第26章 庭
どうにか金内が小母さんと和解して、庭で水やりをしている王女のもとへと、俺たちは出向いた。
「おはよう」
金内が王女に声をかけると、水巻をしている手を止めて、俺たちへと向き直った。
「おはよう」
王女がにこやかに返してくる。
「なんだか、楽しそうね」
「水やりって、したことが無くてね」
「まあ、王侯貴族ってそんなイメージがあるな」
俺が、王女が手にしているホースの根元にある蛇口の水を止める。
「そういや、会議はどうなったんだ」
「ああ、それについて話そうと思ってたところ」
ホースを巻きながら、王女が俺たちに話してくれた。
「会議場が破壊されて復旧に時間がかかりそうだからっていうことで、無期限延期だって。決まったら連絡あるそうだから、それまで待機ってところ」
「じゃあ、学校行く?」
金内が、片づけを終えた王女に、提案してみた。
「いいのかな」
「私も1週間近く行ってないし、行かないと授業について行けなくなっちゃうし」
金内が言いながら、俺も考えていた。
「確かにそうだよな……」
俺が独り言を言うと、すぐに王女が聞いてきた。
「でも、行っても大丈夫なのかな…」
「大丈夫。外国からの友達っていうことで紹介するから。問題は、先生が許してくれるかってことだけど……」
それについては、俺もどうしようもない。
「その点なら大丈夫よ」
その時出てきたのは、小母さんだった。
「どうして、お母さん」
「学校側には私から話しておくから。彼らには、ちょっとした貸しもあるからね」
そう言った小母さんは、ニヤッと笑っていた。