第11話「魔獣の森決戦ー二章ー、メリシスと都阿羅 VS悪意獣(メリスビースト)」(1)
第11話の1を公開します。
また遅れまくってしまった。
申し訳ありません。
今回の話は元々続編用に少し書き溜めてて流用やから直ぐ公開出来るやろ。
なんて思ってたら、時系列や台詞の調整で思ってた以上に時間が掛かってしまった。
けど、かなり気に入ってる話なので早めに出せて良かったと思ってます。
って事で11話は地球編。
楽しんで頂けたら嬉しくです。
(1)
「とりあえず、しばらく時間稼げるやろ。」
「せやな。ここでちょっとでも体力回復させとかんと。」
森の奥へと逃げ込んだ莉紗絵、紗都美、ポトフー、ポティロは崖の中腹に洞窟を見つけ、そこに隠れる事にした。
ポティロの魔法で入り口を隠し、少し落ち着く事が出来たが、ポティロは魔力の使い過ぎで眠ってしまった。
「それで、これからどうするんや?」
莉紗絵の問い掛けに、
「変身は温存しとかんとな。
まぁ、こんな感じで隠れながら、、しっ。。」
話していた紗都美が外の気配に気付き、言葉を止めた。
息を潜めて外の様子を伺っていると、1匹の魔獣が入り口の辺りを見ていた。
入り口はポティロの魔法で外からは周りと同じ山肌に見えるようになっているが、中からはマジックミラーの様に外の様子が確認出来るようになっている。
魔獣は入り口付近が気になるようでしばらく見ていたが、何も見つけられなかったようで、飛び去っていった。
「ここも、あんま長居は出来ないな。」
「せやな。なんとか梨深さんらが来るまで持ちこたえんとやな。」
「それに、さっさとランタル捕まえて地球に戻って都阿羅に」
「元気なとこ見せんとあかんしな。」
そんな2人の会話に、
「つあちゃん、て誰なの?」
ポトフーが質問で割り込んできた。
「都阿羅は我らの妹や。」
「ちょっと年離れてるんやけど、」
「「めっちゃ可愛いねん。」」
2人の嬉しそうな答えに、
「ままの妹、会ってみたいの~。」
ポトフーが楽しそうに思いを伝えた。
「都阿羅、どうしてるやろな。」
「我らが居らんようなって、泣いてるんじゃないか?」
妹の姿を思い出しながら、心配そうに思いを発した。
この時から遡る事、数日。
地球ではランタルの残した"悪意"による大事件が幕を開けていた。
(2)
「ここが第12118番辺境域。あれが”地球”なのね。
姉さんはこの星で・・・。」
青い惑星を見つめながらメリシスが呟いた。
同じ広域捜査官だった姉・レリシスはこの星で犯罪ランクSのトラジス星人ランタルを捕縛しようとした。
だが卑劣な罠に嵌まり2人の少女を助ける為、命を分け与えた。
そして。。
そんなしんみりした気持ちを振り払うように頭を降り、
「そうじゃない!」
自分に言い聞かせるように強い口調で発した。
顔を上げもう一度しっかり”地球”を見つめる。
「私はこの星を調べて、姉さんが残した物を探すのよ。
しっかりしないと。」
呟いたメリシスの瞳には決意の気持ちが漲っていた。
その時、船内に警報が鳴り響き、
「マスター。
ソノホシカラボウダイナ”メリス”ハンノウヲケンチシマシタ。」
宇宙船に装備されているAI・ソルが警告を発した。
「なっ!?」
コンソールに目を向けたメリシスは信じられない数値を目にし、驚きの声を漏らした。
通常レベルの500倍程の”悪意”反応値。
それはとうていあり得ないレベルだった。
あまりの異常事態に嫌な胸騒ぎを感じていた。
「地上に確認に向かうわ。小型艇の準備をして。」
この星は"悪意の種"に侵されている。
他の星と同じ"アレ"が起こっているのでは?
そうならばこの星を放ってはおけない。
メリシスは気持ちを引き締め、小型艇のある格納庫に向かった。
それが自身の運命を揺るがす大事件になろう事など、知る由もなく。
(3)
「昨日午後9時頃・・・。」
朝のニュース番組で昨夜の殺人事件が報じられている。
突然暴れだした男性が素手で複数人に重軽傷を負わせた。
どうやら今回は1人亡くなっているようだ。
そして犯人は暴れるだけ暴れると、生命力を使い果たしたように絶命する。
そんな事件がここ数日、頻発していた。
「今回は死者が出たんか。。」
「このところ本当にこの手の事件多いなぁ。」
ニュースを見ながら朝食を摂っていた鐘神夫妻は暗い気分になっていた。
その時、
「おはよう。。」
ダイニングのテーブルで食事を終え、くつろいでいる父と母に朝の挨拶をしながらキッチンに入った都阿羅は冷蔵庫からパックの野菜ジュースを取り出し、玄関に向おうとしていた。
そんな都阿羅に、
「おはよう、都阿羅。
今日も練習やんね。いつもの時間で良い?」
母が問い掛けた。
「うん、それでええよ。
ほんなら、行ってきます。」
短く返事を返すと玄関に向かい、扉を開けて出掛けて行った。
そんな娘の雰囲気に、
「あれから1週間。
また元気なくなってるなぁ。」
母の言葉に、
「やな。
にしても何処行ってもたんやろな、うちの双子は。」
父が疑問を口にした。
「本当になぁ。。」
母も表情を曇らせ呟いた。
「これが神隠しっちゅうやつなんかな?
まさか宇宙人に連れて行かれたんやろか?」
父の突拍子もない発言に、
「なんぼあの娘らが特撮ドラマばっかり観てたからて、そんなアホな事あるかいな。」
母が苦言を発した。
「すまんすまん。
けど、ほんまどこほっつき歩いてんねやら。。」
寂しげな言葉を漏らす父に、
「あの娘らはちゃんと帰ってくる。うちはそう確信してる。
ほら、さっさと仕事行かな遅れんで。」
母の叱咤する言葉が掛けられた。
「せやった。ほな行ってくるわ。」
父は言いながら立ち上がると玄関へ向かっていった。
(・・・宇宙人説、あながち間違いではなかったり。。)
(4)
「クソっ!
どいつもこいつも、何で俺の作品が理解出来んのや。
これのどこが古臭いゆうねん!」
バン!
書き上げ、印刷された小説原稿の束を壁に叩き付けながら、怒りを爆発させた。
かつては賞を取り、ベストセラーとなった小説を書いた事もあったが、近年は感性が時代に付いていかず、いくら書いても世に出る事はなかった。
それが深く重い憤りとなり蓄積されていた。
「おはよう、パパ。
朝ご飯できてるよ。」
父の怒声が聞こえていたので気後れしつつも、娘・大夜兎萌は努めて明るく声を掛けた。
だが父は、
「朝飯なんかいらんわ。
俺は忙しいんや。話しかけんなボケェ!」
苛立った声で怒鳴ると、
「このセンスが判らんやと。
俺が書いたもんが判らん奴らが古臭いんや。
せや、俺の感性に時代が付いてこれてへんのや。」
ぶつぶつ呟きながら自分の世界に入り込んでしまった。
「パパ。。」
そんな父を悲しげに見つめる兎萌の目には少し前から変な物が見えるようになっていた。
”黒い靄”
それが父の体から湧き出していた。
そして、それは日に日に濃くなっていた。
今日は靄に体全体が覆われ、父の体が見えなくなっていた。
以前、その事を母に話したが信じてもらえなかった。
そんな母からもたまに薄く靄が湧き出ている事があった。
それは両親だけでなく、ほぼどの人からも涌き出ていた。
ただ、ほとんどの人は見えるか見えないかくらいの薄さだった。
なので父の靄は異常だった。
けれど、見えるだけでどうする事も出来ずにいた。
台所に戻った兎萌は、
「パパ、朝ご飯要らないんだって。」
母に伝えた。
「ほんま、なんであんな風になってもたんやろ。。」
母からため息混じりの言葉が漏れた。
「ほんなら、父放っておいて食べよか。」
母の言葉に、
「うん。。」
寂しげに返事し食卓を囲んだ。
そしてたいした会話もなく朝食を終えると身支度を整え、
「いってきます。。」
と告げて家を出た。
家を出ると兎萌の表情は明るくなった。
これから幼馴染みの都阿羅に会える。
最近は彼女と居る時だけ安らげるのだった。
何故か都阿羅だけは”黒い靄”が見えないからだ。
1週間前、都阿羅の双子の姉達が行方不明になった。
その事で数日泣いていた事があった。
そんな都阿羅を励まそうといつもの通りの笑顔で話し掛け、楽しませた。
そうして彼女に笑顔を取り戻させた。
それ以来、彼女は暗い表情を見せる事はあるものの、いつも通り兎萌と接し、話してくれた。
そんな彼女だけが心の拠り所だった。
そろそろいつもの場所。
この路地を抜けると彼女に会える。
そして、
「つあちゃん、おはよ!」
表情明るく、元気に挨拶の声を掛けた。
如何だったでしょうか?
11話は都阿羅と兎萌とメリシスの話です。
異世界での話の裏で地球では?
な話になります。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
次回は火曜には公開したいです。
よろしくお願い致します。




