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第1話「巨人になった女子高生!? VS巨大ゴーレム」(4)

(9)


莉沙絵ホクス紗都美ミミナが目指したのは交易都市「プローラ」。

大型商業施設のある交易で財を成すこの都市は今日もいつもと変わらずにぎわっていた。


「ふぁ~っ。。」


都市の外壁の東西南北に設置されている見張り部屋の西側室内。

外側の見張り窓を担当していた男が目を覚まし大きな欠伸あくびをしていた。

これまで緊急の事態など起こった事もなく見張りの男達はうたた寝していたり本を読んでいたりと交代までの時間をのんびりと過ごしていた。

その時遠くで、


ドーーーーーン!!!!!


と轟音がするのが聞こえた。

今まで聞いた事のない激しい音にくつろいでいた3人の見張り番の男達が大慌てで見張り窓に取り付いた。

そこから見えたのは巨大なゴーレムが腰高ぐらいの大きさの黒い牛人と戦っている姿だった。

ゴーレムが進んで来たらこの都市に到達すると感じ男の1人が緊急警報のボタンを叩いた。

と同時に都市全体に非常警報が鳴り響いた。

鳴動テスト以外で非常警報が鳴らされるのは初めての事で、


「え、非常警報?」

「鳴動確認のテストじゃないの?」

「何。何。これって本当の警報なの?」

「警報鳴るほどヤバい事起きてるの?」


と人々は騒然となっていた。

その時再び、


ドーーーーーン!!!!!


と激しい音が響いてきた。

前のより大きい音だったので都市内にも届いていた。


「何、今の音。」

「なんか凄い音だったけど。」

「さっきの警報ってこの音に関係あるの?」

「あの音出してる何かが近づいてるって事なの?」


かなり危険な事が迫ってきている。

その事だけは理解出来たようで人々が混乱し始めた。

逃げる為音がしたのと反対の方のゲートに向かって走り出す者。

好奇心から高台になっている「星見の展望台」に上がる者。

その展望台から見えたのは今まで見た事のない大きさのゴーレムと黒い牛人。

そして近付きつつある驚異。

だがそこに少しの希望を感じていた。


「おい、あれってここを守ろうとしてるのか?」


都市に迫ろうとするゴーレムを押し止めている牛人。

人々は希望の目を向けていた。

だがそれも少しの間の事だった。


(10)


ドドーン!!!


遠くで何か大きな物がぶつかったような音が聞こえてきた。

と同時に強い振動が感じられた。

その音と振動に何事か?と莉沙絵ホクス紗都美ミミナとチャウダーは足を止め音のした方に目を向けた。

音がしたのは少し遠くのようで見えたのはゴーレムの頭だけだった。


「何かでっかい頭がんなぁ。」


と呟く莉沙絵ホクスに、


「せやなぁ。ごっつい頭やなぁ。

 あれってゴーレムやろ?

 あんな大きい(でかい)のんが出てくるイベントなんてあったっけ?」


紗都美ミミナは同意したつつも疑問を口にした。

その時ゴーレムの右腕が振り上がり、それをかわすように飛び退すさる黒い影が見えた。

それを目にした莉沙絵ホクスが、


「なぁ、今の黒いのんミックルスやなかった?」


紗都美ミミナに問い掛けた。


「なんかそんな感じやったような。。」


と答えていた時、こちらに向かって飛んで来る青い光に気付いた。


「って、あの飛んでよんウィーディムちゃうん?」

「せやな。パプリが手ぇ振ってるやん。」

「「お~い!!!」」


と言いながら二人は手を振り返した。

気付いた梨深パプリは二人から少し離れた所にウィーディムを下ろした。

ウィーディムに地上に降ろしてもらうと、


「おおきにな〜ウィーディム。

 ウィーディム、リターン!」


お礼を言い、命令コマンドを唱えた。

その命令コマンドに反応しウィーディムは人形に戻り梨深パプリの手に収まった。

梨深パプリは箱に収納する(しまう)と近づいてくる2人と1匹に目を向けた。


「「パプリ~!」」


と声を掛けながら駆け寄ってくる2人と1匹。

をじっくり眺める梨深パプリは違和感を感じていた。


「会えてよかったわ。」


とほっとした声の莉沙絵ホクス


「ほんまやで。

 何かボケてるみたいで何でパプリらとはぐれたか思い出せんくて。」


紗都美ミミナも安堵していた。


「で、キャロンとオーニオはどないしたんですか?」


莉沙絵ホクスが2人がいない事を尋ねた。

そんな2人をじぃ~っと見つめながら梨深パプリは、


『やっぱ~記憶が混乱しとんな~、これは~。』


とか考えていた。


『どうやったら~思い出すやろ~?』


とか思案している梨深パプリに、


「パプリ、どないしたんです?」

「2人に何かあったんですか?」


と心配そうに声を掛ける莉沙絵ホクス莉沙絵ミミナ

その声で我に返ると2人に、


「りっさん〜、さっつん〜、レリシスって知ってる〜?」


とあえて実名の愛称で尋ねた。


「「レリシス???」」


その言葉に2人が反応した。

気になる言葉。

もやっとしていた思考に何かがひらめいた。

そしてそれが名称であると気付いた。


「「レリシス。」」


今度はそれを名前と認識し声に出した。

その時思考をぼやかしていたもやもやが消えレリシスから引き継がれた記憶がよみがえった。

と同時に自身に起こった命を失いかけたとゆう出来事を思い出した。

うつむく2人。

体が小刻みに震えているようだ。

どう声を掛けようかと梨深パプリが悩んでいると、


「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」」


とゆう2人の熱い雄叫びが轟いた。

突然の変化に戸惑う梨深パプリ他所よそに、


「りっさん、これって。」

「さっつん、これって。」


と顔をほころばせながら、


「「めっさ特撮やん!」」


と歓喜の声を上げた。

そして梨深パプリは思い出した。

2人がアニメや特撮好きでとりわけ特撮ドラマが大好きだとゆう事を。


「そういえば〜2人共特撮好きやったなぁ〜。」


とゆう梨深パプリの声も耳に入らないようで、


「って事は我ら変身出来るって事やんなぁ。」

「せやで。ああもうめっちゃ上がるわ。」


と「死にかけて宇宙人と融合した」、何て事よりも変身出来るとゆう事実に盛り上がっていた。

その時、


ドドーーーン!!!


とゆう轟音が響き大地が揺れた。

ミックルスが限界だと感じ取った梨深パプリは脳波で、


『ミックルス〜、リターン!』


と唱えた。

人形になったミックルスが梨深パプリの手に戻ってくると、


「おつかれさん〜、ゆっくりやすみ〜。」


と声を掛け箱に戻した。

障害がなくなったゴーレムは都市への進行を再開した。

梨深パプリは2人に、


「あれ〜、たのめる〜?」


と声を掛けた。

2人は進みだしたゴーレムを見つめると意を決した表情で互いの顔を見る。

そしてうなずき合うと、


「ほなデビュー戦、ぶちかまそか!」

「リアル特撮、めっさ燃えるわ!」


と高ぶった声を発した。

ゴーレムの位置を見て、


「こっからやとちょい遠ない?」


莉沙絵ホクスが問いかけると、


「せやな。

 ここでやると梨深りみさん巻き込んでまうし。

 ちょい近付こか。」


そう言うと紗都美ミミナは側でおすわりして待機しているチャウダーに、


「チャウダー、モードB!」


命令コマンドを発した。

すると、


ワゥーーーーーッ!!!


と吠えながらチャウダーが変形を始めた。


チャウダー・モードB

犬型変形ロボ・チャウダーのバイク形態。

大型のサイドカーへと変形する。


とか説明してるうちにアニメっぽい変形プロセスを経て犬からサイドカーへと姿を変えた。


「ほな行こか。」


莉沙絵ホクスに声を掛けながら紗都美ミミナがバイクにまたがりハンドルを握った。


「よっしゃ、突撃や!」


意気揚々と莉沙絵ホクスはサイドカーの方に乗り込んだ。

それを確認した紗都美ミミナはアクセルグリップをゆっくり捻る。

それに反応するように電気エンジンが、


ヒィィィィィン!


と静かな高音を上げながら動き出した。

さらにグリップを捻ると徐々に加速しながら梨深パプリから遠ざかって行った。

そしてほどなくゴーレムに近付いた。

間近に迫るゴーレムの大きさに威圧感を感させられる。


「おお、でっかいなぁ。」

「ほんまでっかいなぁ。ビル何階分やろ?」


2人は思わず感嘆かんたんの声を漏らした。

そのままゴーレムと遭遇するであろう進行方向の少し先の方へ移動するとバイクを止めて降り立った。

紗都美ミミナは、


「チャウダー、モードA!」


命令コマンドを発した。


ワゥーーーーーッ


とひと吠えしチャウダーは犬の姿に戻ると待機モード(おすわり)で指示を待った。


「チャウダー、梨深りみさんとこ戻ってガードしとって。

 よろしゅうな。」


との指示に、


ワゥッ!


とひと吠えすると梨深パプリの所に戻るべく走り出した。

そうこうしているうちにゴーレムが近付いて来る。


「あんま時間なさそうやな。」


莉沙絵ホクスは近づくゴーレムを見やり遭遇までそんなに時間がない事を感じ取った。


「せやな。初めての変身やからいろいろネタかましたかったけど、しゃあないな。」


紗都美ミミナはちょっとがっかりした表情を見せながらも目はキラキラしていた。

莉沙絵ホクスの目も同様にキラキラしている。

2人は沸き上がるワクワク感を抑えきれない様子の互いの顔を見ながらうなづくと莉沙絵ホクスが右、紗都美ミミナが左の横並びになる。

そしてそれぞれ腕輪ブレスが付いた腕を前に突き出した。

その時、腕輪ブレスの宝石の光が一際ひときわ輝いた。


「ほな、一発かましたろか!」

「我らのデビュー戦、派手にかましたろ!」


力強く言葉を発すると2人が普段から使っている全力を出す時の決め台詞を口にした。


「「我らのガッツでいてこましたる!!」」


2人の重なった声が高らかに響くと互いの宝石を打ち合わせた。


キン!


澄んだ音を鳴らした宝石から赤と青の光があふれ出した。

光は螺旋らせん状になり2人の体を丸く包み混んでいった。

そしてどんどんと大きさを増していく。

その光の中で2人の体が融合し1人になると一気に質量を増し巨大化していく。


「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」


2人の声が一つの叫び声となって轟くと同時に光が弾けた。

そこには右半身が赤、左半身が青、左右対称の白い模様が描かれた女性体形の白い顔に緑の目の巨人が立っていた。


『『おおっ、ほんまに変身した!』』


2人は歓喜の叫び声を上げた(脳内で)。

目の前に同じ位の大きさの物体が出現した事でゴーレムの動きが止まった。

赤く光るゴーレムの目がこちらを品定めするように見つめていた。

そんなゴーレムと対峙しつつ戦闘体制になる巨人。

間近で見たゴーレムに、


『やっぱごっついなぁ。』

『我らよりでかいやん。』


などと考えながら見ているとゴーレムが動き出した。

巨人を障害と認識したようで排除しようと近付いて来る。

そんなゴーレムに戦闘開始とばかりに巨人が向かっていった。


『『うぉりゃぁぁぁぁぁ!!!』』


2人の雄叫おたけびが重なり、

莉沙絵りさえの意思は右手を握りパンチをぶちかまそうと、

紗都美さつみの意思は左足でキックをぶちかまそうと、

して右手と左足が空回りした後バランスを崩し、コケた!?


ドドーン!!!


と凄まじい地響きが起こり、


『腰が、腰がぁぁ。』

『ちょ、なんか腰グキってなったぁ。』


それぞれ意識で涙目になり腰を押さえながら変な格好でのたうち回ってる。

ところに割れ関せずって感じでゴーレムが進み出した。

その右足が巨人を踏み潰そうとする位置に下りてくる。


『『のわ〜〜〜!』』


のを間一髪で左方向に転がりけた。

さすがにこれは息ぴったりの動きだった。


『そんなんに踏まれたら中身出てまうわ!』


わめ莉沙絵りさえに、


『それさっきったやつぅ!』


と意識でツッコミを入れる紗都美さつみ

そのやり取りで冷静さを取り戻した2人は立ち上がり再度ゴーレムと対峙した。


『いやぁ、ほんまダブルはスゴイなって思うわ。

いっこの体に意識が2つあるってこんなやりにくいんやな。』


そんな事言ってる莉沙絵りさえに、


『そらあの二人は・・・。』


まで言いかけて気付いた。


『せや、分担や。』


そんな紗都美さつみの言葉に、


『ああ、分担か。』


と同意した。


『1人が体動かして1人が作戦考える。

それが勝利の鍵や!』


とか言ってる紗都美さつみに、


『そのフレーズ不味まずないか?』


と珍しく突っ込む莉沙絵りさえに、


『そっちかい!』


と突っ込み返す。

とか脳内漫才をやってたらゴーレムがぶち当たってきた。

がなんとか少し飛ばされただけで踏み止まった。


『あっぶな。

脳内漫才やっとる場合ちゃうわ。

莉沙絵りっさん、適当にあしらっといて。

我はレリシスねえさんの記憶探さぐってみるから。』


そう言うと紗都美さつみはレリシスの記憶を読み取り始めた。

莉沙絵りさえは、


『ほな、いっちょもんだろか!』


と言いながらやっぱり右パンチを繰り出した。

1話の4、公開しました。

ここから「異世界特撮」っぽさ全開になります。

やっと変身した2人の活躍?を楽しんで頂けると良いな、と思いつつ。

次の5で1話目終了です。

来週中には公開出来る、はず。

よろしくお願い致します。

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