第6話「妖精たちの住まう島 VSグリフォン」(5)
第6話の5を公開しました。
ちょっとだけ巻き戻せました。
今回で6話目完結です。
グリフォンと対峙したサリシスは空中戦を制する事が出来るのか?
楽しんで頂けると嬉しいです。
(16)
工房都市”キタノコウベ”。
工房都市と言うだけあって様々な物作りの工房が街の7割りを占める製造の都市である。
テトゥの話では、
4日前に商品を取りに行った商人がその日に戻って来なかった。
翌日の夜になっても戻らなかったので不信に思い冒険者紹介所に調査を依頼。
1組の冒険者が調査に向かった。
その冒険者も戻らなかったので、さらに2組の冒険者が調査に向かった。
それが昨日の事。
その2組までも戻って来なかったので、梨深達に依頼したとの事。
「その~”キタノコウベ”で~何があったんか~?
って事やね~。」
工房都市”キタノコウベ”行きの列車に揺られながら梨深が切り出した。
「”ストファム”からだと列車使えば3時間程っすね。
夜までに戻れない場所じゃないっすから、やっぱ向こうで何かあったって事っすよね。」
智佳の言葉に、
「この前の洞窟の時みたいな魔獣が居るかも、って事なんだよね?」
セラミネが続けた。
「せやな~。
とりあえず~最悪の事態も考えとかなな~。」
梨深が表情を暗くしながら言葉を紡いだ。
1組目はともかく、後発の2組は上位ランクの冒険者達だった。
そんな優秀な冒険者達すら戻って来なかった以上、”キタノコウベ”には危険が待ち構えている、そう考えるしかなかった。
「けど判らん事ばっか~考えててもしゃ~ないな~。
あの事~セラミネには聞いといて貰おか~。」
暗い考えを打ち切るように梨深が切り出した。
「そうっすね。理解し難いかもっすけど、知っといてほしいっすね。」
その意見に智佳も同意した。
そして梨深がテトゥから受け取った本の内容をゆっくりと話始めた。
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「それって。。。」
セラミネが困惑した表情で、
「この世界が”界渡り”に創造された、って事だよね。」
聞き返した。
「そうみたいやな〜。
けど〜うちらも良く判ってへんねん~。
せやから~それが真実なのか~調べるつもりや~。
それで~セラミネにも~手伝ってほしいねん~。」
梨深がセラミネに思いを伝えた。
その言葉を聞き少し悩んだが、
「皆と出会った事、私にとって意味があるんだと思う。
それを知った事も。
だから手伝うよ。」
決意に満ちた表情でしっかりと答えた。
「おおきに~。
きっと~そう言ってくれる~て思てたわ~。」
「ボクもセラミネと出会えて良かったって思ってるっすよ。」
セラミネは2人の言葉に、
「改めて、これからもよろしくね。」
仲間で居続けたいと答えた。
その後は色々とこれからの事などを話した。
そうこうしているうちに列車は”キタノコウベ”の駅に到着した。
(17)
莉紗絵と紗都美を追いかけて外に出たポティロが見たのは2人が巨人に姿を変えるところだった。
2人が赤青斑の光に包まれ、その中から巨人となって現れたのを目の当たりにし、
「ナニアれ?
ニンゲンテアンナコトモデキルの?
モウスゴスギナンダケど!」
興奮していた。
グリフォンと対峙する普通の人間より遥かに巨大な人。
その巨人がグリフォンを倒そうと空を駆けている。
その姿を見ていると気分がどんどんと高揚していった。
「ヤッチャえ!
ソコだ!
ワぁ、アブナい!
ヨし、ソコダぁ!」
ポティロは巨人から目が離せなくなっていた。
その時、グリフォンが光る箱で閉じ込められた。
そして巨人の両手が赤と青に輝いた。
何かが起きる。
そう確信し、ドキドキしながら見つめていたポティロの目に信じ難い光景が写った。
(18)
キシャァァァァァ!!!
突然目の前に現れた邪魔者を威嚇するように一鳴きし、突っ込んできたグリフォンをフライチャウダーの機動力でなんとか躱した。
『おお、空中で動けてるやん。』
莉紗絵が歓喜の声を上げる。
『せやろ。足固定しないとあかんから、ちょい動きづらいけどイケるやろ。』
紗都美がちょっと得意気に返した。
『けど、グリフォン大きない?』
フライチャウダーを足場にする為、大きさが制限されてしまう。
なので最大サイズの半分(20m)くらいの大きさにしかなれないが、グリフォンは自身の倍ほどの大きさだった。
『最大身長で同等って感じやな。
ここまで大きいんは想定外やったけど、なんとか倒さなな。
それじゃ作戦通り我がチャウダー動かすから攻撃はまかしたで。』
紗都美の指示に、
『まかされた!』
莉紗絵が軽快に答えた。
『ほな、行くで!』
紗都美の掛け声を合図にフライチャウダーがグリフォンに向かって行った。
その時、
グリフォンが口を開き火炎を放射した。
『『のわぁぁぁぁぁ!!!』』
素っ頓狂な声をシンクロさせながら慌てて回避した。
『うっわ、危な。なんか、めっちゃ変な声出てもたわ。』
『グリフォンて火ぃ吐くっけ?』
『我らがやってたゲームやと風系の攻撃やなかった?』
『やんな。』
そんな脳内会話中もグリフォンはサリシスを落とそうと執拗に火炎攻撃を仕掛けてくる。
それを避けながら、
『やっかいやな。』
『これやと近付けないやん。』
『ちょっと円刃使ってみて。』
『OK。
激しき風よ、円刃となりて、斬りつけろ。
サーキュラー・ブレード!』
莉紗絵が呪文を唱え、円状の風の刃を投げつけた。
円刃はグリフォンに向かって飛んでいくも、あっさり躱された。
『やっぱ、そうよな。』
紗都美が呟いた。
『もっと接近せんと無理やで。』
『やろな。
ちょっと速度上げて突っ込むから、2、3発叩き込んでみて。』
『え?殴りありなん。』
『当たったら、な』
言うや莉紗絵の脳波でフライチャウダーが最高速度で突っ込んでいく。
それでもグリフォンは素早く回避しようとする。
のを、急転進して回り込み拳の射程に捕らえた。
そのタイミングを外す事なく、右拳がグリフォンの顔の左側に叩きつけられた。
瞬間、グリフォンはクラっとなった。
透かさず左拳を叩き込み、おまけとばかりに右拳を下から突き上げた。
3発のパンチでグリフォンの意識を完全に消失させる事が出来た。
と思ったが、そう甘くはなかった。
直ぐに頭を降り、意識を正すと、
キシャァァァァァ!!!
怒りの籠った鳴き声を轟かせた。
『ああ、これあかんやつや。』
『なんかめっちゃ怒ってんで。』
『やっぱこの状態やと手打ち(※手打ちとは足を踏ん張る事が出来ない状態で拳に下半身の力が伝わらず、腕力だけで殴ることや。威力は激減や)にしかならんからなぁ。
なんか怒らせただけ、みたいやな。』
言ってる側からグリフォンが目に怒りの炎を宿し、ガンガン突っ込んでくる。
※どうやら怒りで炎を吐くのを忘れてるらしい
それをなんとか躱しているが、そろそろチャウダーのエネルギーも厳しくなってきていた。
『そろそろチャウダーのエネルギーがヤバイわ。
やっぱアレで決めるしかないで。』
『せやな。』
『ほなら目眩ますから捕獲頼むで。』
『まかされた。』
作戦のすり合わせを終えると、
『目映き光よ、明かりとなりて、周囲を照らせ。
アラウンド・ライト!』
直ぐ様、光属性の魔法を使える紗都美が暗い場所で使う周囲を照らす魔法を使った。
瞬間、光の球が現れた。
それほど眩しい光ではなかったが直視したグリフォンは驚いて目を閉じた。
その瞬間を見逃さず莉紗絵が、
『捕縛結界!』
捕縛結界で捕らえた。
『よっしゃ。』
『決めるで。』
サリシスが必殺技の準備に入ろうとした時、
パリン!
とガラスが割れるような音がした。
見るとグリフォンが結界を破壊していた。
どうやらグリフォンの嘴での攻撃力が強すぎて、結界があっさり破壊されてしまったようだ。
『『え!?』』
驚き、サリシスの動きが止まった。
そこに怒りの籠ったグリフォンの嘴が突っ込んできた。
そして、
ドズン!!!
サリシスは避ける事が出来ず、鳩尾の辺りに激痛を感じた。
『『ぐはぁ!』』
レリシスの加護はあるものの、グリフォンの攻撃力は強力で意識を失い掛けていた。
それでも準備仕掛けていた左右の拳に貯まっていたエネルギーを短い槍状にして、
『『断罪の槍!』』
左右一発づつ投げつけた。
グリフォンは飛んできた光の槍を1本は避けきったが、運悪く避けた所にもう1本が飛んできていて、翼の先が破壊された。
キシャァァァァァ!!!
グリフォンは叫び声を上げたが、墜落する程のダメージではなかった。
それを見ながら、
『やっぱ飛べんと、』
『あかんわ。』
呟き、意識を失った。
そして変身が解除されていく。
主人の危機を察したフライチャウダーが落ちて行くサリシスを受け止めたが、支える事が出来ず小さな山の火口へと落ちていった。
直後、小山が噴火を起こした。
如何だったでしょうか?
ついにサリシスの完全敗北です。
やはり小技では空中戦を制する事は出来なかった。
サリシスはどうなるのか?
は、次回の閑話を挟んで7話に続きます。
あれがどう絡んでくるのか?
楽しみにして頂けると嬉しいです。
って事で次回はいつもの閑話です。
今回は水曜から木曜には公開出来ると思ってます。
よろしくお願い致します。




