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こんな青春でいいわけがない  作者: エルキングダム
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全ての休み時間は少し短いのかもしれない

 何度もしつこく鳴るアラームで目が覚めた。結局昨日の図書館では、自己紹介で笑われ、その後さんざん言われたわけだが、特に何も言い返すことができず、委員会の時間を終えることとなった。あの、天美桃音だっけか。本当に初対面であそこまでオブラートに包まず人の気にしているところを言えるって、あいつは人の気持ちを考えられないのか。まったく、小学生の頃の道徳をもう一回やり直した方がいいな。絶対心のノートとか適当にやっていたタイプだな。図書委員が二人体制になったことで、逆に一人は行かなくてもいい状況が出来上がった為、もう委員会なんで行くものか、と思っていたが、図書館を後にするときに、天音が一言、「しっかり次の委員会も来ることね。日ごろ人とコミュニケーションをとることが無いあなたには、とてもいい機会になるわ。しかもこんな美女と話せるのだもの。」と言ってきた。俺は、「あいにく、俺は暇じゃないんでね。図書委員は本来一人で済むはずだ。」と精一杯の強がりで反抗したが、天音がそっとポケットからiPhoneを取り出し、「これを見ても同じことが言えるかしら?」とiPhoneの画面を見せてきた。そこには、図書館の扉の前で、必死に自己紹介の練習をしている俺の姿が映っていた。「もし、次の委員会来なかったら、分かるわね。」この瞬間、俺の次回の、いや、この先の委員会一日も休むことができなくなった。

 我が校は最寄駅から徒歩15分の好立地にあり、大半の生徒が電車を利用しているため、電車はとても混んでいる。満員電車を降り、横一列で友達と歩いている集団を早歩きで追い越し、やっとの思いで教室につくと、チェック柄のズボンを身にまとった男女集団が俺の席付近で話に花を咲かせていた。「えー、陸人もうサッカー部で試合出てるの!今度絶対試合見に行く!」「いや、この間は先輩が怪我して、たまたま試合に出られただけだよ。」「いいや、陸人はこの調子でいくと、スタメンはすぐっしょ!」「太田も陸人に負けず、試合出なよ!」「出なよって言われても、俺はまだ無理無理ー。」この四人組は、イベント委員の四人組であり、このクラス、いや、この学年のカースト最上位層と言っても過言ではない。席が使われていたため、俺の席には座ることができない。だからと言って、俺が他の人の席を使うわけにはいかない。どうするかと考えていると、「ごめん。ここ、三ツ島君の席だったよね?ごめんごめん。」と謝りながら違う席に移動していった。唐突に話しかけられたため、俺は頷くことしかできず、静かに席に着いた。今話しかけてきたのは確か、村上陸人、だっけか。そして、いつも村上と一緒にいて、同じサッカー部に所属している太田連。女子二人は申し訳ないど、村上の側近としか覚えていない。ふと、何やら視線を感じると思い、顔を上げると、村上の側近の内の一人が鋭い視線を俺に向けていた。いやいや、怖すぎる。俺何かしたか。今の一瞬で何か気に召さないことでもしてしまったのか。俺は気のせいだと自分に言い聞かせ、防御態勢である、両耳に何の音も流れていないイヤホンを付け、机に伏せて寝たふりをしたのであった、

 昼休み。俺は特に一緒にお昼を食べる人なんていない。学食に一人で行くなんて、初期装備のままラスボスに挑むようなものだし、教室で食べようにも、俺の席の近くには村上の席があり、どうしても、カースト上位層が集まってしまう。そんな中、俺は静かに昼休みを過ごせる場所を見つけたのであった。そう、図書館のベランダである。うちの学校には基本教室にはベランダがついていない。しかし、なぜか図書館にはついていた。他にも何個かベランダがついている教室を見つけたため、たまに拠点を移動して、気分でベランダを使い分けてやろうと考えていた。そんなこんなで今日も図書館のベランダにやってきたわけであるが、ここは何とも日当たりが良く、使われていな椅子と机が置いてある。「最高な場所だな。」とついつい口に出していた。「あなた、本当に友達がいないのね。」えっと、先日の図書委員での一件がトラウマになっているのか、あいつの声がしたような。「驚いた。まさか、いつもここにきて、会話の練習しているのね。そんなに会話がしたいなら、私が付き合ってあげるのに。」やっぱり幻聴ではない。恐る恐る後ろを振り返ると、天美桃音が立っていた。「あなた、また一人でぶつぶつと何か言っていたわよ。」「ひとり言だ。」「なんだ、瞬き一つしていなかったから何か呪文でも唱えているのかと思った。」「呪文って。ここは魔法魔術学校でもなければ、闇の魔術師とも戦わないし、額に傷のある少年も出てこない。ってかお前はここで何してるんだ。」「私は本を借りに。あなた、忘れているかもしれないけど、ここは図書館で本を読む場所よ。友達がいない人の避難所でもなければお昼を食べるところではないわ。」そういえばそうだった。そんなこんなをしていると、図書館の扉が開く音がした。あれは村上と、女子?「うちの学校、図書館あったんだね。それで、話って何かな。」おいおい、これは絶対にここに俺と天美がいることがばれてはいけない。この人がいない静かな場所、女子からの呼び出し。これは絶対、、。「村上君って、付き合ってる人とかっている?」やっぱりそういうことだよな。ここに人がいるということを絶対に気づかれたくないこの状況でなぜか俺の隣で座っている天美が立とうとしていた。「ちょいちょい、お姉さん?今の状況わかっています?」「ええ、分かっているわ。あの二人何やら人に聞かれたくない話をするみたいだから図書館から出ていこうかと思って。私はもう用が済んでいるし。」「絶対に今出ていくのは違うぞ。それは友達いない俺でもわかる。」「あなた、いくら私と会えて、話ができたことがうれしいからって、引き留めようとしているの?ごめんなさい。私次の授業の準備をしなくてはならないから、また今度ね。」「ちょい、、」立とうとした天美を引き留めようとした瞬間、天美の手から本が落ちた。「誰かいるのか?」最悪だ。村上がこちらを凝視しているのがわかる。「ええ、本を借りたついでに呪文の練習をしている珍しい子を見つけてね。ごめんなさい。邪魔をしたわ。」「桃音、、」「あなたもいつまでも練習をしていないで、もうすぐ授業も始まることだし教室に戻ったら?」ここで俺に振るか。というか、これ俺がいるってことばれてなかったんじゃないか。俺は隠れることをやめ席を立った。「あのな、別に練習してたわけじゃないからな。今回は。」「君は確か、三ツ島君?」「村上ごめんな。別に隠れて盗み聞きしようとしていたわけじゃないんだ。たまたま、ベランダにいたらお前たちが入ってきて出ていきにくかっただけなんだ。」村上の横に目をやると、女子生徒が動揺しているのが分かった。「じゃあ、俺も失礼するよ。」天美と俺が図書館から出ていこうとすると午後の授業の予鈴が鳴り響いた。「せっかく何か話がしたくて俺のことを呼んでくれたんだと思うけど、話はまた今度でもいいかな?もう授業も始まるし。」村上の気まずそうな声が後ろから聞こえてきた。

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