俺は置いてけぼり。
『おい、なんで無視するんだよ!俺の、俺の何が悪かったんだよ!』
俺はたしかに空気が読めない。
だからといって、剣技はそれなりだったから
役に立っていたと思う。
ある夜、部屋にいた仲間の勇者に話しかけても
うんともすんとも言わない。
『なんでだよ!何か言ってくれよ!俺は頑張ったじゃないか!頑張って、頑張って。やっとお前に・・・。』
泣き崩れた。
察してしまったのだ。
当然、翌朝勇者は居なくなっていた。
何も言わず立ち去っていて。
1人この世界に取り残された。
全て察した。
そして後悔した。
もう戻らない日々。愛すべき我が勇者に二度と会うことはないのだ。
愛すべき勇者。会えなくなった理由は知っている。俺が至らなかった。
だとしたら、俺には為さねばならないことがある。
あの絶海の孤島で俺は弔いをしなくてはいけない。
もう会えない勇者に。
♦︎♦︎♦︎
船を買った。
安い小舟だ。難破してしずむかもしれない。
『うわぁっ!』
海がしけている。
白波が辺り一面をジャブジャブと踊る。
なんとかしがみついていた。
もう出航して何日か。
出航した日。
『食べものを売ってください!』
『残念ながら君に売るものはないよ。』
『海を、海を渡らねばならないんです!』
『はあ?知らねえよ。くたばってしまえ!』
なんて残酷な仕様。
水も食べ物も3日分。
3日でこの大しけの海を、渡らねばならない。
『やるしかないのか、、、!』
そんな悲惨な旅立ち。
俺はあの絶海の孤島にいかないといけないのだ。
勇者の為に。
『うわああああっっ!!?』
小舟から海に放り出される。
体が沈んでいく。
くそくそくそ!!
息が出来ない。減りゆく命。
海面にどうにかして顔を出す。
呼吸を整える。
『ああ、、くそ!なんてクソゲーだ!!』
そう人生はクソゲーだ。やってられない。
そうこうしているとさらに大きな波が
襲い掛かってきた。
『ああ・・・。』
生きて孤島にたどり着けない気がする。
何度も、何度でも。
・・・。
・・・・。
・・・・・。
目を開ける。
まばゆい太陽光がさんさんと降り注ぐ。
力なき体は休息を欲するもなんとか起き上がる。
『ここは・・・?』
『ほよっ?』
銀髪。エメラルドグリーンの瞳。
ブーツとミニスカートの間の太ももが艶々としている。スラッとしていて胸元がふくよかな女性は、、
『君が治療してくれたのか・・・?』
明らかにヒーラーの格好をした、麗しき女性が頭上にはいた。