やしきとどれい
荷物まとめるも何も。アイテムボックスに全部入れてるから、何もする必要ないな。行くか。
はい屋敷買ってきたよ。売り手がつかなかったから金貨70枚まで値段が下がってたよ。絶対死体安置室のせいだね。今日から住めるって。ちょっとギルドからは遠くなるけど、日々の運動だと思えば悪くない。外装も内装もいい感じだな。ろくに下見もせずに買うなって?どうせ改築とか将来的にするし、雨風凌げればいいんだって。一番奥の部屋自分のやにしよお。屋敷の全体の把握は明日だな。ベットを召喚してっと。うぇ?なんだこのシミ。随分いやらしいなへへ。このベットの上で男女が〜。しょうもないこと言わないでおこう。恥ずかしい。召喚条件に新品って入れればいいんだよ。
うん。いい感じ。いつか風呂とかつけたいなあ。どうやって風呂作るか考えておくか。おやすみ〜。
おはよう!昼だよ!寝過ぎやろ。頭痛てえよ。冒険者ランク今はDか。Dに上がった時は、セレンさん結構テンション上がってたなあ。手握られたし。珍しいんだろうか?Cにあげるか?屋敷探検だあ!!
真ん中にリビングみたいなところがあるな。結構広い。で部屋が1階と2階で15部屋?2階は物置にしよう。キッチンはリビングと隣接。家族とかできたら沢山で食べるのかな?いいなあそれ。ここが湯浴みできるところかな?風呂はここになるのか。俺の部屋と近いしラッキーだ。
さーて最後のお楽しみ。地下はどうなってるんだ?
不気味すぎるだろ。なんだこれ怖いよ。本物安置してますって言われても納得するよ。じめっとしてひんやりしてさあ。暗闇先生で確認したからいないのは知ってるけど。
はあ死体安置室マジでなんなの?もう暇だし屋敷の改築だな。作戦があるんだよ。昨日思いついた。宣言俺普通にこの世界でも電気とか使うつもりだから。発電方法は思いつかんけど、思いついたらすぐに電気が使えるようにするために屋敷に電線とかコンセントとか電球つけるところとか付けたい。まあ作戦っていうのはね。必要な資材召喚して屋敷ごとアイテムボックスにしまって組み立てるを選択する。これ。もう何言っちゃってんの?って感じだよね。実はね、勝算があるわけじゃないんだけど、これで屋敷ぶっ壊れても、新しい家召喚するだけだから、俺痛くないっていうね。一番大きいものの自動車でも、MP500ぐらいで召喚できたし、たぶん家もいける。さて試してみるか。屋敷の中の物いったん全部アイテムボックスに入れてえ〜。次は屋敷も入れてえ〜。条件で工夫して、召喚して〜アイテムボックスに入れて〜。組み立てる。
できた屋敷を出してみる。
おお!!成功してる〜。ご都合主義ここに極まれり。いや有能すぎる。アイテムボックス閣下しゅごい。
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女神
「貴方のアイテムボックスと召喚の管理してるの私なんですけど。無茶言わないでください。封印が解けた時は文句言ってやります。あと汚い魔物の死体入れないでください。腹が立ったので、死体安置室をもっと不気味にしてやりました。電気が突然切れる仕様にしましたよ。ふふ」
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新居で数日間だらだらしてふと思った。洗濯も料理も掃除も家事全般任せられるお手伝いさんみたいな人が欲しい。雇うか?いや、拘束時間が多すぎてまともに給料を払える自信がない。はあ、まともに日本で道徳習った俺からすると、どう考えても倫理的にアウトな発想がよぎる。衣食住保障するだけで、無制限に働いてくれる存在。奴隷か。もちろんこの国では合法である。犯罪者を労働力にするのはものすごく合理的で、お金を借りる時の担保なんて自分自身しかないからな。ただまあ望んでない奴隷もいるはずなんだよなあ。うん、まあそこは俺の倫理で、働いてもらったら解放して、当分食べ物に困らないぐらいのお金と、再就職まで、家とか貸してあげればいいか。こういう時こそモラルだ。
奴隷を持ってもいいと都合よく自分を騙してみた。やっぱり俺は変わってない。自分勝手だ。自分のことしか考えてない。それでも俺は幸せになりたい。好きに生きてみたい。清々しいまでに俺だ。開き直りかよ。よし決めた。
奴隷商館に行ってみよう。
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奴隷達の会話
「私の運命の人って、黒髪黒目の男性らしいの。私の母は凄腕の占い師で、幼い頃占ってもらったことがあってね」
あどけなさが残るとても可愛い顔立ちの綺麗な青い髪の少女は、目を輝かせる。
「出会えるといいわね。そんな人と。」
丸眼鏡をかけた、金髪で顔は隠れ気味だが、よくみると綺麗な顔立ちの女性が相槌を打つ。
「いつかその人に世界を見せてもらうのが夢なの。まあこの奴隷館から出れそうにないんだけどね。私の故郷も、もうないから。私のお父さんが命かながら私を守って、たまたま奴隷商審査のために王都に向かっていて立ち寄ったここの館長に私を託したんだって。そのときには父は、こと切れててね...。もう私には家族はいない。故郷が滅んだ理由もわからないって。」
「そんな辛いことが...大変だったのね。」
「ああいや、暗い話になっちゃったけど、暗い話がしたかったわけじゃないよ。気にしないで。私が奴隷館から出れない理由だけど。ここの館長がね父に恩がある人で、私によくしてもらってるんだけど、一生をかけて私を育てるつもりだったみたいで、私が夢を話したら、すごく苦い顔をして「私には、他の奴隷達もいるから、世界を見せてやることはできない。だからお前を奴隷にして、白金貨10枚をポンと出すくらいでお前を絶対不幸にせず、世界を見せてやる男にうる。これくらいしかできない。安心しろ私は人を見極められる。すまない奴隷にするしか道がなくて。」そう言われて私は、館長に金貨一枚の借金をして奴隷になったの。私が奴隷になったら、館長が運営する奴隷商館からも、お金を出せるようになって、私をもっと幸せにできるって思惑と一時的に館長の所有物になることで確実に守る思惑もあったんだと思うんだけどね。自由がなくなって、悪い人じゃないのよ?」
「すごい過保護ね」
「ほんとそう。白金貨10枚ポンと出せるのなんて、お貴族様くらいでしょ?お貴族様が世界を見せてくれるわけないのにね。プクー」
「まあまあ、まだ先は分からないわよ」
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ここが高級奴隷商館?かなりでかいな。ちなみに道は奴隷の女の子といちゃついてた人に聞いた。奴隷の子って首元に奴隷紋?みたいな幾何学的な紋様があるから一眼でわかるんだよね。普通に他の人には聞けない。恥ずかしいよう。どっから入ればいいんだろう?見渡してみる。窓の奥に綺麗な青い髪の女の子が見えた。他のところを見ようとしても、俺の目をその青い髪が掴んで離さないような気がした。目が合う。相手はものすごくビックリして、奥へ駆け出していった。なんだろうあの子?奴隷だよな。紛れもなく初めての感覚だ。
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ドタドタドタッガチャ
「ミュラ!運命の人見つかったかも!目が合ってビビッと頭に電気が流れたからたぶん」
「興奮しすぎよ、落ち着いて。それでどうしたの?」
「窓の外にいた男の人目が合って。その人が黒髪黒目で、う、運命を感じた!」
「そっか。その人、運命の人だといいわね。」
(とっても嬉しそう。ステラのこんな顔初めて。ほんとに運命の人だといいわね。)
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「予算は金貨60枚なんですけど、家事ができて、ある程度戦える奴隷いますか?」
あれから奴隷商館に入った俺は、
奴隷商館の館長を名乗る男に奴隷の説明を受けた。意味ありげな言い回しをしてるのは、特に意味があるわけじゃないよ。
合法の奴隷というのは、主に2種類いて、犯罪奴隷と借金奴隷。犯罪奴隷は公的機関が、借金奴隷は民間で、扱われているらしい。
借金奴隷の中には、借金をして奴隷になった人や、生きるためにお金がなくて、奴隷に身を落とした人もいるってさ。世知辛い。
この奴隷商館では借金奴隷が買える。奴隷を持つ人の注意点も話してくれた。犯罪奴隷じゃない限り、衣食住を保障しなかったり、奴隷に対して加虐や殺害をしたりすると罪に問われるから気をつけてね。って話だった。まあ普通にしないわな。
奴隷紋の話もされた。なんか奴隷紋って特別な誓約書、まあ
奴隷になります。名前
みたいなやつを媒介にして体に定着させるらしい。誓約書って怖いねえ。
その奴隷紋に自分の血液をつけた人が所有者になるシステムらしい。所有者がその奴隷の奴隷紋を触って言ったことは、奴隷は絶対聞かないといけなくなるんだと。
奴隷紋触るの至難の技じゃないか?まあ奴隷は法律で拒めないらしいけど。
定着すると、その人のステータスの状態の欄(なにそれ?)に奴隷って出るんだって。
でここからが重要なんだけど、奴隷の状態って研究では限りなく呪いに近いらしいけど、厳密に言えば呪いではないから、聖魔法の【解呪】でも解くことはできなくて、契約書を破棄しても契約書はただの媒介だから奴隷紋は消せないらしい。だから現時点で、人類には奴隷を解放する手段はないんだって。
え?まじすか?解放してあげることが不可能なんですが。ここまで来たからには買う...よ。自分に甘すぎだな俺。だから一般人を勝手に奴隷にするのは、ものすごい重い罪になるんだって。するためには、誓約書書かせないといけないけどね。
「ええ、いますよ。呼んできてくれ。」
「はい」
秘書さんぽい人が奥の部屋に行く。
数分して、3人と秘書さんぽい人がこの部屋に入ってきた。右から2人はニコニコしていて、心なしか誘惑されている気がする。隣の丸眼鏡の綺麗な女性は、なんだかバツの悪そうな顔をしている。
「戦えるという面では、男性の方がいいのかもしれませんが。家事は男性にはできませんから。まあ貴方にとっても女性の方がいいでしょう?」
まあ男の子だもんね。いや今回はそういう目的ではないんだけど。ほんとだよ?
「どの子にします?」
この言葉で、スイッチが入ったみたいだ。右2人が露骨なアピールをし始める。眼鏡の子はバツが悪そうなままだ。ちょっとやめて~そういう目的じゃないんだってば。アピールするならフライパンの振り方とかにしてえ〜腰をふらないで〜。
即決に近かった。
「私からみて左の子でお願いします。」
心臓を撃ち抜かれたみたいな顔をされた。え?すでに嫌われてるん?
「ミュラですね。いい子なので優しくしてあげてください。金貨47枚になります。今日は他の奴隷達との別れなど、新しい生活の用意をさせますので、明日迎えにきてもらっても?」
「金貨47枚です。明日の夕方にお伺いします。」
浮き足だって俺は奴隷商館を出た。
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「ごめんなさい。ステラ」
ステラは今にも泣き出しそうな顔をしている。期待が大きかっただけに、大きなダメージになったんだろう。
「謝らないで。仕方がないことだから。でも私諦めてない。まだ先はわからないって言ってくれたでしょ?窓越しに見たあの顔が忘れられなくて。本物の運命だと思ったから。図々しいお願いだと思うけど、出来ればでいいから、あの人をこの街に引き留めて、ここの商館で2人目を買ってもらうようにしてもらえないかな?私にできることならならなんでもします。」
彼女は涙こそ流していなかったが泣いていた。今日の嬉しそうな女の私でも惚れてしまいそうな彼女の可愛い顔を知ってる私は...どんな言葉を掛ければいいかわからなかった。
でも私は持てうる全てのものをあの人に捧げて、彼女を彼に買わせると決意した。初めてだけど体だって私からあの人に捧げる。そういうことは、好きな人とがよかったけど、叶わないって知ってるから。叶えられるかもしれない夢のために私は、頑張るよ。