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世界に愛を。私にだけ愛を。

『私の思いは本当だもの。』

火事場に現れた白馬の王子様は、

私を、私を。


今日こそ受けとめてくれると信じていた。


『今日はやめておこう。』


ショックだった。あなたの為ならこの身などいくらでもくれてやるのに。


センター街に放り出された私は、

虚ろな目で歩き回る。


『蓮、好きなの・・・私を、私だけを見て。』


蓮をどうやって振り向かせればいいのだろう。

ぽよんとしながらも、隙がない男。

私が依存症だから?依存症だからって振り向いてくれないの??


自分の運命を呪う。

私を嬲り続けたお父さんのせいなのだろうか。

いや、お父さんは営みの時はとても優しかったし、私は確かに愛されていた。だから、私はその愛を捧げないと私は、私でなくなってしまう。

どんなに暴力的な営みでもふわりと最後は多幸感が私を包むから。だったらいいじゃない。


『何が、何が!何が、今日はやめておこうよ!今日もじゃない!いつ!いつあなたにっ!』


歩き回って何時間経っただろうか。

すっかりあたりは真っ暗になっている。

『明日は訓練の日ね・・・。』


そうしっかり訓練すれば、蓮も振り向いてくれるかもしれない。だから、いかないと。明日のためにも風邪を治して、暖かくして寝ないと。






気づいたら私は、真っ暗な地下にステージライトがピカピカ光り、EDMがガンガン鳴っているこの空間に来てしまった。

踊り狂いにきている人間なんて一部。

いわゆる、ナンパ箱と呼ばれている一晩の愛を捕まえにきている出会いの場。男も女もさかっている。



ドリンクを頼み、1人寂しそうに座る。

重低音が鳴り響く。怪しげなライトに照らされる。



『おねえさん、1人?』


声を掛けてきた男は2人。筋肉質で金髪の色黒でチャラい。ここからならホテルは近い。だけど私はたくさんの人に愛を捧げたい。満たされぬ自分、暖めてあげたい。





『トイレ・・・・いきましょ?』










何人、何時間経ったかしら?

私はすっかり汗や男の匂いに包まれた自分を鏡で見て悦に浸っていた。


持ち歩いている、ボディペーパーで匂いを断ち、化粧と髪型を整える。




『まだこの世界は愛に満ちていないのよ。』


呟き、トイレを出た。

クラブはちょうど閉店間際。後4時間もすれば、訓練が始まる。



『帰らないと、、、』


『いや、おねえさん。さっきはどうも。』


さっき愛しあった男だ。

ダメだ。また、何か頭に競り上がってくる。

いや、仕方ないじゃない、愛はまだ世界に足りて無いんだから。男もちょうど飢えた狼の如くギラついている。


『うふ。』


腕にしがみつく。

『ウチ、近いんだけど、飲み直さない?』


まだ4時間ある。だから、それまで、私は世界を愛が行き渡るように世界を抱きしめ続ける。

















『えー宅島灯さん。あれ?お休みですか。』


宅島さんがお休みか。少し心配です。


『ミツオくん。』


『ああ愛さん。』


『宅島さん、3日連続でお休みだね。』


『うん。』


『心配?』


『まあ、訓練生として心配かな。』


『そうよね。【訓練生】として心配よね。』


『・・・?愛さん?』


愛さんは不安そうな顔をしている。なんだろうか?


『ねえ・・ミツオくん。あなたは私だけを見ていてくれる。』


『あ、愛さん、、今仕事中ですから。』


『わかってる。』


『はあ。もちろんですよ、愛さんだけをみて過ごします。』


『約束よ。』


『ところで、今日は、、、』


『ごめんね、今日はちょっとオンラインミーティングがあるから。』


『ああ、愛さん副業やってるんですよね。頑張ってください。』


『うん。ありがとう。明日はおうち行くね。』



朝から幸せな会話。

僕はこの幸せは守りたいと思っています。

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