表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/35

第25章 部屋の中

「どうしたんだ」

「先輩…」

部屋に入ると、金内は泣いていた。

「どうしたんだ」

俺は部屋に入り、金内を見ながら、後ろ手にしてドアをゆっくりと閉める。

「私が、人じゃないと聞いても、先輩は、優しくしてくれた。それが嬉しくて……」

「言ってるだろ。俺は金内が好きになったんだから、それがどんな金内だって受け入れてやるって」

「言いましたけど…」

「だろ、俺は嘘付いたことあるか?」

「…いっぱい?」

「ないだろ」

俺は金内が座っている椅子の前にあるベッドへ腰かける。

冷たいベッドだ。

「別にさ、金内はそのままでいいんだよ」

うつむいている金内に、俺は言葉をかける。

「俺はそんな金内に恋したんだから」

立ちあがって、金内を椅子ごと抱きしめる。

何も言わずに、金内は静かに俺の腕の中で泣き続けていた。


「…大丈夫、もう大丈夫ですから」

「そっか」

それを聞いて、やっと放す。

金内が自身で顔を拭って、俺に元気な、いつもの顔を向けた。

「ええ、大丈夫です。私は、もう迷いません」

「それでこそ、いつもの金内だよ」

やっといつも通りになって、俺は安心した。

「それで、王女はどこ行ったんだい」

「庭で、草木に水やり中。初めてだから、楽しそうにしてますよ」

ほらと言われて、窓から外を見ると、緑色のホースを持ちながら、楽しげに水をまいている王女の姿が見えた。

「…確かに楽しそうだ」

俺はそう言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ