表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅の魔眼~悪魔に憑かれた僕は普通になりたい~  作者:
Ⅱ 魔眼使いの殺人鬼
8/74

8.新しい友達

毎回見てくださる方々ありがとうございます。

やっとこの章のメインキャラが出てきましたね……テンポ遅いなぁ


追記:話数入れ忘れしまいました。

 見るからに好青年であろう柚子は笑顔で握手を求めていた。憂は驚きながらも、その手を握る。


「あ、あぁ。僕は憂、瀬流憂だ」

「知っているよ? 学校の人気者だからね」

「……なぁ、何で僕はこんなに睨まれているんだ」

「? あ、そっか。今まで休んでたから、知らなくて当然か」


 そう言って柚子は()()()について話し始めた。

 それは「瀬流憂は殺人事件の真犯人」、「複数の人から恨まれている」等、憂に対する誹謗中傷の類で校内中に広まっているらしい。


 そう……憂は現在、「逮捕されていない殺人犯」として認識されていたのである。


「んだよ、それ……」


 想像以上に現状が酷く、憂は顔をしかめる。しかし、同時に気になる事もあった。


「柚子は……怖くないのか?」

「何が?」

「何がって、僕は殺人鬼らしいぞ?」

「殺人鬼が自分で殺人鬼って言うかい? それに、俺は人を噂で判断しないようにしてるんだ」


 その言葉を聞いて、胸の中の何かが軽くなるのを感じた。冬木や柚子のように優しい人も居るのだ、少し安心したからである。


「そうか……ありがとうな」

「いえいえ、どういたしまして」


 もう少しだけ頑張ってみよう…………そう思う憂であった。




~~~~~




 何故、世界はこうも残酷なのか。


「それじゃあ二人組作って各自準備体操しろー」

「…………」


 この一ヶ月で憂はありとあらゆる存在に憎悪を抱いていた……今回は少しだけベクトルが違うが。


 元々憂は自分から絡みに行くような性格をしていない。突然「知らない人と二人組作れ」と言われても不可能に近い。しかも噂のせいでハードモードになっていると来た。先生の声はさながら「裁判長の死刑宣告」だ。


「憂、俺と組まない?」

「お前は神か?」

「何を言っているんだい君は……」


 と言う訳で柚子と準備体操をしていると、ふと階段端に座っている冬木が目に入った。どうやら彼女は見学らしい。


「あそこに座っているのは……冬木さん? 具合でも悪いのかな」

「あー憂は知らないんだったね。冬木さんは小さいころから身体が弱いらしくて、医者からストップが出ているんだって」

「へー、それで"風紀委員をしている"ってのは中々凄げぇなぁ」


 病弱であるにも関わらず、責任ある役職をこなす冬木に素直に感心する憂。その様子に柚子は隣で頷きながら話を続けた。


「この学校に入学したのも学費免除で両親に負担を掛けないためらしいし、本当冬木さんって凄いよね」

「三つ編み眼鏡で勉強出来て気配り上手な親思いとか……やっぱり女神か」

「残念だけど、冬木さん狙いは結構競争が激しいから諦めた方が良いよ」

「うるせぇな。女神の冬木さんに比べてお前は悪魔だな」

「はっはっは」


 その後も休み時間になる度に会話をする憂と柚子。

 それは好みや流行りの話題など、そういった他愛ない会話である。


 こうして、憂に新しい友達が出来たのであった。


「あぁぁ~~」

「あはは……お疲れ」


 放課後、何とか全ての授業を受けきった憂は瀕死になっていた。


「そういえば憂って部活何に入っているの?」

「帰宅部、特に入りたい部活とか無いしな」

「そっか。部活見学したければ一緒に回るよ」

「おうありがとな。それじゃあ」

「あ、憂待って。これあげる」


 そう言って柚子はカバンからプリンを取り出し、憂に手渡した。


「さっき、購買のおばさんから貰ったんだ。二個貰ったから一個あげる」

「貰えるもんなのか、こういうのって」

「ちょくちょく購買の手伝いしているから、そのお礼だってさ」

「ふーん……まぁ、そういう事なら貰っとくよ。ありがと」

「……そういえば最近、この近くに不審者が出てるらしいから、憂も気を付けなよ?」

「お前は俺のオカンか。はいはい気をつけまーす」


 適当に相槌を打ち、教室を出る憂。

 その姿を柚子は何処か不安げに見つめていた。


「大丈夫だよね……きっと」




~~~~~




「しっかし、まさかあそこまで噂になっているとはなぁ……」

『ははは、お前の慌てぶりは愉快だったぞ?』

「おい、何嬉しそうに言ってやがる」


 時は夕暮れ。行き慣れた帰り道に足を動かしながら、憂は今日あった出来事を振り返っていた。まぁ悪魔が煽りを込めた相槌をするので全然振り返れないのだが……


 そうやって悪魔と話していると、ふと疑問が思いついく。


「そう言えば、お前の名前をまだ聞いてなかったな。つか名前あんの?」

『無い』

「ふーん……じゃあこれまで通り"悪魔"で良いか」


 名前が無い事にそれ程興味が湧かなかった憂。例えあったとしても、こんな化け物に愛着など沸かしたくはないだろう。


「はぁ、何でこんな事になっちゃったんだろう……」

『悩みか?』

「お前のせいだ、お前の……って、何だこれ?」


 溜め息をしつつも、いつもの帰り道を曲がろうとする……が、そこには"立ち入り禁止"と書かれた看板"が道を塞いでいた。よく見ると奥の道路に深い穴が開いており、とても通れそうではなかった。


「うわ、行きはこんなの無かったじゃん」

『この程度お前なら平気だろう。とっとと進め』

「"進め"じゃねぇよ馬鹿。はぁ……他の道に行くかぁ」

『ふん、臆病者め』

「うっせ」


 憂は回れ右をし、()()()()()からその場を去った。




と言う訳で憂君の新しいお友達、柚子君です。


よろしければ評価お願いします。

10話まで毎日投稿。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ