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精神弱者のメサイア~誘拐犯に恋した少女の話~  作者: 独身ラルゴ
一章 : 誘拐犯に恋した少女の話
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第一章1.変わる覚悟

 2017年11月30日。


 冬が近づき周囲が厚着になり始めた頃。

 私の服は長袖一枚、服の数も少ないため着回している。


 教室の扉を控えめに開け自分の席へと座る。

 周りは私を見て少し嫌な顔をして目をそらす。

 いつものことだ、気にするなと言い聞かせて目を閉じる。


 しばらくたった頃だろうか。背後に誰かが立つ気配を感じた。

 振り返ろうと目を開けた瞬間、空から大量の水が降ってきたのだ。


「あら起きたの? 少し臭いが酷かったものだから洗ってあげようと思って」


 見ればバケツを逆さにして掲げる女の子がいた。

 いつもクラスの中心にいる、私がこうなった原因でもある女の子。

 ここ数年ずっと私に同じように接してきた。

 ずっと同じクラスだったのも仕組まれたもののような気がする。


「でもごめんなさい。こんな冬に水浸しじゃ寒いわよね」


 気を使っているようにも思える言葉。

 けれどそれだけはありえないと分かっている。

 次の瞬間再び水が降ってきた。


「ちゃんとお湯、沸かして持ってきてあげたからね」


 よく見れば湯気が立っている。

 少し反応を遅らせながらも蹲る。


「これで少しは綺麗になったわね。感謝するといいわ」


 満足したのか方向を変えて歩いていく。


 よかった、今日は大したことなくて。

 ゆっくりと立ち上がり雑巾を取りに行く。

 どれ程の熱湯だったのかは知らないがこうして無理なく歩けるということは火傷になることもなさそうだ。


 いつからだったかは覚えていない。

 私の体は熱を感じなくなっていた。

 体の自己防衛とやらが働いているのか。暑さも寒さも、この体で温度を計ることができない。


 こういう場面では便利だが少しばかり悩みどころもある。

 何をされても心も体も冷えたまま。

 私の体が温まることはもうないのかもしれない。




 帰り際に川に突き落とされた。今日は水責めの日らしい。

 大丈夫、寒さは変わらない。

 けれどそろそろ限界なのかもしれない。


 最近よく体が震える。

 傷だらけの体に散々無理を強いられてきたから、これ以上続ければ体はもたない。

 最も望まない形でこの日常は終わりを迎えることになる。


 だからそろそろ変えなくてはならない。

 陸に上がり笑いながら去っていく集団の中心を見る。


 毎日私で楽しめて、そろそろ満足したかな。そのうち飽きるだろうと思って待ってたけど結局あなたにとっては日常になってしまったんだよね。

 あなたが始めたこの日常だから、あなたには終わらせる責任がある。


 大丈夫あなたはなにもする必要はない。

 必要なのは私の覚悟。

 私はもう普通の日常には戻れない。

 全て捨て去る覚悟がいるけど、この日常も共に捨てられるなら構わない。


 明日で全部終わらせるよ。

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