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こんな青春でいいわけがない  作者: エルキングダム
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恋する乙女は最強なのかもしれない⑤

 昼休憩も終え、遊園地内では生徒がはしゃぐ姿が多くみられるようになった。とりあえず、天美と共に村上グループを探すべく遊園地内を練り歩いていたが、生徒が多いからかまったくと言っていいほど見つからない。俺の予想が正しければ内田はこの自由時間で村上に何らかの行動を起こす。そして、それを阻止しようと上田が動くだろう。そうなれば村上のグループには亀裂が入る。村上が一番危惧していたことだ。そしてそれが起これば誰にとってもメリットが無くバッドエンドと言っていいだろう。では、この場合のだれにとっても不都合が無い終わり方とは何か。「三ツ島君。あなたしっかり探している?」「しっかり探しているが全く見つからない。お前、なんか人脈使って村上の目撃情報とかわからないのか?」「私、人付き合いは広く浅くより狭く深くタイプなの。だからその手は使えないわ。」こいつ普段俺に一人いじりを散々してくる割には自分だってそんなに顔が広いタイプではないんだな。「こうなったら、仕方がないわね。」そうつぶやくと、スマホを取り出した天美は誰かに電話をかけていた。「もしもし、あなた今どこにいるの。」なんだか、いつもより声のトーンが低いというか、鋭いというか。女の人って電話だと声が高くなる印象だったけどな。あれってうちの妹だけなのか?「わかったわ。」そういうと電話を切り、天美は村上は観覧車の近くにいるらしいという情報を伝えて歩き出した。「なんでわかったんだ?」「直接聞いたの。村上君から。」「おい、村上の連絡先持ってたのかよ。ってかお前ら知り合いだったんだな。そういうことなら今までの探してた時間何だったんだよ。」「まあ、昔からの知り合いってだけよ。」天美はそういうとこれ以上このことは聞いてくるなと言わんばかりにこちらを見てきた。はい、もう聞きません。

 観覧車の近くまで来ると意外にすぐ村上たちを見つけられた。「りくとこの観覧車なんでか知らないけど二人乗りらしいーよ!こりゃペア決め盛り上がるっしょ!」太田がこんなにも大きな声を出してくれているおかげですんなり見つけることができた。「ふ、二人か~、、やっぱり、四人でせっかく仲良くなったんだし、四人で遊べるところに行かないか?」「私、観覧車大好きだからやっぱりここは外せないかな~って思ったりしてるんだけど、、」「真弓がそこまで乗りたいっていうなら私が付き合ってあげる!」「えっ。」「蓮と陸人、うちと真弓のペアで行こ!」案の上攻防戦が繰り広げられてんな。ってか、あの状況で二人で観覧車に乗って何話すんだろ。内田はあの一週間前の図書館へ来た時から今の今まで自分と向き合ってきた。天美に言われた言葉を胸に行動し続けて、自分を動かし続けてきた。なら、少しぐらい報われてもいいだろう。俺は観覧車に乗る寸前の村上・太田ペアに近づいていった。内田が俺に気付いたみたいだった。内田はどこか諦めたような、寂しい目をしていた。突然歩き始めた俺を天美は驚いた様子で見ていた。俺にしかこの状況は変えられないだろう。「あ、ちょっとお客さま!」係員の言葉を無視して振り切り、観覧車に乗り込もうとしていた村上の腕を引っ張り太田と共に観覧車へ乗り込んだ。観覧車の扉は閉まり、もう上に行くしか無くなった。太田が驚いた顔でこちらを見ていた。そりゃそうだ。だって俺こいつと喋ったことないもん。俺はすぐさま天美に連絡を取りたかったがそういえばあいつの連絡先知らなかった。だが、天美ならうまくやってくれるだろう。俺も人のことを心配していられない。なぜなら、この状況めちゃくちゃ気まずいからである。太田もなんかあっちこっちに目が泳いでるし。とりあえず俺はごめんと謝っておいた。

 「えっとー、なんかよくわからないけどこれだと1人余っちゃう、よね?」「ええ、だから私が人数合わせで入ってあげる。」「どういうことだ桃音、、」「私も三ツ島君が勝手にやったことだからわからないけれど、観覧車を楽しみにしている人がいたみたいだし、私が人数合わせで入るわ。内田さんは上田さんと乗るみたいだから私が村上君と乗れば良いかしら?」「ううん、私陸人と乗りたい。愛ごめん。」「では、私は上田さんと乗れば良いのね。」という経緯で、何とか内田さんは村上と一緒に乗ることができたらしい。俺は見ていないが、天美の圧力やら場を仕切る力でどうにかなったのだろう。上田が何も言わずに天美に従った点、村上も従った点から容易に想像できる。

 そして、一足先に早く観覧車から降りていた俺はみんなの到着を待っていた。俺たちの後に到着したのは天美と上田ペアだった。最後に到着した村上と内田が乗った観覧車の扉が開いたとき、内田が飛び出してきた。赤く腫れた目を見れば何が起きたかはぼっちの俺でも想像できた。


内田はたった今振られたのだ。

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