第2話「一撃必中、燃えろ竜撃! VSキングメタルスライム」(3)
第2話の3、公開しました。
もう少し早く公開する予定だったのですが、思いの外時間が掛かってしまいまして。
今回は状況説明的な話の後、智佳のバトルがてんこ盛りになってます。
え、智佳が主役の話なん?
みたいな事になってますが、あくまで主役は巨人なので。
って事で、楽しんで頂けましたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。
(7)
朝。
梨深、莉紗絵、紗都美は交易都市「プローラ」を後にし駅に向かっていた。
「いやぁ、まさか電車まであるとは。」
「結構地球と同じ物あるんやね。」
「電動やないから~電車とはちょっとちゃうんやけどな~。」
梨深は昨夜、街で仕入れてきた情報を2人に伝えていた。
この世界は電池の様に魔力を充填出来る技術が発達しており、それを乗り物や生活用品の動力に使用していた。
だがコンピュータの様な精密機器を作る技術や、電波を利用した通信方法はなかった。
この世界で1番小型の機械は時計になるが大きめの懐中時計くらいまでしか小さく出来ていない。
それも十数年前にもたらされた技術が使用されており一部の技術者のみが複製出来るとゆう状態だった。
いろいろな物に魔工技術が組み込まれている世界のようだ。
話ながら歩いているとすぐに駅に到着した。
階段を下りて見回すと自動発券機のようなものはなく、有人の券売窓口が複数並んでいた。
それぞれの窓口の上部に都市名が書かれている事から行き先毎の窓口になっているようだ。
3人は「ストファム」と書かれた窓口に並んだ。
すでに十数人並んでいたが程無く順番が回ってきた。
梨深が代表してカード差し出し、
「3人分~お願いします~。」
と声を掛けると窓口のお姉さんがにこやかに、
「3名分ですね。少々お待ち下さい。」
と返答し乗車券を用意してくれた。
「お待たせ致しました。乗車券3名分です。」
言いながら乗車券が差し出された。
受け取り窓口を離れると改札口に向かった。
ここでも自動改札等なく、駅員が乗車券の目視確認を行っていた。
「ストファム行きは5番レーンです。
間もなく列車が参ります。出発は20分後の10時となっております。」
丁寧な駅員の説明を受け3人は5番レーンに向かった。
向かっていると5番レーンに列車が到着するのが見えた。
列車は「プローラ」で見かけた乗り物と同じ様に浮いていた。
なのでレールは存在せず、道路のように舗装された道の上を走行しており、通路には事故防止用の障壁が張られいた。
3人は到着した5両編成の列車の真ん中の車両に乗り込んだ。
席は通路を挟んで左右に3人座れるくらいの広さのソファの様な椅子が10列づつ設えられていた。
椅子は布で覆われてはいるがクッション性はなく、お世辞にも良い座り心地とは言えない物だった。
「うわ、硬。」
「ほんまゴツゴツやな。」
開口一番莉紗絵と紗都美が感想を漏らした。
「やっぱ技術の発達が〜不十分みたいやね〜。」
そんな梨深の言葉に、
「やっぱ地球ってかなり発展してんやな。」
「ほんまの異世界とか来ると痛感するわ。」
と2人が口々に感想を述べた。
そんな2人に梨深が真剣な表情で話し掛けた。
「それでな〜何度か位置検索で調べたんやけど~。
智佳ちゃんが〜ストファムに居るんは〜確認出来てるんよ〜。
けどな~由維は全域調べたんやけど〜見つからへんのよ〜。」
「由維さんも一緒に転移したんですよね?」
とゆう紗都美の問いに、
「そのはずなんよ〜。」
答えながら思案顔になっていた。
「やっぱり〜昨日聞いた~空に浮いてるゆう都市に〜居るんやろか〜?」
幼馴染で親友の由維の所在が確認出来ず少し暗い顔をしている梨深に、
「その都市って結界で守られてるって言うてはりましたよね。」
「位置情報検索って生体反応を感知してるって事みたいやし、やっぱ結界が阻害してるんですかねぇ?」
「昨日も言うたけど〜その都市には簡単には〜行けへんらしいんよ〜。」
「んじゃ智佳さんと合流したらその都市の事調べんとですね。」
等と話していると発車を告げる警告音が鳴り響いた。
車内放送は聞こえてこないのでそうゆう機能はないようだ。
その音を合図にホームに事故防止用の障壁が発生した。
障壁と列車の間に残ってた乗客が急いで乗り込んで行く。
全員が乗り込むと入口のドアが閉まった。
そして小さな揺れを起こしながら浮き上がると、静かに動き出した。
こうして”ストファム”行きの列車が定刻通りに発車した。
(8)
闘技場の真ん中に立つ審判員が足元の抽選箱の中から選手の名前が書かれたカードを1枚取り出した。
予選の組み合わせは申し込み時に決められた闘技場で審判が都度決める為、直前まで誰と対戦するかわからないようになっていた。
審判は取り出したカードに書かれた名前を確認すると本日5選目となる対戦の選手名を読み上げた。
「対戦者、智佳!」
名を呼ばれた智佳は、
「じゃ、行って来るっす。」
とセラミネに声を掛け、
「智佳、頑張って!」
とゆう声援に後押しされながら闘技場に上がって行った。
すると、
「頑張れよ、お嬢ちゃん!」
「期待してるぞ!」
「応援してるわよ~!」
などと観客席から多くの声援が飛び交った。
昨日の予選での活躍が目に留まり応援者が急増したようだ。
だが審判が、
「ダングル選手!」
と対戦相手の名を告げると、
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
とゆう怒号が響き渡った。
智佳の対戦相手となったダングルは前々回の大会でベスト4に入ったほどの猛者。
なのだが対戦中の怪我で準決勝を棄権していた。
優勝候補と目されていただけに残念がる声も多く、本人も落胆していた。
前大会は調整が間に合わず棄権していたので満を持しての参戦だった。
完全復活を見せつけるように昨日の予選でも危なげなく勝利していた。
「でも、なんでダングルほどの選手がこんな一般の予選に出てるんだ?」
「試合勘を戻す為、って本人は言ってるらしいらしいけど、実は。」
「実は?」
「本予選シード枠の登録を忘れていたらしい。」
「本当かよ!?」
「実力はあるんだけど、なんだかなぁ。」
等と苦笑混じりの噂話が囁かれている事など知らず、
「お嬢ちゃん、昨日の試合見せてもらったぜ。
そこそこ実力はあるようだが俺には勝てねぇ。
時間の無駄になるから棄権したらどうだ?」
といかにも”やられ役”っぽい言動で智佳を挑発し始めた。
そんなダングルの言葉にポカンとしていた智佳が気を取り直し、
「はぁ。。
おっさん、それ完全に負けフラグっす。
余裕ぶっこいてると足元掬われるっすよ。」
あきれ気味に挑発し返した。
そんなやり取りの最中、審判は闘技場の横に作られた審判台(攻撃の余波を受けないように結界が張られている)に移動し「始め!」と開始の合図を出していた。
その言葉は聞こえていないようだが智佳の挑発に、
「おっさん、だと。
親切に言ってやりゃぁ付け上がりやがって。
軽くいたぶってやらぁ!!!」
ダングルは怒りも露に右手を握り智佳に殴り掛かった。
智佳の倍ほどの身長のダングルが振り下ろしてきた拳は速く、そして重かった。
当たれば勝負が決まる、そんな一撃に臆する事なく智佳は体を少し右にずらすと左手でダングルの右手首を捕らえた。
そして勢いを殺さないように右手を相手の肘に添えながら巻き込むように左に体を捻った。
通常反転して投げ落とすのだが智佳の投げは1回転捻る事でより大きなダメージを付加して投げ落とす。
のをダングルは強引に左手を地面に叩きつけると力任せに体を反転させながら足を地面に振り落とした。
動きが止まる。
智佳は3/4回転捻った辺りで動きを止められた。
ダングルは右腕を捕まれたまま左腕と両足で四つん這いの状態で止まっていた。
一瞬の出来事に客席が静まり返った。
先に智佳が腕を放すと軽く飛び退き、少し距離を取ってダングルに対峙した。
ダングルは右腕を解すようにグルグル回しながら立ち上がり、
「なるほど、口だけじゃないようだな。
まさかここまでの速さだとは思わなかったぜ。」
素直に実力を認める言葉を発した。
手合わせした事で相手の実力が本物だと感じたダングルは、
「前言撤回だ。いい試合が出来そうだぜ。
本気、出させてもらうぞ。」
不適な笑みを浮かべながら言葉を継いだ。
「望むところっすよ。
やっと思いっきり楽しめそうっすね。
じゃあ今度はこっちから行かせてもらうっす。」
言うや一歩踏み出した。
そして、消えた。
「何!?」
そのスピードに付いていけずダングルが智佳を見失った。
直ぐ様背中に2つ軽い衝撃を感じた。
瞬間、頭が前に振られ、目の前に智佳の背中が見えた。
と同時に体が引き倒される。
慌てて両手で支え地面に激突するのを防いだダングルは両側頭部に衝撃を感じ、一瞬意識が飛んだ。
が直ぐ様気を取り直し両腕に力を込め地面を押し返し、その勢いで立ち上がると飛び退った。
クラクラする頭を振って意識を正すと智佳を見据えた。
智佳はニッと笑っていた。
消えた様に見える程の速さで動いた智佳はダングルの背後に回ると2歩で背中を掛け上がった。
そして手を組むとダングルの後頭部にその手を引っ掛けながら前方に宙返りをすると回転の勢いと落下する力を使い引き倒した。
智佳は着地と同時に振り向くと右、左と連続でダングルの側頭部に蹴りを入れた。
これまでの予選では相手が弱く投げ技だけで終わっていたので初めて見せた攻撃技に、
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!
と固唾を呑んで試合に見入っていた観客席から怒号が響き、
「すごいじゃないか智佳!」
「すごいわ、すご過ぎよ~!」
「あのダングルを手玉に取ってるぞ!」
称賛の声が沸き上がった。
そしてダングルはその強さに、その速さに衝撃を受け、己の全てを出して戦わないと勝てないと悟っていた。
「その強さ、本物、だな。
まさか一般予選で奥の手を出す事になるとはな。
智佳、お前の強さに敬意を払おう。
受けて見ろ、我が奥義を。」
言い放ったダングルは後方に飛び、闘技場の端ギリギリの位置、闘技場全てを見渡せる場所に立つと、右足を前に踏み出して軽い前傾姿勢になり両腕を下げ左右に少し開いた構えになった。
そして両手から黒い煙のような気が見え始め、どんどんと大きくなっていく。
その所作を見ていた智佳は危機感を感じ取った。
闘技場全体に及ぶ、逃げ場のない攻撃。
そうゆう技を出そうとしていると確信した智佳は、
「武装解除!」
と小声で呟くと今まで身に付けていた武装が消えた。
そして、
「召喚武装、未。」
と小声で呟いた。
するとさっきまでのとは違う武装が装備された。
だがそれは一瞬の事だったのとダングルに目が行っていたのとで気付く者はいなかった。
智佳を注視していたセラミネ以外は。
「今の何?
智佳の装備が変わった?みたいだけど。。」
それが何を意味するのか判らなかったがダングルからの圧力が増し、謎は智佳への心配で掻き消された。
「智佳。」
その呟きが届いたかのように智佳がセラミネに目を向けた。
その目は「大丈夫!」と言っているように見えた。
意思を受け取ったセラミネは頷くとしっかりと智佳を見つめた。
と同時にダングルが動いた。
「行くぞ、智佳!」
強い意思の籠った声を発すると、両腕を開きながら肩の高さまで上げ胸を反らしながら腕を少し後ろに引いた。
そして、
「くらいやがれ、奥義・黒雲爆裂!!」
と叫びながら腕を前に振ると溜めていた物を一気に放出した。
解き放たれた黒い気は雲のようにモクモクと闘技場を覆い尽くしていった。
その雲が智佳をも覆い尽くそうとした時、靄のようなものが見えた気がした。
そして黒雲が智佳を覆った瞬間、数十回の小さな爆発が起こった。
どうやら雲に含まれたダングルの気が障害物に触れると爆裂するようだ。
その爆発は戦闘不能になるほどの深傷を負わせるのに充分な衝撃だった。
静まる客席。
「いやぁー!智佳!!」
そんな静寂をセラミネの叫びが引き裂いた。
あまりの衝撃に涙が溢れだすセラミネ。
そして雲が晴れる。
とそこに無傷の智佳が不敵な笑みを浮かべながら立っていた。
「ああっ。」
その姿を目にしたセラミネの顔が驚きの表情から笑顔に変わった。
そしてダングルは、
「なん、だと。」
驚愕した。
絶対の自信を持って放った必殺たる一撃。
それがまったく効果がなかったなどダングルにとってあり得ない事だった。
観客もあまりの出来事に言葉を失い、ただ事のなり行きを見守っていた。
「あり得ん。
この技を受けて無傷だなどあり得ん事だ。
いったい何をした!」
戸惑いで声が荒ぶる。
そんなダングルの問いかけに、
「いやぁ、さすがに今のヤバかったっす。
まさか裏技使わされるほど追い込まれるとは思わなかったっすよ。」
と冗談めかした表情で答える智佳だったが、
「けど。」
言葉を継ぎながら真剣な表情に変わっていった。
「今のはボクじゃなかったら再起不能レベルの大怪我してたっすよ。
それはボクの実力を認めたからっすか?
それとも怖がらせちゃったっすか?」
言葉に籠もった怒気にダングルは気圧され、背中に冷や汗が流れるのを感じた。
それは武闘大会不動の王者に大敗した時と同じ状態だった。
体が硬直し動けなくなっているダングルに、
「しばらくベッドの上で反省して貰うっすかねぇ。」
と告げると、
「武装解除!」
と発し装備を消した。
さらに、
「召喚武装、亥!」
と発して新たな武装を纏った。
そして力強く一歩踏み出し地を蹴った。
ドン!
と足音を轟かせると、その一歩でダングルの目前に移動し、その勢いを乗せた体をぶち当てた。
ダングルは避ける事も出来ずその衝撃で場外にぶっ飛ばされ、壁に激突した。
そして気を失った。
それを見届けた智佳は右腕を突き上げ観客にアピールした。
一瞬の間。
そして、
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
と怒濤のような歓声が沸き起こった。
それが合図となったかのように、
「場外!
勝者、智佳!」
と審判が勝利者を宣言した。
かなり長くなってしまいましたが、読んで頂けていたら嬉しいです。
智佳のバトル、いかがだったでしょうか?
バトル物なので、もっとうまく表現出来るよう精進していきたいと思ってます。
ほんとは智佳の技の説明まで入れたかったのですが長くなったので削りました。
次回の話の時に説明してくれると思います、智佳が。
次回も次の月曜に更新の予定。
出来れば朝のうちに。
お待ち頂けると嬉しいです。




