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こんな青春でいいわけがない  作者: エルキングダム
18/23

球技大会が始動したのかもしれない⑤

 俺は午後の授業中なぜこんないきなり美女二人と遊びに行かなくてはならない状況になったのか授業をそっちのけで考えていた。天美は何だか成り行き的にしょうがない部分もあると思うがなぜ下田さんまでも、、。

とりあえず今日が終われば休日に入る。確か今日の昼休みに天美は今度の日曜日に出かけたいと言っていた気がするから明日は存分に部屋に籠ることにしよう。明日はどうだらだらしてやろうか考えていると頭の上から声をかけられた。

「みっつ多目的室いかないの?」

内田が不思議そうな顔でこちらを見つめていた。

「え?いつの間に授業終わってたんだ、、。」

時計を見ると授業が終わってから10分が経過しており教室には部活動に所属していないか活動が活発ではない文化部がおしゃべりを楽しんでいた。

「早く行かないとももが怒るよ~?」

「あぁそうだな。悪い。」

そういえば今日はグラウンドや体育館の貸し出し、あとは練習試合のスケジュール調整をするって言ってたな。

俺は急いで準備をして内田とともに多目的室に向かった。

 「みっつ最近ぼーっとしてるよね~」

「そうか?」

「授業中も朝挨拶したときもなんかボケっとしてる!」

多目的室に向かう途中、内田は何やら不満そうな顔で俺につぶやいてきた。

「あんまりシャキッとするのが得意じゃないんでな。あと、ボケっとしてるのは生まれつきだから許してな。」

「、、、最近ももとばっかり、、」

「え?なんて?」

俺はうまく聞き取れなかったため聞き返したが内田は何でもない!と言って更に歩くペースを速めた。

 多目的室に入ると天美はすでにホワイトボードに紙を貼りだし作業を進めていた。

「悪い。遅れた。」

「ももーごめん~!みっつがぼけっとしてたから~!」

開口一番内田はしっかりと俺のせいにして天美に抱きついていた。さすがのリスク管理だ。フランス代表の中盤くらいリスク管理を徹底してやがる。あ、今回のワールドカップは怪我で招集されていなかったんだったけ。

「内田さん大丈夫よ。大概の不手際は全てあの男の責任だと理解しているわ。」

「よかったーーー」

天美はさらっと恐ろしいことを言い内田を座るように促した。俺は何だか点を取れずに批判されているFWの気持ちがわかる気がした。いや、こんなんで分かってたまるか!一人で脳内で完結させると俺も促されていないが席に着いた。

「三ツ島君。あなたなんで座っているの?」

「え、いや、、」

天美は鋭い目つきで視線を浴びせるとホワイトボードをコンコンとノックした。

「あなたが座ったら資料まとめる人がいないでしょ?」

俺は四の五の言うとまた天美に怖いことを言われそうだったためおとなしく資料の前に移動した。

「さて、じゃあまずはグラウンドと体育館のスケジュール調整から始めていきましょう。」

「よーし!がんがんやろー!」

内田が張り切って掛け声をかけてスケジュール調整が始まったのだった。

 一時間弱が経過し、大方スケジュール調整をすることができた。

「ふぅー。なんとか決まってきたね~。」

「そうね。あとは練習試合の組み合わせだけれど、、、」

例年だと練習試合は実行委員が完全ランダムで決めている。だが希望するクラスとの練習試合をさせてほしいと言う意見があったらしい。

「練習試合せっかくだからやりたいクラス同士やらせてあげたいね~。本番は全クラスと試合やらないし友達と試合できるの練習試合だけかもだし!」

「そうなると日程調整が大変になるわね。あとは、人気のクラスの被りをどうするか、、」

「被ってるところもあるのか~。」

どうやら天美と内田は練習試合を例年通り完全ランダム化にするか希望クラス同士にするかで悩んでいるようだった。ちなみに俺はどっちでもいいから椅子に座りたい、、、。

足をもぞもぞとさせていると天美はこちらを見つめてきた。

「一応聞くけどあなたの意見は?」

「一応って。大変なら完全ランダムにすればいいんじゃないか?別にどのクラスとやろうが対して変わらんだろ。まずまず俺は他クラスに友達がいたことが無いから友達とせっかくなら試合をしたいという気持ちがわからんがな。」

俺はそういえば自分のクラスにも友達いなかったと付け加えようと思ったが、内田はわかりやすくうわぁという表情をし、天美はこめかみに手を当ててため息をついていた。

「あなたに聞いた私が間違っていたわ。つらい現実を思い起こさせてごめんなさいね。」

「みっつ、、。球技大会、、楽しもうね?」

思った以上に2人が慰めてくれたため俺はこれからもどんどん自虐していこうと決意したのだった。

「やはりクラスごとに人気が偏って希望通りに練習試合することは難しいわね、、。」

「だねーー。」

あれから30分近く意見を出し合ったが有効なものは出てこなかった。

「明日には発表しなくてはならないから今日中には決めなくてはいけないけれど、、、」

「時間がね~、、」

2人が時計を見るともうすぐ18時になろうとしていた。我が校は今の季節は完全下校が18時半となっている。

「やっぱり完全ランダムにするしかないのかな~。」

若干の重たい空気が流れ始め俺は耐えられず恐る恐る口を開いた。

「あの、、。一つ聞きたいんだが、、。」

天美と内田は邪魔をしないでほしいといった怪訝な表情をこちらに向けてきた。

「なんかスケジュールってそんなにこっちがきっちり決めないといけないものなのか?」

「と言うと?」

「いや、だからある程度曜日や時間で使える学年を割り振っておいてあとはご自由にお使いくださいって感じでいいと思うんだが。全部が全部やる気満々なクラスばかりではないと思うしな。」

2人はじっと考えると今まで出してきた案が書かれているホワイトボードを見つめ始めた。

「、、、確かにそれでいいんじゃない?」

「そこまでざっくりとした意見が篠崎先生に通るかは疑問だけれど。第一それができれば私たちの仕事なんてないも同然よ。」

「まぁまぁ。先生に聞いてみよう。多分そろそろ来るだろうし。」

俺がそう言うとタイミングよく多目的室の扉が開いた。

「おー。やってるかね諸君。」

「篠崎先生。ちょうどそちらに伺おうと、、。」

「大体は三ツ島から聞いているよ。」

どれどれと言いながら篠崎先生は今まで出された案が書かれた資料とホワイトボードに目を通した。

「確かにここらで生徒の自主性がどんなものか見るためにも三ツ島の意見でやってみるのも悪くないかもな!」

「ですが篠崎先生、、。トラブルが起きた後では、、、」

「トラブルが起きた時は君たちの出番だよ。なあ!三ツ島!」

ここで俺に振るかと思いつつも頷いておいた。

「じゃあ、そろそろ教室の鍵閉めるぞ~。全校には明日の朝私がアナウンスしておく。」

そう言うと篠崎先生は多目的室を出ていった。

「じゃ、じゃあ私たちも行こっか?」

あまり納得をしてない天美に気を遣ってか内田は無理に明るくふるまっている様子で俺は何だかいたたまれない気持ちになっていた。

 「いやぁ、もうだいぶあっついね~!」

3人で教室を出て駅に向かっているわけだが天美の表情はまだ暗かった。日は完全に落ち居酒屋などが徐々に開店し始めて昼間とは違った賑わいを見せていた。

「、、、篠崎先生に連絡していたのね。」

天美はうつむいたまま口を開いた。

「まあ。一応な。」

「てかみっつ先生の連絡先知ってたんだ!」

「成り行きで手に入れたんだよ。」

と言うか勝手に追加されたというか。ボランティア部が発足した当時、なぜか篠崎先生は俺の電話番号を聞いてきたので答えたら電話番号から検索されアカウントを追加された。その連絡先を追加する手際と言ったらとてもスムーズで恐ろしく素早く俺出なかったら見逃していたね。

「、、、めんなさい。」

「ん?」

「、、、ごめんなさい。私のせいで会議が長引いてしまって。あなたの意見も検討すらせずに頭ごなしに否定してしまった。」

天美は肩を落としいつもの凛とした姿ではなくどこか弱弱しいものになっていた。

「いや、そのこっちも勝手に先生呼んで悪かったというか、、。一声かければよかった。」

「そうだよ!ももは悪くないよ!悪いのは全部みっつだもん!」

いや、確かに今俺も謝ったけど!内田の強引な慰めに天美が小さく微笑んだ。

「、、、こうはなりたくないと小さいころから思っていたのにね。今日は悪かったわ。内田さん、気遣ってくれてありがとう。三ツ島君もごめんなさいね。」

どこか寂しそうに微笑むと天美は駅の改札を抜けていった。

「じゃ、じゃあ俺もあっちだから。」

「うん。もものこと頼んだ!」

俺は内田に別れを告げると急いで天美に追いついた。

「、、、方向一緒だろ。」

「あなたまで気を遣う必要はないわ。」

俺はこのまま天美を一人にさせてはいけないと思い一緒にいる理由を探した。

「今週末。まだ予定決めてない。」

そう言うと天美は少し驚いた表情をした。

「それも苦し紛れに言っただけだから無理に行かなくても、、、」

「無理なんてしてない。俺は、、、少し楽しみにしてた、、と思う。」

俺は柄にもないことを言ったからか恥ずかしさで今すぐ穴に潜りたかった。それか完熟マンゴーの段ボールでも可。

天美はまだ俯いていたが持っていたカバンについているどこかのテーマパークのキャラクターのストラップをいじり小声で何かをつぶやいた。

「ごめん聞き取れなかった。もう一回いいか?」

「、、、だから。私も、、楽しみだった。」

俺は思ってもみない返答に何て返したらいいか分からず、そっかとだけ言い立ち尽くすしかなかった。

少しの沈黙が1時間にでも2時間にでも感じたが不思議と居心地はよかった。

数分後電車がホームに到着し電車の明かりが天美を照らすと天美の耳はうっすらと赤くなり、天美はこちらを見るとすぐに目をそらし電車に乗り込んでいった。

「、、、じゃあ私こっちだから。」

「おう。じゃあ日曜日駅前13時集合で。」

結局電車の中でも対して話すことは出来なかったが何とか映画の予定をこぎつけることができた。

にしても、たまに照れるあの天美の雰囲気と言い表情と言いあれは誰でも可愛いと思わざるを得ないんじゃないのか?

俺は照れた天美の表情を思い返しては顔が熱くなるのを感じ必死に冷ましながら家に帰るのであった。



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