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イジメ10才のボクは天をあおぎ戦った

作者: ふるけい
掲載日:2023/02/09

 生きていたら 人間関係のイザコザがありますね。

 これは10才の頃のイジめの話です。




父親は こう言った。


「イジめられるなんて恥ずかしい、ほとんどの子はイジめられ

てないんだろ?」

「なんでお前なんだ? バカにされてんだな」


  母は、 


「吐いてないで ご飯を食べて学校へさっさと行きなさい、

 気にするからダメなんだよ」


 食べものを吐いている僕を 半べその僕を親は更に痛めつけた。


「お前はバカだから せめて学校は休むな、皆勤しか取り柄

がないからな」


 自分たちは、やられてもやりかえすな、やりかえしたら

相手と同じになる、と つまらない教育をしたものだ。


 バカバカしい。


 サイコパスだったらよかった。

上履きに 針をしこんでやればよかった。

丑三つ時に 藁人形に呪いをかけてやればよかった。


 それをやれば お前も悪魔になるぞ……空耳のような

 呪縛で イジめられ続けた。

 ボクの防御本能である反逆という牙を親がやすやすと抜いて

 しまっていた。

 攻撃は最大の防御のはずだった。


 ボクは頼りにならない天使より助けてくれる悪魔のほうがいい。

 

 先生は たぶんイジめを知っていたと思うが 自分のクラスで

 イジめが起きていることを信じたくないようだった。

 教師としての点数が下がるもんね。


 大人はわかってくれない。


 このまま生きていても太陽のでない涙空が続くだけだ。


 ボクは雨が降る寒い午後に 死ぬことを考えた。

 ベット柵にヒモでもかけるか?

 ボクが死んだら親は後悔するかな、 ふっ。笑えた。


 しばらく ヒモをかける練習をしながら、死ぬのは難しそうだ。 

 失敗したら今の地獄がさらにヒドくなりそうで怖かった。

 

 それより、なぜボクだけが死ななくちゃいけないんだ?と

 腹が立ってきた。

 

 そして なぜイジめるんだ? なぜ生け贄がボクなんだ? 


 どうしても解明したかった。


 自分を助けられるのは自分だけだ。


 ボクは イジめっ子ふたりの身辺を探ることにした。


 泉君のあとを こっそりつけていく。 

 八百屋さんだった。 

 

 ボクはそのお母さんにイジめのことを話した。


 ふくよかなお母さんが、


「こんな忙しい毎日だからね、息子のこと構ってやれなくてね。

 ごめんね これあげる」


 リンゴを2個手渡してくれた。


 家は アレだもんなぁ~

 ぐーたらな母さんだけど、学校から帰ると おかえり、

 と カジりかけのかりんとうとか、

 たまに作ったマズいプリンとか出してくれたしな。


 泉君は、帰ってもオヤツなんてなかったのかもな。


ねぇねぇ 聞いて! と話す相手がいなかったのか……


 オレを構え! オレを構え! と泉君の叫び声が聞こえたよう

 な気がした。


 もうひとりの 青田君の後もつけた。


 ボクは何が何でも イジめの正体を知りたかった。


 青田君は東北訛りの小柄な子で泉君の子分だった。

 東北から関東へ引っ越してきた。


 そろそろと後をつけていくと、なにやら冷蔵庫を大きくした

 ような白いドームのような家が10軒ばかり

 建つ中の1軒が 青田君の家だった。


 内心 なんだ、この家?と思った。


 ぼんやり見ていたら、青田君に見つかってしまった。


 いつも意地悪な青田君が 妙に大人しく 


「きたの?」と聞いてきた。


「うん 青田君 ここに住んでいるの?」


「そうだよ これあげる」 とガムをくれた。


 そのあとドームの家に戻っていった、狭い部屋に妹や弟が

 何人かいるようだった。


 青田君も 苦労しているなと思った。

 東北から関東へきたのも環境の違いに戸惑っただろう

 ストレスだっただろうと少し気の毒に思えた。

 泉君の子分をやっているのもイジめられない

 ためかもしれない。


 ボクは 変だけど彼らにイジめられてあげようと思った。

 

 その日を境に ボクは食事を吐くことがなくなり

 10円ハゲも少しずつ良くなっていった。


 イジめは 卑怯者のすることだけど、イジめるほう

 がより不幸だった…… なんてこともあるんだ……

 

 ボクなりの結論だった。


 学君とボクは家が近所というだけで友達になった。

何でもよくデキる学君とイジめられっ子のボクとでは

釣り合わない縁ではあったけど、なぜか気が合って

よく一緒にいた。


たまに イジめっ子を撃退してくれたりした。


 学君に なんでボクはイジめられるんだろうね?

と尋ねると 学君は少し戸惑った様子で、


 これは 僕の想像だけどね。


「たぶん 泉君は、君のことがスキなんだと思う」


 ボクはマトリックスのように 仰け反った。


 言葉がでなかった。考えたこともなかった。


ボクは てっきり 

(もう少し成績を上げたらイジめられなくなるんじゃないか)

の答えを予想していた。


学君は なんて良い子だろう、ボクに配慮して

傷つかない答えを用意していたなんて。


「学君の気持ちはうれしいけど それはないよ。

スキな人をイジめて苦しめるなんて理解できないよ」


 学君は いたずらっぽく薄く笑って


 じゃあね 教室で大きな声で こう言いなよ。


「これから ボクをイジめる人は、ボクのことがスキ

だということになるよ」


 こう言ってみなよ。


 ボクは 学君の言うとおりに 大きな声で叫んだ。


「ボクをイジめる人は、ボクのことをスキなんだよ、

 そういうことになるんだよ!」


 教室に微妙な空気が漂い シーンとした。


 それ以来 涙空の人生は曇天に変化した。


 学君は やはり天才だ。


 人によって窮地に追い込まれ人によって救われる。


 すべて人なんだな。


 ボクは 天を仰いで、少し笑った。





















 イジめは永遠になくならないと思いますが、稀に

 耐えて明るくしていたら イジめの張本人と仲良く

 なって助けてもらえたなんてこともありました。

 本人も イジめて ごめんね、と内心

 思っていたのでしょうかね。


 お読みくださり ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] すごーい! イジメに対してのこんな解決の仕方、初めて知りました! 学君凄い! そして、それを素直に受け入れて、大勢の前で実行できるふるけいサマもすごーい! 私はイジメられても、しばらく…
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