第十二話= 新たに =
大事なことは、過去にとらわれない・・。
今を見つめること・・・。
良く晴れた夏・・・。静まりかえった部屋・・・。その中に、少年朝倉ケイと朝倉歩の姿があった。部屋は荒れ果て、二人の瞳には涙が溢れかえっていた。
「俺が、俺が・・・、俺が花蓮を助けるんだ・・・。そのために、もっと強くなりたい・・。」
そう呟くと歩を立たせて、玄関先へと向かった。
「お、お兄ちゃん!どこ行くのっ?」
「歩・・・。お前だけは巻き込みたくない・・・。だから、せめて・・・。」
俯きながら、そう言うと靴をはき出した。
「ねぇ!お兄ちゃんっ!何処行くんだよ!!僕に、ちゃんと話してよ!!」
涙目になりながら、少し怒ったように言った。
「・・・・・・・・助けに行くんだよっ!・・・さっき見ただろ!花蓮と父さんが消えていくの!」
「・・・見たよ・・・。でもどうやって助けるんだよっ!何処に行っちゃたんだよっ!みんな。」
「・・・わからない・・・。だけど、花蓮は言ったんだ。また会えるって・・・。」
「・・・・・・お兄ちゃんも同じなんだよね。知ってたよ僕・・・。」
「な、何が・・・?」
少し沈黙が続いた・・・。脳裏に自分が体験してきた最近の出来事が浮かび上がった。
「アビリティー能力者だよっ!!・・・・・」
歩が怒鳴った。ケイは、はっとしていた。
「そ、それは・・・。それ・・・は・・・。」
「誤魔化しても無駄だよ・・・。だって、最初にお父さんが来たとき、お父さんを止めたのってお兄ちゃんだよね!?・・そうだよね?」
ケイを問い詰め、同意を求める。ケイは精神的にダメージを受けていた。
「ああ、そうだよ。一応、俺はアビリティー能力者だ。」
正面を見つめ堂々と言い放った。
「やっぱり・・・。でも、一応って?」
「・・・あれから、一度も出来ないんだ・・・。」
「出来ない・・・?」
「そう・・・。だけど、花蓮を助けるためにはもう一度、アビリティーを解放させなければならない・・・。」
「そっかぁ・・・。でも、出来ないんじゃなぁ〜・・・。」
溜息をつく歩。だがどうしようもない事態だった。あれから、ケイはアビリティーの力を一度も使ってない。使ってないと言うより「使えない」のであった。
「花蓮は、どうやってアビリティーを解放させてたんだろう・・・?」
「わかんない・・・。たしか、アビリティーを解放する前に花蓮さんは何かいってたような気がするような、しないような?」
考える二人・・・。思い浮かばない二人・・・。だが、花蓮を失ったことは事実だった。その事実は誰も変えることは出来ない・・・。
「ケイちゃん・・・?ケイちゃん・・・?」
「!?・・・・・・・・・」
「忘れてたっ!」と言う言葉が二人の脳裏に浮かび上がった。先ほどの戦闘で、祖母が倒れていた事に「今」気がついたのであった。
「お、お祖母ちゃん!!・・・だいじょう・・・ぶ?」
歩が気を察して、声を掛けた。こういうときに役立つ弟さんであった。
「忘れてたって事は言うなよ・・・!!」
ケイが、ずるい顔をして歩に投げかけた。(お祖母様には聞こえぬよう・・・)
「分かってるよっ!それより、このタイミングで言う!?そんなことを!」
焦りながら、小さな小さな声でそう言った。
「だってっさ〜!ってやっぱ歩も忘れてたんじゃないかっ!」
小さな戦いの末・・・次の言葉で、その戦いが終わる・・・・・・。
「わたしゃのこと、忘れてたのかい?」
祖母が呟いた・・・。
どうだったでしょうか?楽しんでいただけたら光栄です。
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予定よりも投稿が早まってしまったこと、お詫びいたします。
「アビリティー ー能力ー」は、まだまだ続きますので宜しくお願いいたします。では、次回投稿をお楽しみに!!
それと、ウィキペディアに「アビリティー ー能力ー」
と検索すると何故か出てきました・・・?誰が・・・?




