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失業者救済保護財団  作者: へたのよこずき
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この世もあの世も糞だ、俺の魂もな。

初めての投稿作品、思い付きで書いているので雑な部分は多々見受けられるも思いますが気楽に読んでいただけるとありがたい。

3日前、上司の手は私の肩に当てられた。はて?なにか用事があるのだろうかと思ったがこの上司は用事があるときは見た目通りのでかい声で、まるでテレビを見ているときにかけられる掃除機のようなやかましい声で仕事を邪魔しつつ厄介な仕事を押し付けてくるのである。しかし今日はやけにニコニコした顔で俺の元にずかずかとでかい腹を揺さぶり、社員の皆が知っているヅラをなびかせながら軽い足取りで私の元にやってきた。

「なんで君の所に来たのか分かるかね?」

思い当たるふしはいくつかある、同僚の高橋と上司の悪口を喫煙所で言い合ったり上司のお茶にハナクソを(わざわざお茶汲みの柳沢さんの仕事を貰い)入れたことなどが頭をよぎった。理由は単純で上司とはそりが合わないのである、犬猿の仲という言葉がお似合いだと高橋によく言われていたし周りにも知られていることである。

「肩でも揉んでくれるんですか?」

「実にいい知らせがあるんだよ、桜井くん。」

「なんですかその知らせって、あの席がぼくのものにでもなるんですか。」

「残念ながら君の席はもうないよ、クビだ。」

「は?」

俺は職を失った。

理由は様々あるらしいが納得のいかない俺はとりあえず上司の顔面をぶん殴って警察を呼ばれ、色々あって今は家で大の字になって空気の上手さを感じようと努力している最中である。クビと言われた瞬間に頭に血が登り警察に話を適当にした以外の記憶はない。なぜクビになったかは忘れたがまあ上司殴ってクビになるならスッキリしていいや。と笑い飛ばしていた。

「これからどうすっかなぁ…」

幸い貯金には余裕があり今は仕事を探す気分ではない。しかし働かなければいけない。

「ヤニでも吸うか…あ、昨日でなくなっちまったんだ。」

タバコを吸うために立ちあがりその労力が無駄になることに多少ムカついたがまあ求人雑誌でも読みについでにコンビニでもいくかと思ったそのとき。

「ごめんくださーい。」

「あ、はい。」

チャイムならせやと思いつつドアの除き穴を覗いた、外にいる男は二十代後半位で俺と同じくらいの年に見える。そして、やけに笑顔というか新入社員の様な自信に満ちた感じである。髪の毛は短髪でその自信の影響かネックレスをしている。怪しいなと思いつつこのまま家ノ前に居座られるとコンビニにいけないので対応することにした。返事をした時点で居留守は使えないのでやむを得ない。

「なんのご用でしょうか。」

「私、こういうものです。」

差し出された名刺にはこう書いてあった。

「失業者救済保護財団 鎌田 邪悪」

失業者救済保護財団?なんだこれは。

「今回のご失業、誠にお悔やみ申し上げます。しかし、あなたはとても運がいい方です!今回は我が財団の初めての失業者なんですから。」

失業者と言われていい気分はしないが話を聞くと俺が失業した後というか昨日できた財団?らしい。というか怪しすぎる、昨日できたばかり、どこで俺が失業したことを知ったのか、こいつの名前はなんだ、親はアホなのかなどと色々考えたがこの男の一言が気になった。

「…というわけでですね、初めての失業者様の桜井様には残機を100差し上げます。」

「はぁ…残機ですか、なんですかそれは。」

「スーパーマリオってわかります?」

「はい、知らない人はいないでしょう。」

「あのマリオみたいにですね、死んでも復活できるようになることができます。」

「冗談でしょう早く帰ってください。」

俺はさっさとタバコを吸いたいのと怪しさ満点のこのナントカ財団に関わるのは得ではないと思った。というか多分関わりたいやつなんていないだろ…。

「本当によいのですね?チャンスを失っても。」

「はい、まず財団の目的が分からない以上関わりたいとは思わないので。」

すると男はため息をついて渋々姿を変えた、死神のような姿に。

「私は地獄から来た死神見習いといいますかまだ死神の仕事はできないというかクビになったというか…」

どうやらこの男が言うには自分は死神の新入社員だったらしい(死神って会社なのか)。しかし仕事ができずすぐにクビになったらしい、下の世界も上の世界もそんなに変わらない気がしてなんだかおかしかった。失業者救済保護財団はこの鎌田が立ち上げた組織らしく新しいビジネスらしい。失業者を救うのと死神の仕事の両方ができる画期的なものらしい。とりあえず財団というか鎌田に同情し部屋で話すことにした。

「残機を増やすって何?」

「実は地獄では魂は食料なんです、といってもこっちの世界でいう大トロやウナギみたいなもので普段は血とか寿命を食べています」

「魂と寿命は違うのか?」

「ええ、魂は寿命の延長というか果物でいうと熟したものが魂です。」

「へぇ、じゃあ年寄りの魂は上手いのか?」

「いえ、その人の生き方で味が変わります。どんな人でも魂は地獄へ、体は天国へ行きます。罪をおかした人は両方ともうちに来ますが」

「じゃあ輪廻転生はしないのか?」

「いえ、あなたたちの魂はいわば我々の糞です。」

「ウンコか。」

「はい。ジャコウネコのコーヒー豆みたいな感じです。」

「難しいな。あの世もこの世も。」

「はい。」

俺は1日だけ時間をもらうことにした、いきなり残機を増やすと言われてもよく分からないのでというか早くタバコ吸いたいのを理由に後日また来るように言った。

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