5.酷い顔
少しグロいかもしれません。
「ご飯、ここに置いておくから……冷めないうちに食べてね」
廊下に置かれた手付かずの食器を取り換え、その場から心配そうに立ち去る亜梨実。
それもそのはず、あの事件以来、憂は部屋に引き籠ってしまったのだから……
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悪魔が力を見せた際に破壊された壁の音は外まで響いており、近隣住民らは警察に「爆発音があった」と通報を入れていた。
しばらくして灯央の家に警察が到着すると、玄関のチャイムを鳴らし家主に確認を取ろうとする。だが、当然反応は無い。それに加え家の周辺からは腐臭のような異臭がしていた。
「緊急事態」と判断した警察は強引に扉を開け、噎せ返る程の肉の腐臭に耐えつつ慎重に進みリビングに辿り着く。
すると、そこには目を疑うモノが散らばっていた。
腐臭の正体__それは"死体"、それも頭と胴は無くおびただしい数の腕と脚だけが乱雑に放置されていたのである。
後の報告によると計二六四本の手足、少なくても六六人の若い大人や老人、子供に至るまで様々な年層の人々が犠牲者になっていたのだ。
この異常さに警察は急いで他の部屋を捜索。例の儀式をした部屋の発見も時間の問題であった。
そして意識不明の状態で発見された二人はすぐさま病院に搬送。憂は血塗れではあるものの体に傷が無く、命に別条は無いと医者に判断されたが、灯央は病院に着いた時点で死亡と判別された。
それから憂が意識を覚ましたのは発見から二日後だった。
当然警察からの質問があったが、悪魔を語る事はなかった。あんな与太話、誰が信じるというのだ……それに、今の憂には話せない理由もあるのだから。
その後、この事件は"世紀の猟奇的殺人"として報道され、世間に大きな衝撃を与える事になる。
また謎の手足についても犯人の足掛かりは全く掴めず、この事件の不気味の悪さを引き出すのであった。
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事件から一週間後、現在憂は精神的苦痛により引き籠っている事になっている。
猟奇的な状況に置かれていたのだ死に方をするところだったのだ。本来なら精神崩壊していても可笑しくはなく、引き籠りになるのは仕方の無い事だと言えるだろう。
しかし、憂の精神は"ある意味"平然であった。何故ならそれは___
『また無視するのか、憂?』
「……うるせぇ、黙ってろ」
悪魔のせいである。
憂の意識が戻った瞬間、何故か脳内にあの悪魔の声が聞こえて来たのだ。初めは幻聴かと思ったが、どうやら契約の力で悪魔と念話が出来るようになったらしい。
要するに憂は今、悪魔に見張られている状態であった。
これでは誰にも本当の話をする事が出来ない……例え自分の母親だとしても。
憂は立ち上がり締め切りのカーテンを開ける。時は既に夜、部屋に月明かりが差し込む。窓ガラスに映る自分の顔はまるで「自分は絶望の中にいます」と自己紹介しているようだった。
どうでしたか。初めての書き物なので拙いとは思いますが、頑張って完結するのでよろしくお願いします。
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