第5話「迫り来る驚異、決めろ新必殺技! VSフレイタル」(5)
第5話の5を公開します。
もしお待ち頂いていた方がおられましたら、遅くなってしまい申し訳ありません。
これで5話が完結となります。
対フレイタル戦がどんな形で終わるのか?
楽しんで頂けると嬉しいです。
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「フハハハハ!」
フレイタルと情報を共有し状況を見ていたランタルの笑い声が響いた。
「まさか小虫と融合していたとわな。
たいした正義感よ。」
ランタルはレリシスの行動を察し、気分が高揚していた。
己が仕掛けた事とはいえ、まさかこんな方向に行くとは思っていなかった。
せいぜい自分が転移する時間稼ぎになればと思っての事だったが、現状は好機だった。
「こいつを消してしまえばしばらく捜査官は現れまい。」
状況から察するにこの地にいる捜査官はレリシス1人。
救援が来るにしてもかなりの時間を要するはず。
ならばこの捜査官擬きが居なくなれば懸念はなくなる。
そう判断したランタルは、
『フレイタル、その捜査官を始末せよ!』
と伝えた。
そしてその成り行きをを楽しげに眺めた。
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「どうやらレリシスではないようですね。
それではどれほどの力があるか、試させて頂きましょうか。」
言うや、フレイタルが両手それぞれで光の玉を作るとサリシスに向けて投げ放った。
それをサリシスが、
「防御光板!」
光の盾を出して跳ね返した。
「やりますね。」
フレイタルが言葉を発した時、
『フレイタル、その捜査官を始末せよ!』
ランタルからの指令が脳内に届いた。
「のんびり遊んでいる暇がなくなりました。
我が主があなたの命をご所望のようです。
消えて頂くとしましょうか。」
そう言いながら地に足を下ろした。
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フレイタルが投げ放った2つの光球が迫ってきた。
サリシスは、
「防御光板!」
光の盾を出して防御した。
弾き返された光球は地面に落ちて、爆散した。
「やりますね。」
フレイタルが誉めつつも余裕のある声を掛けてきた。
その上から目線な感じに苛立ちながら言い返そうとした時、フレイタルが目の前に降りてきた。
「のんびり遊んでいる暇がなくなりました。
我が主があなたの命をご所望のようです。
消えて頂くとしましょうか。」
そい言い切るフレイタルに、
「舐めんなや!」
と怒声を浴びせながら右拳をフレイタルの左頬目掛けて突き出した。
が、フレイタルの左頬を殴ると見せかけて左肩を掴むと左膝で右脇腹にめり込ませた。
「グッ。」
苦しげな声を漏らすフレイタルに同じ場所をもう一度左膝で狙ったが、それはフレイタルの右肘で阻まれた。
ゴッ!
サリシスの左膝とフレイタルの右肘が激しくぶつかった。
「クッ!」
「つぅ!」
互いに軽微なダメージを負った。
そして一旦距離をとった。
「なかなか良い動きですね。
格闘のレベルはレリシスより上ですよ。」
相変わらずの上から目線な物言いに、
「そりゃどうも。
ってかその偉そうな喋り方、めっさムカつくわ。」
嫌悪感、そして怒気が含まれた声で言い放つ。
「私が偉そう?
それは当然でしょう。
先程の攻撃で確信しました、私の方が強い事を。
それにサリシスの”弱点”はそのまま引き継いだようですし。
その程度で私に勝とうなどとよくも思えたものです。」
言いながら嘲笑するフレイタルに、
「せやな。
あんたの言う通り”飛ばれへん”のは弱点や。
けど、あんたが知らん事もあんねんで。」
そうやって紗都美が話ながら時間稼ぎしているうちに莉紗絵が、
『激しき炎よ、火球となりて、焼き尽くせ。』
呪文の詠唱を終わらせた。
「これが我らの隠し玉や。」
「ファイヤー・ボール!」
炎の玉がフレイタル目掛けて飛んで行く。
だが慌てる素振りも見せず、向かってきたその火玉をあっさり薙払った。
「そう言えば魔法が使えるのでしたね。
ですがその程度の攻撃では私に傷ひとつ付けられませんよ。」
変わらぬ余裕に圧倒的な強さが感じられる。
「やっぱ知られとったか。
覗き趣味は嫌われんで。」
と口では罵声を浴びせつつ
『しゃーない。あいつが地上に居ってくれてる内に勝負掛けんで。』
『まかせとき。』
『ほなら肉弾戦はまかすで。我は捕縛に専念するわ。』
『了解や。ガンガン攻めたるわ。』
『それと保険掛けとくわ。』
脳内会議を終わらせた。
そして右手を体の後ろに回すと指を動かした。
その事にフレイタルは気付いていなかった。
「ほな、行くで!」
気合いの籠った声を上げながらサリシスはフレイタルに向かって突進して行った。
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フレイタルの出現で残っていた魔物たちは攻撃を止め動かなくなっていた。
梨深達は変身したサリシスの様子を窺いながら、ここに至った顛末を話していた。
「今朝紗都美から~メールがあったんよ~。
フレイタル言う~ランタルの部下から~精神攻撃受けてる~って。」
梨深の説明に、
「それがなんで喧嘩の振りだったんっすか?」
智佳が疑問を口にした。
「フレイタルは~精神攻撃仕掛けて~結果が出るまで姿見せへんねんて~。
それで2人が掛かった振りして~誘き出したんよ~。」
梨深の答えに、
「そうやったんっすね。」
智佳が納得していると、
「それじゃ私たちに隠してたのはどうしてなの?」
セラミネが尋ねた。
「智佳は~そうゆうの苦手やし~、
セラミネも隠し事出来なそうやったから~。
けどな~2人が本気で心配してくれたから~騙せた思うんよ~。
嫌な思いさせてほんまごめんな~。」
梨深の説明と謝罪に、
「そうゆう事なら仕様がないよ。
それに私も隠し事下手だし。
でも、ほんとに喧嘩してたんじゃなくてよかったよ。」
安堵の表情でセラミネが答えた。
その時、サリシスが妙な動きをしているのに気付いた。
それは元の世界のゲーム内で連携する時用に決めていたサインだった。
そのサインはサリシスからの依頼だった。
意味を理解した智佳が気付かれないようフレイタルの背後に回り込んで行った。
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突進して行ったサリシスはまず右足で頭を蹴りつけた。
だが、がっちりと腕で受け止められた。
サリシスは右足を振り下ろす勢いを利用し、体を反転させながら今度は右腕を振ってフレイタルの右側頭部を狙った。
勢いの付いた右腕がフレイタルの右側頭部に当たった。
だが、大してダメージにはならなかった。
反転した事で隙が出来たサリシスの背中にフレイタルが左肘を打ち下ろしてくる。
その攻撃に気付いたサリシスが咄嗟に突っ伏し、うつ伏せの体制から
左側に転がると下半身を持ち上げ体を一気に伸ばす。
そして左足でフレイタルの顎を狙った。
フレイタルは素早く体を反らせて攻撃を躱す。
サリシスは伸び上がった勢いを利用し、腰を曲げる反動で上半身を振り上げ着地した。
「なかなか良い動きですね。
ですが茶番に付き合うのも飽きてきました。
そろそろ終わらせましょうか。」
そう言うとフレイタルは体を宙に浮かせると両手に力を溜め始めた。
空中に居れば攻撃出来ない、との思いから確実に仕留める為に少し時間を掛けてしまった。
それが隙になっている事に気付いていなかった。
その時、突然背後から巨大な気を感じた。
だが振り替える間もなく、
「竜炎咆哮!!!」
智佳の最強技が背中に叩き込まれた。
「ぐぁぁぁぁぁっ!」
フレイタルは苦悶の叫びを上げながら地面に落下した。
智佳の攻撃はかなりの威力で、さすがのフレイタルも大きなダメージになっていた。
そして動きが止まる。
それをサリシスは逃さなかった。
「光縄捕縛!」
叫ぶとフレイタルの足元に体より広い円形の光が現れた。
その輪郭から数十本の光の縄が現れフレイタルを捕縛した。
「こんなもの!」
フレイタルが光の縄を振りほどこうと力を込める。
だがダメージの残る体では思うように力が出せず、簡単には振りほどけなかった。
「走査!」
すかさずコアの位置を調べる。
が、ぼんやりとしか確認出来なかった。
『さすが中ボス、やな。』
『どうするん?』
『ぶっつけやけどあれしかなやろ。』
『いきなりか。ま、しゃあないな。』
『ほな、いくで。』
『っしゃあ!』
サリシスは両手に力を集め、意識を集中する。
莉紗絵は右手に、紗都美は左手に。
そして伸ばした指先から光が伸びていく。
『『もっと薄く、長く。』』
2人の集中力が増し、
「ツイン・ブレード!!!」
光が剣の刃のような形状に変化した。
そしてサリシスが捕縛から逃れられずにいるフレイタルへと突進し、
「交差斬り(クロス・スラーシュ)!!!」
叫びながら右の刃で左肩から右脇腹に斜め斬り下げ、
左の刃で左脇腹から右肩に斜め斬り上げた。
「ガァァァァァァァァァァ!!!」
フレイタルが断末魔の叫びを上げる。
だがコアは完全には破壊出来ていなかった。
「くぅ、このままでは終わらん、ぞ。
ランタル様の懸念は、消し去る。」
そう言うとフレイタルの体が溶けだし、腹部の辺りに穴が開いた。
それは異次元への入り口だった。
そこにサリシスが吸い込まれていく。
「なんや、これ!?」
焦り逃れようとするも、逃さないように溶けたフレイタルの体がサリシスを包み混んだ。
そしてあっと言う間にサリシスの体は異次元へと消え去った。
「ランタル様、サリシスは、次元の狭間に送り込みました。
これで戻っては、これないでしょう。
ランタル様に、永遠の、快楽を!」
叫びながらフレイタルは消滅した。
いかがだったでしょうか?
フレイタルの最後の力で異次元に飛ばされたサリシスはどうなるのか?
次回いつもの閑話を挟んで6話から新展開、妖精島編に突入します。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。




