表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

やわらかくなった

「ご主人様。キッチンにある材料で、できるものを作りました。先程は、変なことを口走ってしまい、申し訳ありません。」


さっきのは私のキャラじゃない。ほんとに恥ずかしかった。ご主人様はああいうのが好きなのだと思って被っていたのに、あんなことを言われるなんて。いじわるだ。ご主人様の新しい一面、私が照れていると、いじめてくる。要注意っと。まあ、嫌いじゃ...ないけど。


「あれ?寝てる?」

ご飯も冷めてしまうし、さっきの仕返しだ、起こしてしまおう。


「ご主人様!ご飯が冷めてしまいます。起きてください。」

「は!寝てない寝てない。寝てないようん。」

「ああ〜よだれが、」

「え、嘘!」

口を慌てて拭く。

「ついてないですね。」

「おい!なんだよそれ。」

「ふふふ。さっきの仕返しです。どうぞ。」

根に持ってたのか。なんというか、だいぶ柔らかくなってないか?嬉しいし、楽しいな。うんいい。


「美味しい。臭みが全然ないし、肉が柔らかくなってる。」

調味料が少ないから、俺が作るやつより物足りないんだけど、調理技術的には、俺より高いな。妬けるわあ。


「ありがとうございます。ご主人様。手によりをかけたんです。」


「ありがとう。美味しい。」


「そうだ、言い忘れたことがあるんだ。その、俺はミュラを責めるつもりもないし、全面的に俺が悪いんだけど、寒くなったこの季節に冷や水を被るなんて、自分の体を大切にしないことやめてほしい。」


「承知いたしました。気をつけます。体の方、労っていただきありがとうございます。」


さっきとは違いずいぶん真面目な雰囲気になってしまった。こういうのはなしだな。


「おほん、今日の予定どうしようか?必要なもの買いに行くのは確定なんだけど。」

「依頼を受けて帰ってくるには、時間がありませんので、今日は依頼を受けられませんね。お昼を外で食べるにしても家で作るにしても、昼までには家を出ないといけませんね。」

「いやあ、午前中に動きたくないなあ。」

「では午後からにしますか。お昼はどうしますか?」

「その時になったら決めるぅ〜」

(もう、ご主人様は)

「はあ。」

でかいため息つかれた。いやごめんて、行き当たりバッタリやねん。


「では午前中どうなされますか?」

「どうしたらいい?」

いや、は?って顔しないでよ。俺自分で考えたくないんだって。


「そうですね。午後には生活必需品と、防具を買う予定なので、お互いの連携や戦闘スタイルを詰めればいいと思います。あの、服を着替えるお時間を少しいただければ...」

可愛いな。うん。


「いや可愛いし、そのままでいいんじゃない?」


「なっからかわないでください!」


「からかってないよ別に。可愛いよほんと。でも着替えるって言ったって、なにに着替えるの?服乾いてないと思うよ?俺が干してはいるけど。」


「あ、そういえば...」


「ミュラって案外抜けてるんだねえ。」

ニマァ


「ご主人様に言われたくない!」


「え?」

何?今の?


「失礼しました。口が滑ってしまいました。すみません。」

(すぐ人をからかってバカにするのは良くないと思う!)


「あ、いや別にいいよ。こっちこそごめんね?」

(まあわかればいいんです。)


1日目にして、相当溜め込んでるみたいだ。俺がご主人様なのが申し訳ない。


「では、気を取り直して、戦闘の話をしましょうか。紙とペンをいただけませんか?」

「あ、はい。」

ミュラが紙に何かを書き始める。字が丸っこくて可愛い。


「これが現時点での私のステータスです。昨日教会の鑑定石で、確認しました。」



―――――――――――――


ミュラ18歳 lv.25

弓使い

HP 600

MP 327

STR 459

ATK 528

DEF 427

RES 278

DEX 867

AGL 729

スキル

【弓術Ⅳ】【遠距離攻撃Ⅲ】【脚力Ⅰ】【剣術Ⅰ】【狙撃Ⅱ】【隠密Ⅲ】


―――――――――――――

うわぁ殴り合いしたら俺負けるじゃん。殴り合いならなら余裕で底辺な俺。あれ?魔法スキルがないな。

「魔法使わないの?」


「一応火属性に適正はあるので、火球ぐらいの詠唱は覚えていますよ。魔法は主に使いません。ジョブの通り主に弓を使います。防具は軽めの方が、いいですね。」


ふーん俺の見てるステータスとたぶん表記が違うんだな、鑑定石での結果は。ステータスって念じて出てくるステータスと鑑定で出てくるステータスは違うってことだと思う。やってみるか。


「ご主人様の戦闘スタイルは?」


「ん?あ〜えーと魔法と飛び道具?かな。」


「なるほど魔法ですか。属性はなんですか?」

そこ言わねえとダメだろって顔しないで。


「闇だよ」


「馬鹿にしないでください。ご主人様。今日のご主人様は私のことを馬鹿にしすぎです!怒りますよ」


「だいたい闇なんて、詠唱も魔法陣も複雑で、まともに使える人いないじゃないですか。使ったとしても、小さい暗闇ができるぐらいですよね?」

おい暗闇先生を馬鹿にするなよ。お世話になってんだから。


「人間が実用化に成功した闇魔法なんて、奴隷化の魔法と魔封じの手錠だけですよ?それでどうやって戦うんですか?」

ちょっちょっと。


「そりゃ闇適正のある魔法使いはいますよ?でも闇魔法が使える魔法使いはいません。何か言いたいことはありますか?」


「熱くなりすぎだよ。ミュラ、落ち着いて。ちゃんと闇魔法使えるから。」


「まだ言うんですか?」


「ほい。」

小さく暗闇先生発動。

ミュラは空いた口が塞がらない様子だ。


「え、詠唱はどうしたんですか?」


固有スキル(ユニークスキル)みたいなもんだよ。詠唱要らないんだ。だから使えるんだよ。」

あぶねえ。無詠唱で魔法が使える魔法使いはいなかったな。魔法スキルの説明なんてできないし、今のところはこの説明で我慢してもらおう。


「それを先に言っていただければ、その先程はすみません。」


「いいよ。ミュラの新しい一面を知ることができたからね。」


(は、恥ずかしい。)


「そ、それにしても闇魔法が使えるというのは、どういう戦術を使えばいいのかわかりませんね!試行錯誤していきましょう!」


「テンション変だよ?」


「うぅ」

(ここに来てからどんどん私が失われていく気がする。)


「じゃあ俺のステータスも見せておくよ。」


「ご主人様のステータスは見せなくてもいいですよ?その、私なんかに見せる必要はありません。」


「ちょっと何を言ってるのかわからないんだけど。生存率的観点からも情報共有は必要なんじゃない?」


「それは、そうですが...。」


「私なんかって卑屈になる必要はないよ。俺がミュラごときがなんて思うわけないでしょ?」


「そ、そういうわけにも、私は奴隷ですし。」


「まあそれもそうだね。やりやすい生き方でいいよ。でも俺は、私なんかって言われても嬉しくないから。」

さっきまでの豊かな表情は消えていた。

(この人には敵わないな。)


「本当にいいんですか?やりやすい生き方で。ご主人様は私のこと嫌いになるかもしれませんよ?」


「今日結構、素が出てたと思うけど。あれぐらいなら、愛嬌だよ。」


「いいご主人様に買われましたね私は。」


「ああ、そうだともそうだとも。」


「ふふ、なんですかそれ。」


「これから楽しくなりそうだなと思って。」


「早くステータス教えてください。遅いです。」


「はいただいま。」

えーとさっきの話だと、ステータスって念じる時と鑑定では表れるステータスの表記が違うんだよな。さっきできなかったし、試しに自分を鑑定してみよう。


ガチッ

―――――――――――――


九条勇輝 21歳 lv.18

生きとし生けるものの理を超越せし『死』の魔導師

HP 220

MP 88000

STR 220

ATK 220 

DEF 220

RES 88000

DEX 220

AGL 220

スキル

【鑑定眼lv∞】【アイテムボックスlv2/lv2】【言語理解】【付与】 【念じた地球産の物をその物に応じたMPと引き換えにお取り寄せできるスキル】【詠唱破棄】【脚力Ⅰ】【銃技Ⅰ】【狙撃Ⅰ】【遠距離攻撃Ⅰ】

状態

特記事項なし

称号

【女神の加護:不老不死】

―――――――――――――


おお!やっぱり表記が違う!何気に人に初めて鑑定を使ったんだなぁ。俺の善人レベルがカンストしてるわ。清い行いが人を形作るんだよ。


まあそりゃ他の人に魔法スキルなんてあるわけないか。


スキルも増えてるし俺順調だなあ!はは、はは。


いや触れるしかないよね?ジョブ、生きとし生けるものの理を超越せし『死』の魔導師って、もう厨二やんってツッコミじゃ足りないよぉ。頭痛くなってきた。女神様それはきついです。人に鑑定されたらどうしよう?


「どうされましたか?」


「い、いや思い出してただけだよ。今から書くね」


―――――――――――――


九条勇輝 21歳 lv.18

HP 220

MP 88000

STR 220

ATK 220 

DEF 220

RES 88000

DEX 220

AGL 220

スキル

【鑑定眼lv∞】【言語理解】【アイテムボックスlv2/lv2】【付与】 【念じた地球産の物をその物に応じたMPと引き換えにお取り寄せできるスキル】【詠唱破棄】【脚力Ⅰ】【銃技Ⅰ】【狙撃Ⅰ】【遠距離攻撃Ⅰ】

魔法スキル

聖魔法

女神の息吹(ゴッドブレス)消費MP5000】

闇魔法 

【暗闇lv3/lv5消費MP30】【魅了消費MP120】【洗脳lv1/lv2消費MP300】【金縛りlv2/lv2消費MP50】【悪夢lv2/lv2消費MP 25】【絶望消費MP150】【吸収lv2/lv2消費MP 0】【弱体化消費MP50】【即死消費MP1】

称号

【女神の加護:不老不死】

―――――――――――――


魔法スキルと称号と言語理解とかは隠しておこう。魔法スキルの説明はできないし、持ってる魔法が不審すぎる。ジョブは絶対に見せん。


「はい。」


「え?なんですかこれ?信じ難いんですが。」


「これほんとだよ?」


「MPとか、見たことない桁で量なんですけど。あ、でもこれ殴り合いしたら私が勝ちますね。」


「そ、そうですね。」


「スキル、鑑定眼とアイテムボックスってものすごくレアスキルじゃないですか。lv∞ってどういう意味なんでしょう?名前が少し雑なスキルはなんですか?」


「それは、自分が思い描いたものをMPで召喚するスキルだよ。まあ、制限はあるけど。その服とか召喚した。」


「え?買ってもらったわけじゃないんですか...。」

落ち込んでしまった気がする。


「そんなこと言ってたっけ?ごめんごめん。」


「まあいいです。下着がぴったりなの不思議だったんですけど、そういうことだったんですね。」


「その―ご主人様の、ステータスの話とかもっと聞いていいですか?」


「もちろんいいよ。」


それから小一時間ぐらい聞かれたことに答えた。


「説明を聞いて分ったことは、不思議すぎるってことですね。これほんとにほんとなんですよね?」


「ほんとほんと。あんまり驚いてないね。」


「いや、凄すぎて、逆に冷静になってるだけです。」


「まあ、これから仲間として、頑張っていこう。」

ガチッ

「ところでさ、ミュラって誕生日いつ?」


「誕生日...ですか?明日だと思います。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ