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第17章 2階部分に潜む敵

2階は1階と違って人質も敵兵もいなかった。

「…誰もいない?」

量子ビーム銃を構えながら、金内が階段から廊下をのぞく。

「制圧が完了するまでは気を抜くなよ。わかってるとは思うけど」

俺は金内に話す。

「もちろん、先輩」

そういいながらも、金内は廊下を右左と見回して、誰もいないことを確認していた。

「行きます」

いうと、すぐに飛び出す。

初めに左、すぐに右へ向き直って、銃口を天井に向ける。

「廊下には誰もいない」

「順々に部屋を」

そこに、味方の兵士が追いついた。

「援護します」

「わかった、では、金内の指示に従って」

王女は金内を指さして、駆け付けた5人の兵士に指示を出す。

「了解」

金内はすぐに5人を引き入れて、次々と部屋を見ていった。


10分もかからず、残るは玉座の間と言われている、王が通常謁見する部屋だった。

「ここは、あまり大きくないの。だから、誰かいるとすれば、すぐに会敵することになるわ」

王女が金内に伝える。

金内はそれを聞いて、5人の兵士を、左に2人、右に3人と分け、一つしかない扉の両脇に配置した。

「私が突入と同時に、あなたたちが扉を破ってください。それから、中へ入ります」

左側の3人に言うと、数秒間があった。

「行くよ、用意は」

俺たちを見ていった。

「いつでも」

銃を抱え、俺は彼らが突入するのを待った。


深い深呼吸をしてから、金内が叫ぶ。

「突入!」

銃を片手に、扉の鍵の部分を発破する。

破片が地面に落ちる前に、金内が扉にするどいけりを入れ、そのまま、扉は室内へ折れて飛んで行った。

「国王軍だ!手を挙げろ!」

兵士が金内のすぐ後ろから叫びながら部屋の中に突入をする。

「…待っていたよ」

そういって、室内にいた人はこちらをゆっくりと振り返る。

スーツ姿で、何か本を手に持っている。

「いま、準備がちょうど終わったところだよ。さあ、君たちおいで」

兵士が、彼の手招きに合わせるように、一歩ずつ近づいていく。

「やめろ!」

金内が叫び、持っていた銃を、まるでナイフのように彼の手首を切り落とした。

「いつの間にこちらに…」

その彼は、はっとした顔を浮かべたと同時に、金内から3mは飛びのいた。

「そうか、交野愛の娘さんか」

「お母さんを知ってるの?!」

「ついさっき、会ってきたばかりだからね。なるほど、だったらこれらの力も説明がつくか…」

そういって、落ちている手首を、血が滴っている腕にそのままつける。

「"神よ、我が神よ。我に力を"」

そういって、手首と腕の境目を反対側の人差し指でなぞる。

境目は赤い筋となり、そして、すぐにその線も消えた。

「さて、これで元通りかな」

「…あんた、何者」

金内は、銃口を彼に向け、いつでも打てるように引き金に人差し指をかけながら聞いた。

後ろにいた兵士たちも同じ格好をしている。

「…宇宙革命軍統帥アルカディア・フローリク。宇宙革命軍が有する最強の戦力よ」

王女が、静かに答える。

「お褒めに預かり光栄ですね、女王様」

「ねえ、知ってるの」

金内が王女へ聞く。

「宇宙革命軍は、そもそも知り合いが多いのよ。そのうちの一人が、デルタ・カメル。創始者ね。その息子の名前が、アルカディア・フローリク。父親殺しのフローリク」

フローリクは、その説明に拍手を送っている。

「まるで教科書のような説明だね。恐れ入ったよ。でも、その説明は一つ間違いがある。僕は父親を殺してない。殺したのは、養父だよ」

「養父を殺したっていうこと…?」

金内は、狙いを常に外さないようにしながら、その話を聞いた。

「まずは、養父が僕の実の父親を殺した。それを見た僕は、落ちていたナイフを取り、養父の腹を深々と刺した。そう、僕が人を殺した最初だよ。だから、いうならば養父殺しのフローリクだね」

にこやかに言い切った。

「…それでも、私の敵であることは間違いない。今は目の前に集中するだけ」

金内がそう言うと、ゆっくりと細く息を吐いた。

近くの兵士に、それから何かを言って、10cmほどのナイフを借りた。

「覚悟を」

その声は、部屋の中で静かに響いた。

「そちらこそ」

片側の唇を歪め、フローリクはわらった。

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