違いなく、それは言うことができる。

心からの愛を言うことができる。

「好きだよ、誰の眼の前でも言うよ」

俺は王女がこちらにニヤつきつつ見ているのを無視して、金内へと語りかける。

「まさしく、言ってるしねぇ」

王女は思わず言ってしまったようだ。

だが、俺は気にせずに、金内を抱き寄せる。

「……感じるかい」

「感じる。感情の洪水を。全部、全部感じる」

泣き出しそうな、嬉しくて泣いてしまいそうな金内をしっかりと抱きしめる。

腕の中で、金内は涙を流していた。

嬉しくて。


それから、俺たちは高校を卒業してから結婚した。

王女と皇女は、相変わらず居候を続けている。

世間では、徐々に宇宙人の話が増え始めてきた。

ニュースでもUFOを見たとか、異星人の話が真剣に語られ始めている。

金内の力は、消えることなく、ドンドンと力を増し続けている。

すでにある瞬発力や持久力はもちろん、それ以外にも透視や清掃といった力も身につけている。

彼女が、俺と歩んでいく道は、とても険しいものだ。

だが、だからこそ、金内と一緒に俺は歩いていきたい。

険しい道の道しるべとして。

互いが人生を照らす灯台として。

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