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第1話「巨人になった女子高生!? VS巨大ゴーレム」(3)

(6)


人の目が届かぬはるか上空で黒い光がパチパチと弾けた。

それは徐々に激しさを増していき、その中心に黒い点が現れた。

黒点が大きくなるにつれ弾けていた黒い光は消えていった。

人が通れるくらいの大きさになったところで黒点の拡張が止まっる。

それを通り抜けてランタルが姿を現した。

空中にとどまりながら、


「今度はこの星か。」


つぶやくと星に蔓延する”負の気”の感知を始めた。


「この星の人種の”負の気”はかなり薄いな。

 どうやら人同士のいさかいが少ない平和な星のようだ。

 人種以外には純粋な悪意を持ったものが多数存在しているようだな。

 純粋な悪意はたいしたエネルギーにはならんし美味うまくもない。

 まぁ利用するには最良の存在だが。」


そう言うと星を味わう準備を始める。


 「それでは悪意の種(メリスシード)を蒔くとしよう。

 どんな”悪意”に育つのか楽しみだ。」


クックック、と笑い声を漏らしながら両腕を左右に広げ手を開いた。

開いた両手の平から米粒大の黒い粒が大量に放出され、それは風に乗り星全体へと拡散し地上に降り注がれていった。


悪意の種(メリスシード)

それはあらゆる生命体に根付き悪意や恐怖心を養分にして成長する。

成長を続けた種は最後に命を奪い貯まったエネルギーをランタルへと注ぎ込む。

そのエネルギーは酒のようなものでランタルにとっての嗜好物でもある。

「堪能したい」とゆう欲求だけで数えきれぬ程の人種の命を奪った事でS級犯罪者とし宇宙警察に指名手配されていた。


拡散していく悪意の種(メリスシード)を見送ると満足したように動き出した。

エネルギーを吸収し転移力てんいりょくが戻るまでの時を過ごせる人知れない場所を目指して。


ランタルが何処へともなく消えた後、穴から五つの光が現れた。

二つが一組ひとくみになったものと一つ一つのもの4つに分かれた。

その時、組になっている光のひとつから少し小さな光が現ていた。

そして散らばるように地上へと降りていった。


(7)


のどかな春の陽気を感じさせる小高い丘の上に大きな木が生えていた。

木陰には暖かさを和らげる涼しげな風が流れ昼寝をするのにちょうどよい心地好さだった。

そんな木の根元で二人の少女が小さな寝息を立てながら眠っていた。

そのひとり紗都美ミミナの頬を、


ペロっペロっペロっ


と大型の犬が優しく舐めていた。

その犬は薄い茶の毛色で犬種はチャウチャウ。

ただ普通のチャウチャウ犬よりも大きく体長が1m程だった。

ので優しく舐めているつもりが。。。


「ちょ、やめーや。ほっぺたもげるって!」


その勢いに苦言を呈しながら紗都美ミミナが目を覚ました。


「チャウダー、舐めんやったら加減しいや。」


そんな主人の小言に、


「ワゥゥン。。」


と悲しげな声で反省の意を示した。

気持ち小さくなった感じが、する?

そんなチャウダーを見て苦笑しながら隣で寝ている莉沙絵ホクスに目を向けた。

心地好さそうに眠っている相方に、


莉沙絵ホクス、そろそろ起きや。」


と言いながら軽く肩を揺すった。


「う~ん、あと24時間んんん。。。」


と答える莉沙絵ホクスに、


「そんな待っとれるかい!」


と言いながらピシっと平手の裏で額に鋭いツッコミをいれた。

がそれでも起きる気配はなかった。

それを見てニヤリと悪そうな笑みを浮かべるとチャウダーに指示を出した。


「チャウダー、ゴー!」


そんな主人の指示を汲み取ったチャウダーが軽く飛び上がるとその巨体を莉沙絵ホクスの上に落とそうと、、、

した瞬間、転がって身をかわした。

ので敢えなく自爆した。


「ヴァゥっ」


と変な声を出しているチャウダーと半笑いの紗都美ミミナに、


「なにしょんねん。

 そんなんに乗っかられたら中身出てまうわ!」


と抗議の声を上げた。


「いやぁ、ええ感じでつぶれるやろ思て。」


と半笑いのまま答えた。

そんなやり取りをしていた二人がふと我に返った。


「んで、ここ何処なん?

 我らなんでこんなとこで寝とったん?」


莉沙絵ホクスが疑問を口にした。


「なんやろ?なんでここにるんか記憶にないで。」


紗都美ミミナも不思議そうな表情になっている。


「名前は分かる。紗都美ミミナの事も分かる。ワンコの事も分かる。

 あとは・・・なんか分かる?」


と振られた紗都美ミミナも、


「我もおんなじや。

 そういえばゲームって終わったんやっけ?」


答えつつ新たな質問を投げた。

ゲームをプレイしていた事までは覚えているようだ。


「どやろ?

 けどここゲームの中っぽいよなぁ。

 せやったら何でこんなとこで寝とったんやろ?」


莉沙絵ホクスも答えつつも疑問形になってしまう。


「パプリらはどこ行ったんやろ?」

「う~ん???」


ちょっと悩んでから紗都美ミミナがふと思いついた。


「せや、これゲームやったら通話コール出来るやん。」


とゲームで使っている仲間との連絡方法を口にした。


「せやった。

 それで連絡できるやん。」


と言うと莉沙絵ホクスが、


連絡コール、パプリ!」


命令コマンドを唱えた。

が、何も起こらなかった。


「あれ?反応ないな。

 連絡コール出来でけへんで。」

「ほんまに?

 我も試してみるわ。

 通信コール、パプリ!」


と唱えてしばらく待った。

が、やはり反応はなかった。

二人はそんな状況に首をかしげたが、


「ま、そのうちなんか思い出すやろ。」


とあっさり考える事をあきらめる莉沙絵ホクス


「せやな。」


紗都美ミミナもあっさり同意した。


「ほならあそこに街見えてるし、とりあえず行ってみる?」


莉沙絵ホクスが少し先に見える街の方を指差して尋ねた。


「ここでぼぉっとしとってもらちあかんし、行こか。」


そうして二人と一匹が街に向かって歩き出した時、遠くの方からかすかな地響きが聞こえた気がした。


(8)


莉沙絵ホクス紗都美ミミナが目を覚ましたのと同じ頃。


「ふぁ~~~ぁ。」


ほんわりあくびをしながら少女がぼんやり気味に目を開いた。

ゆっくり上体を起こすとぼやっとした目で辺りを見渡す。

見えるのはなだらかな草原だった。

見慣れない景色が広がっているこの状況が把握出来ていないようで、


「ここ~、どこやろ~?」


と言いつつ梨深パプリはま~ったり頭を働かせる。

働かせたのだが、


「ま~、ええか~。」


とあっさり考えるのを放棄しふたたび夢の世界へ旅立とうと寝転がるとすぐにうとうとし始めた。

その時地面が振動しているのを感じた。


「なんか~地面がふわ~ってするな~。」


地面の振動で体が揺れるのを心地好く感じたのかそのまま夢の中へといざなわれた。

浅い眠りが見せた夢はレリシスから伝えられた内容だった。

そしてふいに目が覚めた。

鮮明に思い出されるその夢の内容が現実に起きた事なのだと理解出来ていた。


「なるほど~、ここが異世界って事なんやね~。

 まさか〜ほんまに異世界に来れるとは~思えへんかったわ~。

 ほんならまず~みんなを見つけんとな~。」


などと考えているうちに地面の揺れが大きくなったいるのに気付いた。


「なんか~、めっちゃ揺れてる~?」


その揺れが少しづつ大きくなっていて何か巨大なものが歩いて近付いて来ているような感じがした。

状況を確認する必要があると判断した梨深パプリは自分がゲームの時と同じ装備を身に付けているのに気付いた。


「これは~レリシスさんの~贈り物って事やな~。

 ええように~使わせて貰います~。」


と言いながらもう会うことの出来ないレリシスに向けて頭をペコリと下げた。

そしてベルトに付いている箱を外すと蓋を開けた。

中には5cm程の大きさの魔獣の形をした人形が3つ入っていた。

そのひとつを取り出すと箱をベルトに戻し人形を右腕に装備された発射装置カタパルトにセットした。

右腕を発射する方向と定めた斜め前の空に向け左手を発射ボタンに添えて、


「ウィーディム~、リリース~!」


と言いながらボタンを押した。

発射装置カタパルトから打ち出された人形は一瞬で上空50mくらいにまで到達し全長20m程の魔獣ウィーディムの姿に戻った。


魔獣ウィーディム。

梨深パプリがゲームで使役していた3体の魔獣のうちの1体。

体色は青銀色ブルーシルバーで人間態だが鳥顔で背中に翼が生えている。

素早い動きが特徴の魔獣である。


「キシャァァァ!」


とひと鳴きしたウィーディムは空中で体勢を整えると梨深パプリを吹き飛ばさないよう少し離れた位置に着地した。

梨深パプリはウィーディムに近づくと、


「うちを~上に連れてって~。」


と大雑把に命令を告げた。

まぁ大まかな内容は脳波で伝わるんやけど。。


命じられたウィーディムは梨深パプリを両手で包み込むと上空に舞い上がった。

100mくらい上がった所でとどまると被せていた方の手を外した。

梨深パプリが周りを見渡すと振動の元凶たる巨大なゴーレムが街を目指して進んでいるのが見えた。


「ああ~、あのでっかいのんが~レリシスさんがうてた~”悪意の種(メリスシード)”ってのの~影響なんやろなぁ~。」


と思いながら少し考える。


「あれ~、なんとかせなあかんなぁ~。

 ほならまず~りっさんとさっつんを~見つけなな~。

 えっと~、スマホで探せるんやっけ~。」


と言いながらスマートフォンを取りだし位置情報を確認した。

莉沙絵りさえ紗都美さつみの反応は案外近かった。

だが由維ゆい智佳ちかは近辺には居ないようだ。

とりあえず2人の事は置いといて莉沙絵りさえ達の所へ向かう事にした。

が、ゴーレムをこのまま進ませるとほどなく街に到達してしまう。

足止めする為に箱からもうひとつ人形を取り出した。


「ミックルス~、リリース~!」


と言いながらゴーレムの進行方向の少し前に向けて発射した。

そしてゴーレムの目前に魔獣ミックルスが姿を現した。


魔獣ミックルス。

使役魔獣の1体。

体色は黒鉄色ブラックメタリック、人間態で顔は牛っぽい。

筋力が発達しているパワー系の魔獣だ。


体長20m程度のミックルスはゴーレムの半分くらいの大きさだがパワーはなんとか均衡きんこうを保っていた。

ミックルスが少しなら足止めになると確認した梨深パプリは、


「ミックルス~、頼んだで~!」


と声を掛けると莉沙絵りさえ紗都美さつみを探した。

位置情報が示す方向にウィーディムを向かわせながら上空から2人の姿を探しす。

と街へ向かっている3つの人影らしきものが目に入った。

位置情報と照らし合わせ、


「きっと~、あれやわ~。」


と言いつつ合流する為、その人影に向かって行った。

1話の3公開しました。

やっと異世界です。

1話はこのまま3人で進みます。

残りの文字数見るにあと2回は要りそう。

なんとか年内に1話目終わらせます。

それではよろしくお願い致します。

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