第5話「迫り来る驚異、決めろ新必殺技! VSフレイタル」(3)
第5話の3を公開しました。
いよいよ5話が動き出します。
前回よりだいぶ長めになってます。
久々の戦闘シーンも盛り込んでます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
(9)
ガァァァァァ!!!
1体の魔獣がフレイタルによって活性化させられ暴れだした。
その様子を満足げに眺めていたフレイタルが莉紗絵と紗都美を監視している魔獣から送られてくる様子を注視した。
「これはいけませんね。
離れた事で少し冷静さを取り戻しましたか。
このままでは時間が掛かってしまいますね。
ちょっと揺さぶるとしますか。」
そんな事を呟きながら配下の魔獣に指示を出した。
『”ストファム”に行き暴れなさい。』
指示を受け取った魔獣達が一斉に空から、地上から、相当数が”ストファム”に向かって動きだした。
奇しくも”ストファム”では再開した武闘会の予選で賑わっていた。
予選会場に集まった強き者の”気”に引かれるように現れた魔獣達を見た人々が、
きゃぁぁぁぁぁ!!!
うわぁぁぁぁぁ!!!
驚愕し、悲鳴が響き渡った。
その様子を確認したフレイタルは満足げな表情を浮かべ、
「それでは私も向かうとしますか。
安っぽい正義感は扱いやすいですね。
ハハ、ハハハハハ!」
呟き高らかに笑いながら”ストファム”へと向かって移動を始めた。
(10)
「何かまた変な物が増えてたっすね。」
「だね。」
「あんなの買う人いるんっすかね?」
「どうだろ。たまには居るんじゃない?」
「それってかなりの物好きじゃないっすか。」
「だと思う。」
智佳とセラミネが雑貨屋”世界地図”で見た怪しげな物の事で談笑していた。
莉紗絵は2人の後ろを歩きながら苛立ちの表情を見せていた。
少しは落ち着いたのか悪態をつく事はなかったが、2人の楽しげな会話に混ざるでもなかった。
3人は競技場を目指していた。
前に智佳が参加し、スライムの襲撃で一時中断していたが今日から予選が再開される事となった。
智佳は参加したかったようだが梨深に止められ棄権の申請に向かっていた。
「ああ、大会出たかったっす。。」
智佳から落胆した声で思いが零れた。
「仕様がないね、智佳”界渡り”だから。」
セラミネが慰めるように声を掛けた。
梨深から智佳がこれ以上目立たないよう釘を刺されていたのだ。
”界渡り”である自分達が関わるとパワーバランスが崩れる。
そう注意されていた。
きゃぁぁぁぁぁ!!!
うわぁぁぁぁぁ!!!
その時、競技場の方から悲鳴が轟いた。
競技場の方を見ると多数の鳥系魔獣が降りてきているのが見えた。
「魔獣っすか!?」
「何であんなに!?」
智佳とセラミネが驚きの声を上げた。
そんな2人に、
「ぼおっと見とらんと行くで!」
莉紗絵が声を掛け競技場に向かって走り出した。
智佳とセラミネも後に続く。
「やっと動いたか。」
莉紗絵の呟きは後ろを走る2人には聞こえていなかった。
(11)
「たしか~この辺やったな~。」
スマホの地図を確認しながら梨深が声を掛けた。
「ですね。
で、どうするんですか?乗り込みます?」
紗都美の言葉に、
「せやな~多分警戒しとるやろし~。
どうしよな~。」
考える仕草を見せるも実は何も考えていなかった。
そもそもここに来たのもたいして意味はなかったのだ。
その時、多数の鳥系魔獣が街の方に飛んで行くのが見えた。
少し離れた所から地響きも聞こえてくる。
2人は見つめ合い、頷き合うとスマホを取り出し筆談を始めた。
そして、
「ウィーディム~ミニマムリリ~ス!」
ウィーディムを呼び出すと、
「ウィーディム~街に戻るで~。」
指示を出した。
ウィーディムは2人を抱き上げると2人への負担が最小限になるスピードで”ストファム”に向かって飛んだ。
「梨深さん、もうちょっとだけお願いします。」
紗都美の呟きに、
「わかてるえ~。」
梨深が短く答えた。
(12)
「何っすか、これは!?」
「ひ、ひどい。。」
競技場では多数の魔獣が暴れていた。
鳥系魔獣が空から、獣系魔獣が地上で人々に襲い掛かっていた。
が、幸いなのはここが競技場だった事だ。
観客席には事故防止用の障壁が張られていたので魔獣達は競技場に居た予選参加者に襲い掛かっていた。
予選に参加するだけあって魔獣の攻撃に応戦してはいたが、勝てる術もなく防戦一方だった。
幸い怪我人は出ているものの重傷者は居ないようだ。
「智佳さん、セラミネ、行くで!」
莉紗絵が銃を2丁共抜くと、
「モードII!
全弾装填、雷撃弾!」
電撃系の弾丸を装填し、魔獣の群れに向かって駆け出した。
地上の獣系魔獣に向けて撃ちまくる。
弾が当たった魔獣は電撃で麻痺し動きを止める。
そうして時間稼ぎしている間に、
「召喚武装、子、寅、申!」
智佳が召喚武装を終え、
「獣変身!」
セラミネが狼化した。
テトゥのアドバイスと智佳との修行で自分の意思で完全獣化出来るようになっていた。
ワォーーーーーン!
セラミネの遠吠えに引かれるように獣系の魔獣が智佳とセラミネの方に群がって来た。
「おいあれ、予選に出てた智佳じゃないか?」
「魔獣があっちに向かっていったぞ。」
「よし、今の内に退避するんだ。」
そんな様子に安堵しつつ莉紗絵は少し高い場所に上がると鳥系魔獣に銃を向けた。
2体程撃ち落としたが拳銃型では射程が短く、すぐに当たらなくなった。
莉紗絵は直ぐに、
「モードIV!」
ライフル型に変えると、
「セラミネ!
我が撃ち落とすから後頼むわ!」
大声でセラミネに伝えると同時に返事を待たず狙撃を始めた。
「わかった!」
返事をしたセラミネの近くに電撃で麻痺した鳥系魔獣が落ちてくる。
それをセラミネが爪で切り裂いていく。
智佳は獣系魔獣の攻撃を”子”のスピードと”申”の空間移動能力(足の裏から噴射される空気で瞬間的に足場を作り出し方向を変える事が出来る)を駆使して魔獣を翻弄し、”寅”の爪で切り裂いていく。
だが、敵の数が多く徐々に圧されていた。
特に戦い慣れていないセラミネの消耗が激しく、徐々に動きが鈍くなってきていた。
その時、
「おまたせ~。」
ウィーディムに抱えられた梨深と紗都美が現れた。
低空を飛びながら2人を下ろしたウィーディムはそのまま鳥系魔獣の群れに突っ込んでいった。
そして、
「ミックルス~ミニマムリリ~ス!」
ミックルスを獣系魔獣に向けて解放した。
状況を確認した莉紗絵が紗都美に目を向けた。
一瞬、2人の視線が交わった。
それが合図になったかのように莉紗絵が狙撃を止めて紗都美に近付いていった。
対峙する2人。
直ぐ様、莉紗絵が口火を切った。
「チャウダー居なかったらたいして役に立たんのに何しに来たんや。
邪魔なだけやで。」
「あんたが役立ってるか見に来たったんや。ありがたく思い。」
「何で上から目線やねん。邪魔やからどっか行っとき。」
「そうゆうあんたはどんなけ役立ってんやら。」
「なんやと!」
「やんのか!」
口喧嘩のあげく莉紗絵が右手を握り紗都美を殴り付けた。
派手に転ぶ紗都美。
頬をさすりながら起き上がると、
「何しよるねん!」
莉紗絵の腹を蹴り飛ばした。
派手に後ろに飛び尻餅を付く莉紗絵。
お腹をさすりながら立ち上がり少し距離を置いて隙を窺うように見詰め合っている。
そんな2人の様子を見たセラミネの変身が解け、
「こんな時に何やってるの、いい加減にしてよ!」
2人に向かって泣き叫んだ。
だが2人の様子を見ていた智佳は違和感を感じていた。
2人に声を掛けようとした時、スマホが震え着信を知らせた。
慌てて確認すると梨深に視線を向ける。
頷く梨深を見て了承の意を示すように頷き返した。
そして梨深が、
「あんたら~ええ加減にしときや~!」
と言いながら仲裁に入った。
そんな梨深を、
「邪魔せんといて下さい!」
言いながら紗都美が突き飛ばした。
それを見た莉紗絵が、
「梨深さんは関係ないやろ。
何してんねん!」
怒鳴りながら紗都美に近付き肩を掴んだ。
そんな2人の姿に、
「もうやめてよ~!
喧嘩しないでよ~!」
セラミネが訴え掛けるように泣き崩れた。
そんなセラミネに梨深が近付き、
「・・・・・」
何か囁いた。
その時、
「いい感じに”悪意”が高まってますねぇ。
策を労した甲斐があるとゆうものですよ。」
空から声が響いた。
全員の視線が声の方に向く。
そこにはフレイタルの姿があった。
「ようやく、」
「出てきたか。」
莉紗絵と紗都美が小声で呟いた。
ついに5人の前に姿を現したフレイタル。
2人の呟きの真意は?
次回はフレイタルと激突です。
なんとか水〜木曜には上げたいな、と思ってます。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。




