第8話「地底湖からの侵入者、巨大な蟹を料理しろ! VSジャイアントソォーンクラブ」(5)
第8話の5、公開です。
ものすごーく遅くなってしまいました。
お待ち頂いていた方には本当に申し訳ありません。
この所本業疲れが酷くて。。
書こうとしても寝てしまうのです。
で、早起きも出来ない、と。
それでも何とか書き上がりました。
かなり、文字数増えてますが。。
由維の戦いをがっつり描いてます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(15)
「ココニアレガ眠ッテイルノネ。」
クォリュシュはひとり言ちながら転送陣を下りた。
ここはリカーラ達が普段使っている転送陣ではなく、真行路反太が秘密裏に設置した場所の1つ。
”バアルス”には普段使われているもの以外に5つの転送陣が設置されていた。
その転送陣は真行路とクォリュシュ達しか使えないようになっている。
クォリュシュが今回使ったのは前に魔獣の暴走事件があった広場からさらに奥に入った所にある巨岩の前に設置されていた。
クォリュシュは巨岩に近付き手を振れながら、
「起動シナサイ。」
命じた。
すると巨岩が揺れだした。
揺れは徐々に強さを増しながら浮き上がるように上に向かって動いた。
見ると巨岩に4本の足が生え、頭が突きだしていた。
それは巨大な岩亀だった。
「早ク来ナサイ、”界渡り”ノオ嬢チャン。
楽シイ試練ガ待ッテルワヨ。」
楽しげな声の様な電子音声でひとり言ちながら、巨大岩亀を広場の方に向かわせた。
(16)
「状況は?」
リカーラがオペレータに問い掛けた。
「今ので魔力不足です。チャージ出来るまで少し待って下さい。」
「わかったわ。
準備出来たら声を掛けて。」
「了解しました。」
オペレータの返事を聞き流し、
「あれはどうゆう事かしら?」
由維に問い掛けた。
「あれがさっき話した”殺戮人造人間”って奴や。
この世界の創造主て言われてる真行寺反太がうちら”界渡り”に何かしらの試練を仕掛けてくるらしいんや。
それはこの世界に”ランタル”が来たんと関係してるみたいなんよ。」
「その”ランタル”と言うのがこの前の事件の現況、だったわね。」
「せや。ほっといたらこの世界がめちゃくちゃにされてまう。
うちらはそれを食い止めたいんよ。」
力の籠った返答に、
「あなた達”界渡り(トラベラー)”がここに居ること。
そしてこの”試練”とゆうのがどうしても必要、と言う事なのね。
そう言うことなら出来る限り協力するわ。」
リカーラが自らの決意を言葉にした。
その時、
「リカーラ先生、準備出来ました。転送、行けます。」
オペレータが声を掛けてきた。
「直ぐに転送して。」
リカーラは答えると転送陣に上がり、由維も続いた。
乗ったのを確認し転送が開始される。
そして2人の姿が消えた。
(17)
「メルフォアせんせぇ、きょうは由維せんせぇいないの?」
休養日の今日は昼食後、夕方まで遊んでいられる為、全校生徒が思い思いの場所で休みを楽しんでいた。
だが教師達は安全管理の為、交代で監視を行っていた。
けれど今日は月に1度の物資補給の為、かなりの人員が割かれ残っているのは一般教科担当の女性教師だけだった。
「由維先生は学園の仕事で出掛けてるの。ごめんね。」
赴任して間もない由維は”歌”とゆうこれまで知らなかった楽しさを教えてくれる事や、他の先生達より年若く子供達の年齢に近いとゆう事から、すでに慕われていた。
まぁ、実際は友達感覚に近いものなのだが。。
特にセシリネ、ニモーニとは親密度が高かった。
「そっかぁ、じゃあしょうがないね。」
メルフォアの言葉にがっかりしながらニモーニはセシリネに話し掛けた。
「そうだね。
じゃぁ、なにしてあそぶ?」
セシリネも同じようにがっかりした表情で問い掛けた。
「じゃあさ、ひろばいこうよ。」
フィルナの提案に、
「そだね。」
「うん、いこう。」
セシリネとニモーニも同意し、3人は広場のある森の入り口に向かって歩き出した。
「ねぇねぇ、なにしてあそぶ?」
「あたし、かくれんぼがいい。」
「あたしはわんちゃんもふもふしたい。」
そんな事を話ながら歩いていると、
ズン!
ズン!
とゆう地響きがして、
「メルフォアせんせえ、たいへんだよー!」
「やまがうごいてる。」
そんな事を叫びながら広場の方から森を抜け、子供達が逃げてきた。
見ると愛玩用の魔獣も一緒に逃げて来ている。
いったい何事かと森の奥、広場の方に目を凝らすと、巨大な岩が動いているのが見えた。
それはこちらに近づいて来ているようだった。
「みんな、早くこっちに!」
メルフォアの叫びに子供達が大慌てで森から出てきた。
森の方に人が居なくなったのを確認したメルフォアは前の事件を踏まえて配備された結界発生装置を作動させるリモコンの起動スイッチを押した。
ちょうど広場のあたりまで来ていた岩山が結界内に囚われた。
だが歩みを止める様子はなく、結界にぶつかり破壊しようとしていた。
「みんなこっちよ!」
メルフォアの誘導で子供達が走り出した。
その時、校舎からリカーラと由維が姿を現した。
「あれはなんなの?」
リカーラが驚愕の声を上げた。
「あれは、巨大岩亀。
最悪や。。」
由維が表情を曇らせながら、絶望的な言葉を発した。
(18)
少し前。
「おかえりなさい、リカーラ先生。」
オペレータが普通に応対しているのに違和感を感じ、
「私達の前に誰か転送されて来なかったかしら?」
オペレータに尋ねた。
「いえ、誰も来ていませんが。」
「誰も、来ていないの?」
「皆さんが下りられてからは誰も。」
「それじゃ、あの機械人間は何処に行ったと言うの?」
複雑な表情で悩んでいるリカーラに、
「ここ以外に転送陣がある、って事やないですか?」
由維が話し掛けた。
「転送陣はここと、倉庫にあるものだけよ。
それ以外は。。」
言い掛けたリカーラの言葉を遮るように、
ズン!
ズン!
とゆう地響きと共に建物が小さく揺れた。
「やっぱり隠し転送陣があったみたいやね。
あいつが何か動かしたんや。」
言い終わると同時に由維が駆け出した。
「緊急警戒レベルSよ。
子供達を避難所に向かわせて。」
「了解しました。」
リカーラはオペレータに指示を出すと由維を追って飛び出した。
(19)
「あれはなんなの?」
出入り口から飛び出したリカーラが森の奥で動いている岩山を見て驚愕の声を上げた。
「あれは、巨大岩亀。
最悪や。。」
由維が表情を曇らせながら、絶望的な言葉を発した。
それを聞いたリカーラが、
「最悪、ってどうゆう事?」
焦り気味に由維に詰め寄った。
「あれはうちの力と1番相性が悪い奴やねん。
あれには”歌”が通用せえへん。
倒すには物理的な力がないとあかんのや。」
由維の説明に、
「それじゃ、ここはどうなるの?」
絶望感を感じながら問い掛けた。
その言葉を聞きながら由維は迷っていた。
自分の力で唯一対抗出来る手段はある。
けれどそれは使いたくない力だった。
答えるのを躊躇っていると、
「「由維せんせー!」」
セシリネとニモーニが駆け寄ってきた。
「せんせぇ、あれなに?」
「こわいよぉ。」
怯え、すがり付いてくる2人の泣き顔を、そして逃げて来る子供達の顔を見た由維の表情が引き締まった。
『躊躇ってる時やない。この子ら守れるんはうちだけやんか。』
戦う決意を固めた由維は2人の頭を優しく撫でながら、
「あんなんうちがやっつけたる。
せやから皆と隠れとって。」
笑顔で告げ、
「リカーラさん、この子達頼みます。
うちが食い止めます。」
リカーラに2人を託した。
そして指輪のストレージからマイクを取り出した。
それを見たニモーニが、
「由維せんせぇ、おうたうたうの?」
きらきらした目を向けながら尋ねた。
「せや。この前みたいなステージ見せたるから楽しみにしとき。」
由維の宣言に、
「うん、わかった。」
わくわくした表情で答え、
「セシリネちゃん、せんせぇがまえにはなしたのみせてくれるんだって。」
「え、そうなの。たのしみだよぉ。」
話ながらリカーラに連れられ離れていった。
「ほな、いっちょかましたろか。」
自身を鼓舞するように力強く言い放つと、マイクのスイッチをオンにして光のステージを出現させた。
ステージに乗った由維は、巨大岩亀に向かって行った。
(20)
「ヤット来タワネ。」
近付いてきた由維に気付いた”殺戮人造人間”のクォリュシュが声を掛けた。
そして、
「オヤ、ナカナカハデナカッコウダネ。
オマエノチカラハ”マジカルステージ”カ。イイシレンニナリソウジャナイカ。
ジックリミサセテモラウヨ。」
余裕のある雰囲気で挑発してきた。
「機械の耳にも響かせたるわ。
うちの歌は、めっちゃ刺さんでぇ!!!」
由維の高らかな宣言と同時にステージから10個の球体が現れ、巨大岩亀の廻りを四方八方から取り囲む形で配置した。
そして球体からイントロが流れ、
♫心蝕む邪悪な闇を
白く染め上げ癒したる
うちの美声が届いたら
どんな汚れもイチコロや♪
由維の歌声が球体から流れ出した。
そして、
『モードII、攻撃形態。』
脳内で球体の形態変更の指示を発した。
すると球体が直径3センチ、長さ10センチの筒型に変形した。
攻撃形態とは声を音波砲として発射する”マジカルステージ”の戦闘形態なのだ。
けれど、歌を武器にするのを好まない由維はこのモードを使わず普段は支援に徹していた。
「ホウ、バトルモードジャナイカ。
ヤルキアリッテコトダネ。
イイヨオジョウチャン、ヤッテミナ。」
クォリュシュの挑発は歌っている由維には届いていなかったが、それに答えるようにテンションが上がっていく。
♫世界が真っ暗になったら
うちが光って照らしたる
白く輝くこの声に
メロってもても知らへんで♪
歌に合わせて棒体の出力部分が光出す。
♫うちはマジカルアイドル
どんな敵にも負けんのや
アイ・ラブ・ユー魔法の言葉で
あんたのハートをめった打ち♪
由維の歌の調子が上がるにつれ棒体の光が輝きを増していく。
そして、
♫うちに惚れてもあかんで
ひとりのもんにはなれんから
全人類の心を癒す
マジカルアイドル キャ、ロ、ンやで♪
歌い切ったのを合図に全ての棒体から巨大岩亀に向けて音波砲が声エネルギーを音波光線に変化させ打ち出した。
それを、
ルオオオオオオオオオオン!!!
雄叫びを上げた巨大岩亀が甲羅部分を振動させ砲撃を打ち消した。
「アラ、ザンネン。
ソノテイドデハゼンゼンタリナイワヨ。」
クォリュシュが楽しげな感じの電子音声で声を掛けた。
全力で歌った由維は、
「これでも、あかんのんか。。」
片膝を付き、力なく頭を下げた。
「コレデゼンリョクナノカシラ?
ナラ、コレマデネ。」
クォリュシュの言葉に反応して巨大岩亀が、
ルオオオオオオオオオオン!!!
一吠えすると、口の奥を振動させ超音波砲の発射準備に入った。
その時遠くから、
「由維せんせぇ、まけないでぇ!」
「由維せんせぇ、がんばってぇ!」
小さな声援が聞こえてきた。
(21)
学園に造られていた対衝撃構造になっている地下室に子供達を移動させようとリカーラ達が誘導していると、由維の声が聞こえてきた。
その歌声に興味を惹かれ、子供達は中々動こうとはしなかった。
「やっぱりせんせぇのうたはわくわくするぅ。」
前に聞いた事のあるニモーニが感想を述べた。
「これが由維せんせぇの、うた。」
これまで授業で聞いた歌より力強い歌声にセシリネも引き込まれていた。
人数も多く、動きの鈍っている子供達を何とか避難させようと焦っていると、
ルオオオオオオオオオオン!!!
とゆう恐ろしげな咆哮が響き渡り、由維ががっくりと跪いているのが遠巻きに見えた。
「せんせぇのうた、きこえない。」
「せんせぇ、やられちゃったの?」
セシリネとニモーニが泣きそうな顔で言葉を発した。
その様子に、
「これで終わりなの。
これが予言の結末だと言うの。」
リカーラが小さく呟いた。
その”終わり”とゆう言葉に、
「そんなのやだよう。」
「せんせぇ、たすけてぇ。」
子供達が一斉に泣き出してしまった。
そんな中、2人だけはあきらめていなかった。
その時、
ルオオオオオオオオオオン!!!
また咆哮が響き渡った。
目を向けると巨大な亀の口が大きく開き、由維に向かっていた。
由維が危ない、そんな気持ちが2人を動かした。
「由維せんせぇ、まけないでぇ!」
「由維せんせぇ、がんばってぇ!」
セシリネとニモーニは精一杯声を張り上げ、由維に最大級の声援を送った。
(22)
「これは、セシリネとニモーニの声や。
こんな声聞かされたら、へこたれとられへんやん。」
言いながら、気力を振り絞り立ち上がった。
「子供泣かしてもて、先生失格やで。
守るとか言っといて、これやと格好つかへんわ。」
由維はひとり言ちながらステージを巨大岩亀の上に移動させたのを追い掛け、亀の口が上を向くと同時に超音波砲が発射された。
それを由維は甲羅の方へ移動して回避した。
そして、
「あの子らの声援で力湧いてきた。
おかげで悩んでた新曲の歌詞も、ハマったで。
これで、決めたる!」
奮い立った気持ちに反応するように指輪の宝石が緑色に輝きだした。
「これが、変化か。」
梨深から聞いていたのを思いだし、意識を集中させると新たな棒体を4つ出現させる事が出来た。
今まで最大10個しか出せなかったのが、14個出せるようになったのだ。
それを2つづつの組にして、6セットの棒体を巨大岩亀の廻り、四方八方に配置し直した。
1セットは気付かれぬようクォリュシュに照準されていた。
「うちの歌は、突き刺さるで!!!」
気合いを口にし、イントロを流した。
そして力強く熱い声で歌いだした。
♫今この世界の人々が
巨悪の力に跪く
心が闇に囚われて
笑顔の花が消えてまう
今この世界の人々が
巨悪の力に跪く♪
「コレハ、サッキヨリアツイ!?」
クォリュシュは由維の歌声の熱量の変化に気付いた。
さっきよりも魔力が高まっているの感じ、
「コレナラ。。」
小さく呟いた。
♫心が闇に囚われて
笑顔の花が消えてまう
あきらめ閉ざされた心を
うちの声で救うんや
光輝く歌声が
晴れた世界を取り戻す♪
熱の籠った歌声に反応して、棒体のそれぞれが虹の七色を構成している色に光り出した。
歌に込められた魔力がどんどん収束していく。
そして、
♫つらぬけ悪を!
歌う声は正義の力
紡ぐ言葉を音に乗せ
悪の野望を打ち砕け!
七色声光線で
大勝利や!♪
歌のエネルギーが頂点となり、棒体から高出力の七色音波光線が打ち出された。
ルオオオオオオオオオオン!!!
巨大岩亀が対抗するように甲羅を振動させる。
が、出力が高まった七色音波光線を打ち消す事が出来ず、6つの光に貫かれた。
そして1本の光がクォリュシュを貫いていた。
「これで、どや。」
全力を出し切ってふらつきながらもドヤ顔でクォリュシュに声を掛けた。
「ミゴトネ、ゴウカクヨ。」
胴体部分で分断されたクォリュシュが称賛の言葉を発した。
それを聞き安心したように、
「守った、で。」
呟きと共に倒れたゆいの乗ったステージが静かに地上に下りていった。
如何だったでしょうか?
由維の為にバトル用の新曲書きました。
また、ヤバげな詞になってたりします。
そして試練を乗り越えました。
そして次回は双子のバトル。
蟹との一戦、楽しみにして頂けたら嬉しいです。
少しでも巻き上げれるようがんばります。




