第4話「虹色水晶(レインボークリスタル)はネバネバの奥に VSアラクネ」(4)
GW真っ只中、な令和初更新、第4話の4を公開しました。
ちょっとだけ巻き上げられました。
第4話もいよいよ終盤になり洞窟内での攻防が始まります。
5人は無事、洞窟を攻略出来るのか?
楽しんで頂けると嬉しいです。
(13)
洞窟の最奥。
そこで1体の魔獣がゆっくり目を開けた。
「ほほう、また餌が来てくれたようだね。」
洞窟への侵入者に気付き、目を輝かせた。
「今回は5匹か。
しかも柔らかくて美味しそうな娘じゃないか。魔力の質もいいねぇ。
いい養分になってくれそうだ。」
表情に活気がみなぎっている。
ジュルッ。
とヨダレを啜ると要所に控えている配下の魔獣に、
『お前達、上手く餌を誘導してくるんだよ。
抵抗するようなら、わかってるね。』
指令を出した。
そして広間に粘着糸を張り巡らせ、受け入れる準備を進めていく。
その足元にはおびただしい数の人骨が転がっていた。
(14)
ズザザザザーーーーーッ!!!
と擦過音を上げながら梨深が細い穴から滑り降りてきた。
「いたた〜。。」
服に付いた汚れを叩きながら立ち上がり、
「かなりスベったな~。どれくらい〜下に来たんやろ~。」
呟きながら周りを見回した。
今居る場所はワンルームマンションの狭めの部屋(4畳半)くらいの広さで、
後ろには落ちてきた穴が、前と左右に進んで行けそうな穴が開いていた。
「せやけどセラミネが~まさかあんな娘やったとは~。
あれは天然の~ドジっ娘やな~。」
などと考えていたが、
「とにかく~みんなと合流せなな~。」
呟きながらスマホを取り出し。
取り出し。
取り出。。。
「ああ~スマホ落としてる~。。」
落胆の声が漏れた。
どうやら穴に落ちた時に手にしていたスマホを落としてしまったらしい。
「これやと~こっちからは~見つけれんな~。
取り合えず~奥に向かおか~。」
仲間からはスマホでこちらの位置が判るので見つけてくれる。
そう判断し、洞窟内の調査も含めつつ最奥を目指す事にした。
腰のケースからドールを取り出すと、
「アギュリィ~ミニマムリリ~ス!」
アギュリィを人間大で解放した。
「アギュリィ~、よろしゅうな~。」
梨深の言葉に、
ガォォォォォッ!
一吠え返事を返すと、片膝を付いてしゃがんだ。
梨深が肩に座るとゆっくり立ち上がり、
「ほなら~あっちに行って~。」
指示された前方の穴の方に歩き出した。
そんな梨深を監視するかのように見つめている目に気付かずに。。
(15)
「ちょ、え、梨深さんが、」
「落ちた!?」
莉紗絵と紗都美がすっ頓狂な声を発した。
「まさか、そんな罠があったんっすか!?」
智佳が少し驚き気味の声を上げた。
壁に手を付いたままのセラミネは目の前で起きた事を呆然と見ていた。
そして理解した。
「もしかして私の、せい?」
セラミネの言葉に、
「「やね。」」
「っすね。」
3人が即答した。
それで落ち着いた3人は集まってヒソヒソと、
「もしかして、」
「セラミネってドジっ娘なん?」
「今までそんな感じはなかったっすけど。」
「まさかやけど我らに気を許したから、」
「緊張が解けて、」
「通常運行に戻ったって事っすかね?」
「ドジっ娘って実際に居たんや。」
「漫画とかの中だけや思てたけど。」
「ある意味スゴいっすなぁ。」
意見を交わしていると、
「どう、したの?」
セラミネが心配そうに声を掛けてきた。
「いや、ちょっと梨深さんを探す相談を、」
「してたんよ。」
「そうっすよ。」
3人が微妙にひきつった表情で答えた。
「で、スマホで連絡しよ思ってな。」
そう言いながら紗都美がスマホを取り出し梨深に電話を掛けると、
♪チャララン、チャララ~
と着信音が鳴り響いた。
「ああっ、梨深さんスマホ落としてるー!」
梨深が落ちたあたりにスマホが落ちているのに気付いた。
茶色いケースを付けていたので気付けなかったらしく、莉紗絵が慌てて拾い上げた。
「これやと連絡でけへんな。」
「ほんなら位置検索してみるわ。」
そう言って紗都美がスマホの位置を確認出来る地図アプリを開いた。
5人の場所はそれぞれが身に付けている腕輪と指輪が位置を教えてくれるようになっている。
”バアルス”に居る由維は結界に阻まれているので反応が確認出来ない。
なので画面に4人分の位置情報が表示されている。
固まっている3つの点と別に少し前方、洞窟の入り口から少し奥あたりに反応があった。
が、深さまではわからなかった。
その点が奥に向かって動き出したのを確認した。
「梨深さん、移動してるっすね。」
「目的地は判ってるからそこに向かってんやで。」
「ほなら我らも行こか。」
梨深が最奥に向けて動き出したので、3人も行動を開始した。
「ほらセラミネ、行くっすよ。」
智佳が促す。
「えと、邪魔じゃないの?
さっき見た通り私、昔からああゆう失敗が多くて、友達出来なくて。
だから智佳の前では失敗しないように頑張ってたの。
けど皆と仲良くなれて気が緩んじゃって。。」
沈んだ声のセラミネの話に、
「たしかにドジっ娘みたいやけど、」
「せっかく仲間になったんやし、一緒に頑張ろ。」
「フォローはするっすよ。」
それぞれが答えた。
「ほんとに、いいの?」
不安げな声のセラミネに、
「いいっすよ。
皆で協力して虹色水晶見つけるっす。」
智佳が声を掛け手を差し伸べた。
莉紗絵と紗都美も同意と、頷いた。
差し伸べられた手を握り、
「ありがと。私を仲間にしてくれて。」
涙を流しながら笑顔で思いを言葉にした。
「ほなら行こか。
セラミネ真ん中で前衛が我ら、後衛が智佳、先頭はチャウダーって事で。」
ワウッ!
「はい。」
「ほい。」
「了解っす。」
紗都美の指示で隊列を組むと、
「洞窟攻略やとこれっすね。
召喚武装、申!」
智佳が洞窟攻略に適した武装を装着した。
そして洞窟内へと進んで行った。
その様子もを監視されていた。
(16)
「なんか〜嫌な感じやな〜。」
洞窟を奥に向かって進み始めて1時間くらい経っただろうか。
進めど進めど分岐がなく、時折曲がりはするものの1本道を進んでいる感じだった。
「アギュリィ〜止まり〜。
なんか誘い込まれてる〜感じやわ〜。」
分岐もなく、攻撃もない。
魔獣が生息しているはずの洞窟でこの状況はあまりに異常だった。
「アギュリィ〜広域走査〜。」
梨深が指示を出した。
アギュリィは、
ガウッ!
一吠えし、広域走査を展開した。
結果、
「これは〜!?」
梨深の脳裏にアギュリィが感じ取った情報が映し出された。
それには壁面の岩と同化して分岐路を塞いでいる多数の岩系魔獣"ムーブロック"が見えていた。
「そっか〜。ご丁寧に〜招待されてるんや〜。」
この洞窟の主たる魔獣が自分を誘い込もうとしている。
その事に気付いた梨深は、
「やったら〜ちょい突付いたろか〜。
アギュリィ〜そこの壁に水息吹〜!」
指示を出した。
ガウッ!
了承の返事をしたアギュが右斜め前の"ムーブロック"が密集している場所目掛けて水息吹を吹き掛けた。
その勢いに負け、"ムーブロック"が吹き飛んでいく。
「アギュリィ〜行って〜。」
すぐ様、開いた斜め前に進める分岐路に突進した。
その後から多数の"ムーブロック"が追い掛けてくる。
背後を見たりみは、
「やっぱ〜仰山来よんな〜。」
呆れ気味に呟いた。
ガァウッ!
アギュリィが吠えて前方からの敵の接近を伝えた。
「まぁ〜こうなるな〜。」
予想通りの展開に焦る事なく、
「前に〜竜巻息吹〜!」
攻撃指示を出す。
前方から接近していた"ムーブロック"が竜巻に巻き込まれ、上下左右の壁面に吹き飛ばされる。
そのまま駆け抜けようとした時、上からの殺気を感じた。
『アギュリィ〜上〜!』
咄嗟に脳波で指示を出す。
瞬時にアギュリィが右腕で頭上を防御した。
のと同時に衝撃が伝わってくる。
見上げるとアギュリィの右腕に"蝙蝠人間"が蹴りを入れていた。
どうやら"ムーブロック"の影に隠れて接近していたようだ。
アギュリィが右腕に力を込め、蝙蝠人間を弾き飛ばす。
が、羽根でバランスを取って空中に留まった。
そして"音波攻撃"を仕掛けてきた。
アギュリィが腕を使い防御しようとしたが、衝撃が突き抜けて梨深にまで届いた。
衝撃で肩から落とされかけたが、アギュリィの肩を蹴り体を丸めると空中で半回転し、なんとか足から着地した。
が、勢いが付き過ぎてお尻での着地になってしまった。
痛みを堪え、
『アギュリィ〜バトルモ~ド!』
自己判断で戦闘するよう指示を出す。
お尻を擦りながら立ち上がった梨深は蝙蝠人間の空中からの攻撃に翻弄されているアギュリィを見ながら、
「あれは〜アギュリィやとキツいな〜。」
呟きながら腰のケースからドールを取り出し、発射装置にセットした。
射出方向を蝙蝠人間に向けると射出力を最小に設定し、
「ウィーディム〜ミニマムリリ〜ス!」
ウィーディムをミニマムモードで解放した。
突然、目の前に現れた新たな敵に驚き、蝙蝠人間の動きが止まる。
その一瞬の間が勝敗を決めた。
ウィーディムの"翼刃"が蝙蝠人間を胴の部分で分断した。
ギィヤァァァァァ。。。
断末魔の声を上げ上半身と下半身が地面に落ちる。
と同時に、
「アギュリィ〜リタ~ン!」
アギュリィを人形に戻すと、
「ウィーディム〜逃げるで〜。」
指示を出した。
ウィーディムは旋回して梨深を拾い上げると、洞窟の奥へと飛んで行った。
(17)
洞窟を進み始めてどれくらい経っただろうか。
周りを警戒しつつ進んで行くが、襲撃される事もなく奥へと進んでいた。
位置情報をチェックしていた紗都美が、
「もうちょいで梨深さんの位置と重なりそうやな。」
状況を伝えた。
「大分下った感じっすよね。
そろそろ合流出来るっすかねぇ?」
「やと思います。」
そんなやり取りをしていると、
「あの、ちょっと気になってる事があるんだけど、聞いていいかな。」
状況に変化がなく、そろそろ梨深と合流出来そうとゆう雰囲気に少し警戒が緩んだのかセラミネがおずおずと声を掛けてきた。
その問い掛けに智佳が、
「何が気になってるんっすか?」
問い返した。
「仲間の由維さんって人が”バアルス”で助けを待ってるんですよね?
あんまり心配していなさそうに見えるんですけど、どうしてなんですか?
私はすごく妹の事が気になってて。でも私一人じゃどうする事も出来ないし。
だから口に出さないようにしてるんです。
けど皆はそんな感じじゃないように見えて。。」
洞窟の静かな雰囲気が不安を募らせたのかセラミネが思いを零した。
顔を見合わせる3人。
を代表して紗都美が、
「心配してないって訳やないんよ。
けど由維さんが本気出したら自力で脱出出来るし。
梨深さんの話やと落とされる前に由維さんから”上で情報集めるから心配せんでええ”てメール貰ってたんやて。」
説明した。
「メール?」
セラミネが聞いた事のない言葉に反応した。
その疑問に、
「これがメールや。」
そう言いながら紗都美がスマホのメール画面を見せた。
「我らの世界の情報伝達手段で、文字で連絡出来るんや。」
スマホの画面を不思議そうに眺めていたセラミネが、
「それじゃ私はもう妹に会えないの、かな。。」
不安そうな声で呟いた。
「それはない。
梨深さんは”バアルス”に重要な情報がある思ってる。
それを由維さんが見つけてくれるって。
せやから我らは”バアルス”に行くつもりや。
その時はセラミネも一緒に。」
紗都美が力強く宣言した。
その言葉に、
「わかった、皆を信じる。
この事はあんまり考えないようにする。」
セラミネがうっすら涙を浮かべながら笑顔で答えた。
その時、
ドドーン!!!
とゆう地響きが伝わってきた。
「何!?」
突然の衝撃にセラミネが恐怖で固まった。
「近くで戦闘してるんちゃうん。」
「って事は梨深さんやな。」
「こっちも警戒するっすよ。」
3人が気持ちを戦闘モードに切り替えた時、左斜め前の壁面の穴を隠していた”ムーブロック”が吹き飛んだ。
その穴から梨深を抱えたウィーディムが飛び出してきた。
4人の目がそこに釘付けになった時、セラミネの近くの壁面で空間が揺らいだ。
その気配にいち早く気付いたのはチャウダーだった。
ワゥゥゥッ!!!
チャウダーの唸り声に気付いた紗都美が見たのはセラミネに近付く何もない空間から伸びた舌だった。
それに気付かず固まったままのセラミネを、
「あかん!」
叫びながら突き飛ばした。
そして今までセラミネが居た場所に入り込んだ紗都美に舌が巻き付いた。
そのまま壁面に引き寄せられる紗都美に全員が気付きそちらに目を向けた。
「紗都美!」
莉紗絵の叫びが響く。
その時、カメレオンのように姿を消していた魔獣が壁面に張り付いた状態で姿を現した。
ワゥッ!
「紗都美を離すっす!」
いち早くチャウダーと智佳が動いた。
空間に足場を作り撹乱しながら魔獣に迫る智佳と一直線に飛びかかるチャウダー。
だが、魔獣が素早い動きでその攻撃を避け壁面上部(天井)に移動した。
そしてそのまま洞窟の奥へと逃げて行った。
「紗都美ーー!!!」
ワウーーーッ!!!
莉紗絵とチャウダーの叫びが洞窟内に響き渡った。
久しぶりにちょっとバトルシーンを書きました。
どうだったでしょうか?
やっぱ表現が難しいな、と思います。
もっと頑張らねば。
そして次回は4話の完結回。
拐われた紗都美の運命は?サリシスは活躍出来るのか?
次回はもう少し早く更新出来る、はず。
水曜には更新出来るよう頑張ります。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。




