第1.5話 交易都市「プローラ」の夜は更けて。
大晦日。
になんとか今年最後の更新間に合いました。
少し世界観を説明する感じの閑話になってます。
楽しんで頂けると幸いです。
(1)
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!
激しく鳴り響くお腹の音に、
「ごっつい音やな~。」
と梨深が感心していると、
「なんか変身するとめっちゃエネルギー消費するみたいで。」
「もう体ほとんど動かへんのです。」
と言葉を繋ぎながら説明した。
「あかん、このままやったらここで野垂れ死んでまうぅ。」
「梨深さん、何か食べ物持ってません?」
とか尋ねていてふと思いだした。
「なぁなぁ紗都美、我ら帰りに食べよ思てパン買ってたよなぁ。」
「せやったなぁ。たしか鞄に、、って、せや鞄や。
たしかレリ姐が腕輪に付けてくれた収納機能に鞄入れてくれてたやん。」
「それや!」
言うや2人はレリシスの記憶にある収納機能の使い方を確認した。
腕輪の宝石に手を触れ収納内容を確認する命令、
『『収納物確認。』』
を脳内で唱えた。
すると収納物が頭の中に見えてきた。
その中の鞄に意識を集中し、
『『収納物取り出し。』』
と唱えながら宝石から手を放すとその手に引っ張られるように鞄が出てきた。
「「おお、ほんまに出てきた!」」
と歓喜の声を揃えながら鞄の中をまさぐってパンを取り出した。
そして3つづつ出てきたパンはあっとゆう間に平らげられた。
「「うんま~~!!」」
しみじみと感想が溢れ出してくる。
「なんかいつもより美味しく感じるわ。」
「せやな。けどこんなパンばっかり食べると喉乾くわ。」
と次の欲求が出てきた。
その様子をポカンと見ていた梨深が気を取り直し、
「ほなら~あっこの街~行ってみる~?」
と提案した。
「せやった。我らもあっこ行きかけてたんや。
なんか結構でっかいですよねぇ。」
広大な街の外壁を見ながら感想を延べる莉沙絵。
「たしかにでっかいよなぁ。
そういえばレリ姐が言葉通じるようにしてくれてんねんなぁ。」
「そのはずやで。」
「んじゃサクッと行きましょか。」
とか盛り上がっている2人に、
「けどな~問題もあるんよ~。
うちもレリシスさんから~いろいろ聞いてんねんけど~お金ないんよ~。」
と告げた。
「「え!?」」
その言葉に衝撃を受けた2人はレリシスの記憶を確認した。
「さすがレリ姐や。」
「そんなすごいもん持ってはったんや。」
2人は歓喜の声を発すると、
「「宇宙~マスターカード~!」」
と某ネコ型ロボットっぽい口調になりながらそれぞれがポケットからカードを取り出した。
こうゆう時はきっちり揃う双子であった。
「それ何なん~?
うちは~聞いてへんけど~。」
そんな梨深の疑問に、
「これは宇宙捜査官が捜査で立ち寄ったどんな星でも共通で使える装備品らしいです。
まぁ使った分の請求は宇宙連邦警察ってとこにいくみたいやけど。。」
「とりあえず稼げるようになるまでは使わせてもらいましょ。」
と説明した。
「なるほどな~。いろいろ便利な物が~あるんやね~。
ほんなら街行って~食事したりしよか~。
ああそれと~本名は隠しときたいから~ゲームん時のキャラ名で~呼ぶようにしとこか~。」
とゆう梨深の提案に、
「ですね。」
「それがええと思います。」
と同意した。
「ほんなら行こか~。」
そんな梨深の声を合図に3人は街に向けて移動する準備を始めた。
(2)
ヒィィィィィィィィィィィン
静かな高音を響かせながらバイクチャウダーで街門の近くまでやってきた。
3人はバイクから降りると、
「近くで見るとめっさどでかいなぁ。」
「街、なんてレベルやないなぁこれは。」
「ほんまに~ものすごいな~。」
それぞれ街門と街を囲む外壁の果てしなさに驚嘆の声を発した。
しばし見とれていたが、
「見とっても仕様が無いし~入って行こか~。」
と言う梨深の言葉に、
「ですね。」
「中はどないなっとんやろ?楽しみや。」
それぞれ同意の意を示すとチャウダーを犬型に戻し街門に通じる道に近付いて行った。
街門に通じる道はかなり幅広でコンクリートのような舗装が施されていた。
左右の端は歩道になっているようで少し段差が付けられおり、左側が中に、右側が外にと進行方向が決まっていた。
行き交う人々を見てみると人種以外に獣人やエルフ、ドワーフ等ファンタジーに出てくる種族も見受けられた。
だが装備を身に付けた冒険者とおぼしき者は見当たらなかった。
道路部分は真ん中に区切り線が引かれていて右側は門に向かい、左側は門から出てくる乗り物が往き来していた。
小型の乗用車型やトラック型、バイク型といった地球で目にする乗り物が見て取れる。
けれど車輪はなく宙に浮いおり、排気ガスの排出もなく、エンジン音も聞こえず動力が何か解らなかった。
「なんか~着てる物とか~乗り物とか~地球のと似てるな~。」
「けど乗り物は浮いてるんですね。」
「結構地球っぽいみたいやし、あんま違和感なさそうで良いですやん。」
等と話ながら街門に向かう人の流れに交ざって行った。
途中道の方に手を出そうとしたら見えない壁に阻まれた。
どうやら事故防止用の安全策が取られているようだ。
そして中に入る為の検問もなくすんなり街門内に入ることが出来た。
ただ壁はかなり分厚く作られているようで潜り抜けるのに5分程度の時間を要した。
街門を潜り抜けると街の様子に目を奪われた。
「おおお、めっさファンタジーっぽい建物が並んでるやん。」
「なんか城っぽいのんも見えるし、こんなん見たら異世界って感じするわ。」
「せやけど~扉が自動ドアに~なってるのもあるやん~。」
3人の言葉通り中世風の街並みなのだがところどころに機械仕掛けっぽいものが交ざっている。
高度な技術が存在しているようだが、スマホのような物を持っている人は見られなかった。
「ほんならうちは~街を散策しながら~いろいろ調べてくるから~2人はご飯食べて~回復しよって~。」
言いながらスマホを取り出し時間を確認した。
「なんか~午前3時っなってるな~。
だいぶズレてんな~。
ここの時間が~どうなってるか判らへんし~とりあえずこのままで~。
ほなら~5時間後に~ここでって事で~。」
と指示を出した。
「了解です。」
「ほなら我のカード持っといて下さい。
お金要る思うんで。」
紗都美が自分のカードを渡した。
「おおきに~。ほんなら預かっとくわ~。」
そう言いながら受け取り、
「ほんなら~後でな~。」
と声を掛けるとそれぞれ街中へと入って行った。
(3)
「お待たせ~。」
声を掛けながら梨深が待ち合わせの場所に戻ってきた。
手には紙に包まれたコロッケのような食べ物を持っている。
戻ってきた梨深に、
「お疲れです。」
「どうでした?」
と尋ねると、
「そやな~だいたいの事は~判った思うよ~。
細かい事は~おいおい話すわ~。
そっちはどやった~?」
そう答え尋ね返してきた。
「いやもう粉もんがめっさ充実してて。」
「お好みとかたこ?焼きとか、物凄く美味しかったです。」
口々に答えた2人の手には豚まんのような物が。。
どうやら食文化も地球に近しい物が揃っているようだ。
そして、
「とりあえず~泊まる所は確保しといたし~これから名物スポット行こか~。」
梨深が切り出した。
「なんですのん?」
「なんか面白いとこあったんですか?」
2人が尋ねると、
「ええ感じに~暗くなってきてるし~良い物見れるで~。
ほな行こか~。」
と答えながら先導して歩き出した。
「なんやろ?」
「めっさワクワクするわ!」
等と嬉しそうに話す2人を梨深が連れて来たのは「星見の展望台」だった。
展望台に上がった3人が見たのは、
「おお、何かめっさすげー!」
「星が降って来そうや!」
「話には聞いてたけど~めっちゃ綺麗やな~。」
歓喜の声が漏れでる程の満天の星空だった。
そんな美しい星空に見惚れていた莉沙絵と紗都美は、
「こんなええ星の人らを苦しめようとしとるランタル。」
「絶対捕まえてこの星守ったる!」
決意新たに言葉にした。
それを聞いた梨深も、
「せやな~早よ捕まえて~元の世界に戻らなな~。」
思いを口にした。
「ほんなら~まずは由維と智佳~見つけんとな~。」
「ですね。何か困ってるかもしれませんし。」
「せやな。明日から忙しなるで。」
と話していると、
「なぁなぁ知ってる?
ストファムで開催されてる武闘大会の話。」
「知ってる知ってる。
何か謎の武術使うすごい強い女闘士が予選で暴れてるって話やろ。」
「それそれ。名うての闘士が何人も倒されたって。」
とゆう会話が聞こえてきた。
3人は顔を見合わせ、
「「「はぁぁぁ。。」」」
とため息を付いた。
「今の話に出てきた女闘士って。」
「絶対智佳さんの事ですやん。」
「ほんま~分かりやすい子やわ~。」
あきれつつも無事らしいとわかり安堵の表情が浮かんでいた。
「ほんならまずその”ストファム”ってとこですね。」
「せやな。梨深さん、場所って判ります?」
「地図買ってるから~判るで~。」
「ほな宿に戻って備えましょか。」
「それがな~泊まる所~凄いホテルやねん~。」
「ええ、マジですか。」
等と話しつつ3人と1匹は宿泊先のホテルへと向かった。
そして”プローラ”の夜は更けていった。
とゆう事で次回2話はオーニオを探しにストファムの街に向かいます。
武闘家オーニオの能力とは?
バトル絡めつつ次の敵はキングメタルスライムになります。
巨人はどんなバトルを見せるのか?
1月12日くらいからの公開になると思います。
2019年もよろしくお願い致します。
※誤字修正しました(2019/1/4)