第6話「妖精たちの住まう島 VSグリフォン」(3)
第6話の3を公開しました。
結局、本業が忙しいままだったので1週間を巻き上げれませんでした。
お待ち頂いていた方には申し訳ありません。
そんな今回は色々と情報を絡めた繋ぎ的な内容です。
それぞれが動き始めています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
(9)
朝。
リカーラから聞かされた話と渡された本の内容の事を考えていたら眠れなかった。
由維はもう一度リカーラの話しを思い返した。
・・・。
「さっきも言ったけど、この本の事は三柱にも話してないの。
その本に書かれている文字は”この世界”の文字ではないから、誰も読めないのよ。
なので”界渡り”を待つ事にしたの。
そして本当に現れた。」
黙ってリカーラの言葉を聞いていた由維が、
「それがうちらやった、と。」
口を挟んだ。
「そうなるわね。
ただ、理由はもうひとつあるの。」
そう言うとリカーラはポケットから取り出した4つ折りの紙を机の上に広げて置いた。
A4サイズくらいの大きさの紙には、
この地に異界の者現れし時、闇の波動が人の心を惑わせる。
目映き光が癒しと混沌をもたらし、
この地は終焉へと導かれる。
と書かれていた。
「ここを統べる者に代々継承されている言葉。
予言、だと言われてるわ。」
リカーラの説明に、
「予言、ですか。」
呟きながら予言を読み取っていて気付いた。
「これ、この前の!?」
その内容に驚きの声が漏れる。
「そう、この2行目までの内容はこの前の事と一致してるわ。
そしてこのままだと”この地”は終焉に向かう。」
リカーラの言葉に由維が、
「それでこの本、って事ですか。」
理解を示す言葉を発した。
「その通りよ。
その本の中に何が書かれているかは判らない。
だから情報が欲しいのよ。
あなたならそれを読めるのでしょ?
なら、読んで内容を教えて欲しいのよ。
不本意だけど、」
リカーラはそう言いながら、
「お願い、します。」
頭を下げた。
「リカーラさんがうちにお願いするなんてよっぽどやね。
判りました。とりあえず読ませて貰います。」
そう返事し、部屋に戻った由維は本を一読した。
その内容はかなり衝撃的なものだった。
そして色々と考えている内に朝になっていた。
「これはうち1人で考えるには重すぎる。
梨深と話せればいい案も出てくるんやろけど。
やっぱリカーラさんに頼んでみるか。」
そう決意すると少し気分が落ち着いた。
窓を開くと朝の柔らかな日差しと涼しげな風が心地良かった。
「それまでにこっちもしっかり吟味しとかんとな。」
呟いた由維の目に決意の光が宿っていた。
(10)
目の前に止まった小さな妖精(身長20cm程度)を目にした莉紗絵と紗都美は、
「「おおお、妖精さんやー!!!」」
驚きの声を上げた。
「街では全然見かけんかったら、」
「この世界には居ないと思てたわ。」
「これぞファンタジーやで。」
「やっぱテンション上がるわー。」
突然騒ぎ出した2人にちょっと引き気味になりながら、
「・・・チョット、イイカな?」
恐る恐る声を掛けた。
騒ぎ過ぎたと自覚した2人は声のトーンを落とし、
「すんません、騒いでもうて。」
「それで、どうしました?」
問い掛けた。
ポティロは気を取り直すと、
「オサガアイタインダッて。
ツイテキテクレルカな?」
切り出した。
(11)
「で、本題だ二。」
本を開いて内容を確認しようとしていた梨深たちにテトゥが声を掛けた。
「え、これ渡したかったからじゃなかったっすか?」
「ほんなら~これは何なんですか~?」
智佳と梨深が疑問の声を上げた。
「ああ、それは待ってる時にたまたま思い出しただけだ二。
今回呼び出した事とはまったく関係ない二。」
そんなテトゥの言葉に、
「これ、めっちゃ重要そうな気がするっすけど。」
「ほんまやで~先代の”界渡り”が~どんな事書き残したか~気にならへんのですか~?」
2人が疑問をぶつけた。
「まぁ気にならない、って事はない二。
昔は読めるようにならないかと思って訳そうとした二。
けど何を調べても手掛かりがなくて読めなかった二。
なのでそれについては後日ゆっくり聞く二。
それよりこっちは急ぎだ二。」
あせりを感じさせるテトゥの返答に、
「わかりました~。
ほんなら~これは後でじっくり~読ませて貰います~。」
そう言いながら本を”収納空間”に入れると、
「ほならその依頼とやら~聞かさせて貰いましょか~。」
梨深が切り出した。
「これは”冒険者協会”に依頼したものだ二。
依頼内容は工房都市”キタノコウベ”の調査だ二。
少し前に出入りの商人に”キタノコウベ”に発注している商品の受け取りを頼んだ二。
だけど予定の日を過ぎても帰ってこなかった二。
それで”冒険者協会”に調査を依頼した二。
けれど調査に向かった3組も戻って来なかった二。」
テトゥの話を聞いて梨深が、
「それで~うちらって事なんやね~。」
言葉を継いだ。
「だ二。
この前の”リグプラ洞窟”の一件で実力は判ってる二。
その時の”アラクネ”と同じように魔獣が関わってると思う二。
調査、頼めるか二?」
テトゥの依頼を聞き梨深は智佳とセラミネに、
「どうする~?」
と声を掛けた。
「当然、行くっすよ。」
「もちろんです。」
2人からの返事を確認し、
「ほなら~受けさせて貰います~。」
承諾の返事を返した。
「助かる二。
報酬は”冒険者協会”に依頼した時に提示した100金貨だ二。」
テトゥが提示した金額を聞いたセラミネが、
「ええー、100金貨!」
驚きの声を上げた。
「確かに破格やな~。
まぁ、それだけ~危険やゆう事や~。」
「そうっすね。いやぁ、燃えてきたっすよ。」
驚いて目を丸くしているセラミネとは裏腹に余裕の梨深と智佳。
そして梨深が、
「ほんなら~詳しく聞きましょか~。」
声を掛けた。
(12)
「お待ちしていましタ、”界渡り”の少女たチ。
私がこの島を統べル、アスクオと言う者でス。」
ポティロに導かれ案内された2人に”妖精島”の長、老エルフのアスクオが厳かに声を掛けた。
長の荘厳なオーラに気圧されながらも、
「「これはご丁寧に。」」
「我は莉紗絵。」
「我は紗都美って言います。」
2人は名を告げた。
そんな2人をまじまじと見つめながら、
「なるほド、同じ顔をしておられル。
予言者様の仰られた通りですナ。」
愉快そうな声を発した。
そして、
「お客人、お座り下さレ。」
2人に座を勧めた。
麻のような素材で編まれた円形の敷物に座ったのを確認すると、
「あなた方がこの島に来られるのは50年前から判っておりましタ。」
アスクオが切り出した。
その話に耳を傾ける莉紗絵と紗都美。
「50年前、この世界を訪れた”界渡り”。
そしてそれを予見していた予言者。
その者たちは50年後の今、現れる脅威、その脅威が引き起こす災厄を予言していましタ。」
この話がかなり重要な事だと感じた2人は背筋を正し、固唾を呑んで聞き入った。
「”界渡りがもたらした情報は魔動力の使い方を発展させ、技術革新が始まりましタ。
この世界が住み難くなる、と告げられた私たち妖精属はこの島に移り結界を張って身を潜めましタ。
そして今日この日、”界渡り”の少女たちがここに現れる事を予言されていたのでス。
その少女たちにこれを渡すようにト。」
そう言いながら差し出してきたのは1冊の本だった。
その本の表紙には、
「”界渡り”の少女たちへ」
と書かれていた。
それを目にした2人は驚きの表情で、
「これ日本語やんな。」
「そう見えるよな。」
呟いた。
そして本を開こうとしたその時、
キシャァァァァァァァァァァ!!!
叫び声が響き渡った。
如何だったでしょうか?
それぞれが手に入れた物。
これが今後の展開に絡んできます。
そして双子の前に現れたのは?
最大級のピンチにサリシスはどう立ち向かうのか?
楽しみにして頂けると嬉しいです。
次回、少しでも早く公開出来るよう頑張ります。
よろしくお願い致します。




