第27章 短期留学
次の月曜日。
小母さんによって根回しが済んでいて、すぐに王女は学校へ入ることができた。
形式上は、短期留学という扱いになっていたが、どこから来たかということについては、欧米の方からとしかいわれていない。
俺や金内と王女の関係は、親同士が友人だということになった。
小母さんが何をしたのかは、さっぱりわからなかったが、別に知る必要もないだろうし、俺は何も聞かなかった。
「そういうことで、今日からお世話になります、イルネス・ケーサカムバリン・リゾーマタです。よろしくお願いします」
今日のために、日本語を一通りマスターした王女は、何も装置が付いていない金内の友人たちと仲良くしたそうだ。
その話は、金内から聞いた。
どうやら、小母さんによって金内と同じクラスに入ることができたそうだ。
「短期留学と言っても、どれくらいの期間になるんだろうな」
「地球時間で、1か月ぐらいかな」
一緒に帰る道すがら、王女の話を聞いた。
「そういえば、皇女はどうしたの」
「俺の親と一緒に家にいるよ。何事もないさ」
俺は王女からの質問に答えた。
「そ、なら大丈夫ね」
安心したように、王女は俺に答えた。
金内の家に王女は泊ることになっているため、俺は金内の家の前で、2人と別れた。
「それじゃ、また明日な」
「また明日です」
金内が簡単に答える傍らで、王女が手を振ってくれている。
俺はそれを一瞬だけ見て、それから俺の家へと戻った。