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こんな青春でいいわけがない  作者: エルキングダム
12/23

仲間が増えるとイベントが多くなるのかもしれない③

 「みっつは学校から家近いのー?」

「ここから4駅行ったところが最寄り駅だ。そこから歩いて10分そこらで家に着くな。」

「三ツ島君。あなたとまさか最寄り駅が同じだったとはね。」

「天美一緒だったのかよ。よく今まで会わなかったな。」

俺たちは部活が終わってから学校を出て駅に向かって歩いていた。

「そっか〜。私だけ逆方向か〜。何か仲間はずれみたい!」

内田は1人だけ帰る方向が逆方向らしく、何だか拗ねているようだった。

「三ツ島君。最寄り駅が一緒だったからと言って私の家を特定したり、偶然を装って一緒に登下校しようとしたりするのは絶対しないように。」

「そんなことはしない。ってか何で俺がお前と一緒に居たくて仕方がないような設定になっているんだ。」

天美はきょとんとしながら、「え、違うの?」と首をかしげている。全くこいつの自信はどこから湧いてくるのか。いや、天美をじっくり見るとストレートの黒髪ロング、目は大きくとにかく顔のパーツは整っている。誰がどう見ても美人であると答えるだろう。そりゃこんな自信も湧いてくる。そうしてぐだぐだと話していると駅に着いた。

「じゃあ私はこっちだから!ももとみっつまた明日ね!」

「ええ、また明日。」

「おつかれさん。」

軽く挨拶をすると内田は1人違うホームに歩いて行った。

「じゃあ俺らも行くか。」

そう言って歩き出すと天美は少し後ろを着いて歩いてくるのだった。

 「まさか、こうしてあなたと下校する日がくるなんてね。」

「まったく、俺もこんな風になるなんて思ってなかったよ。」

帰りの電車は思ったより空いていたため2人とも座ることができた。しかし、あれだな。どうもいつもと違う距離感で話すと、普段意識していない部分を意識してしまうから色々大変だな。天美もそれを意識しているのか肩や手が当たると気まずそうにしている。

「内田。ボランティア部に入ってくれて良かったな。最初に内田に会ったとき、相当きつい言い方したから内田は天美のこと苦手意識を持っていると思ってたよ。」

「多分持っていたでしょうね。私も初めは多少苦手だと思っていたわ。でも、関わっていく中で内田さんは私が思っているような人ではないとわかった。」

ほう。天美も人をそんな風に思うこともあるんだな。

「それでも、ボランティア部はお前を中心に活動していくし、内田も俺もお前に頼りきりになる。」

天美は少し間をあけると、

「私はあなた達が思っているより、ずっと弱い。」

と弱々しく言った。もしかしたら、俺が思っているより天美桃音という人物は繊細で不器用でそれでも足掻こうとしている努力家なのかもしれない。話していると、俺たちの降りる駅に到着した。

「私はこっちだから。また明日ね。」

「おう。また明日な。」

そう言うと天美は俺の家とは逆方向に歩き出した。あれ、何であいつ自分の家と俺の家が逆方向なのを知っているような口調だったんだ、、?いや、気のせいか。俺は考えることをやめて、ひたすら何も考えずに家に向かって歩き出した。

 「ただいまー。」

家に帰ると妹が鼻歌を歌いながら料理をしていた。うちは基本妹が家事全般を行なっている。

「あ、お兄ちゃんおかえり〜。もうご飯できるからそっち片付けて〜。」

俺は適当に返事をしてテーブルの上を片付け始めた。ふと、テーブルの上にあった資料に目をやる。学校説明会の資料か。

「これ。大事なもんだろ?こう言うのは部屋に持っていけよ〜。ってか、これうちの学校じゃねーか。」

「そうです!私の第一志望!」

え。俺は驚きすぎて手に持っていたパンフレットを落とした。

「お前、何でわざわざ同じ学校にするの。」

「え。だってお兄ちゃんいるからある程度学校のことわかるし、偏差値高いし進学実績すごいし。」

そうだ。自分で言うのは何だがうちの学校はそこそこ偏差値が高く、受験対策に多くの時間を充てられるカリキュラムのために高い進学実績を誇っている。しかし、問題なのは、

「お前って、成績良かったっけ?」

「担任には志望校を変えなさいって言われた!」

そう言うと妹はいえい!と言いながらピースをしてきた。いやいや、ピースじゃなくて。

「とにかく、まだ5月半ばだし学校見学やら説明会に行って、色々決めて行くのでも遅く無いと思うぞ?」

「目標は早く設定しておくことに越したことはない!私はもう決めたの!」

こうなった妹はてこでも動かない。こりゃこれから長い戦いが始まりそうだ。俺は妹にまぁ無理せず頑張れよとだけ伝えておいた。

 あれから、お風呂を済ませて俺は母さんに最近の出来事を伝えていた。クリーンシップで内田が俺らを頼ってきたこと、解決するために多少強引なことをしたこと、天美が実は昔村上に好意を寄せられていたこと、それを隠していること、天美は実はそんなに強くないんじゃないかと思っていること。俺は母さんに報告することで頭の中を整理していった。球技大会の実行委員か、、。俺はこれから1ヶ月間を考えると、ため息が自然と溢れてしまっていた。ふと、こんな言葉が蘇る。「あなたはあなたのしたいように、やりたいように行動しなさい。それが巡り巡って誰かの支えになっているから。それと同時に誰かを苦しめるかもしれないと言うことを覚えておくのよ。誰かを助けたいと願って行動したとき、それは何かを犠牲にする覚悟を持つのと同等ということを忘れないで。」こんなときにこんな言葉が頭を巡る。このことは胸に留めておかなくてはいけないと強く感じたのだった。

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