第4話「虹色水晶(レインボークリスタル)はネバネバの奥に VSアラクネ」(1)
遅くなってしまいましたが、第4話の1を公開しました。
本業が多忙を極め頭が回らなくなっててなかなか文章が書けなくて。。。
でも、なんとか4話始まりました。
しばらくは唯維奪還の為の下地作り的な話が続きます。
新章開幕。楽しんで頂けると嬉しいです。
(1)
「で、こないな事までしてうちに何する気なんやろねぇ?リカーラさん。」
由維が敵意を露にした声で尋ねた。
ニモーニとセシリネはラヴュナが医務室へ連れていったので、由維、リカーラ、ルゥパニの3人で話をしていた。
「そうねぇ、まずは色々聞かせて貰いましょうか。
記憶、戻ってるのよね?」
友好的とは言いがたい雰囲気で問い返してきたリカーラに、
「拒否ったら?」
由維が強きな言葉で返す。
「別にいいわよ。
その時はちょっと”従順”になって貰うから。」
不適な笑みを浮かべながら答えるリカーラに、
「ここの子供達にしてるみたいに、やろかねぇ?」
由維が挑発するように問いかける。
「な、何故その事を!?」
予期していなかった言葉にリカーラが動揺した。
「やっぱ図星か。梨深の考察は当たってたんやな。」
”バアルス”に集められているのは魔法特性の高い子供。
地上全都市に派遣されている調査員が才能ある子供を発見すると強制的に”バアルス”の学校に編入させる。
その際、従順にさせる為に軽く洗脳を施していた。
「なるほど。やはり界渡りは侮れないわね。
そこまで判っているなら話が早いわ。まずその魔道具のような物を渡して貰おうかしら。」
気を取り直したリカーラは由維が手にしているマイクに目を付けた。
「拒否ったら?」
由維が挑発するように同じ言葉返すと、
「力ずくで頂くだけよ。ルゥパニ!」
リカーラの言葉にルゥパニが由維からマイクを奪い取ろうとして触れると、
バシッ!!
と電気が流れルゥパニの手を弾いた。
「痛たぁぁ!!」
「な!?」
ルゥパニは悲鳴を上げ痺れを取り去ろうと手をふりふりしている。
その様子にリカーラが小さく驚きの声を上げた。
由維はニッっと笑いながら、
「残念やったなぁ。うちが握ってる時に無理に取ろうとすると痛い目見るで。
ほならこれは隠しとこか。収納。」
言いながらマイクを右手の指輪の宝石に触れさせ収納した。
それを見たリカーラとルゥパニは、
「指輪の中に、入った、の!?」
「なんだぁいまのぉ!?」
驚愕の声を上げた。
「ほんまこの指輪便利やわ。
これが異世界の技術ってやつや。」
妙な自信でどや顔で話す由維に、
「まあいいわ。その辺の事も”従順”になって貰えば問題ない事よ。
それじゃ行きましょうか。」
再び悪どい表情を見せ促すリカーラに反抗しようとしたがルゥパニに抑えられ、
「ちょ、もっと丁寧にしいや!」
苦言を発している由維を強制的に建物内に連れ込んで行った。
(2)
「セラミネ、起きるっすよ。」
そう言いながら智佳がセラミネの体を軽く揺すった。
「う、んっ。。」
その振動でセラミネが小さく声を漏らしながら目を覚ました。
「おはよう、智佳。。」
少し寝惚け気味だったが頭がスッキリし始めると”バアルス”での事が思い出された。
「智佳、ここ何処?セシリネは?」
少し混乱気味な声で尋ねてくるセラミネに、
「ここは~”ストファム”近くの~森の中やで~。」
梨深が答えた。
そしてこれまでの経緯を説明した。
「・・・で~”バアルス”から~放り出されたんよ~。」
話を聞いたセラミネは、
「妹は無事なんですね。良かったぁ。」
まず妹が無事だった事に安堵した。
「また会えるんですよね?」
セラミネの問いかけに、
「うちらも~仲間助けに行こうと思てるし~。
セラミネさんはどうする~?」
梨深が問い返した。
「皆さんが迷惑でないなら同行しても良いですか?
私1人じゃ何も出来ないから。。」
弱気な発言をするセラミネに、
「あんな事出来るんっすから、何も出来ないって事はないっすよ。」
と変な励ましをする智佳。
「ほんまですよ。」
「あんな風になれるとかスゴ過ぎですやん。」
さらに双子が追い討ちを掛けた。
3人の言葉で先程の梨深の説明に違和感を感じる部分があったのを思い出した。
「それって私が狼人間になった、ってやつですよね?
そんな記憶まったくないん、ですけど。」
自身にそんな事があったなどと信じられないセラミネだったが、
「その姿で言われても。」
「説得力ないですよ。」
「ほんとめっちゃ可愛いっすよ。」
「3人共~からかったらあかんえ~。」
4人がニコニコ顔で見つめてくる。
そして自身の違和感に気付いた。
頭とおしりに今までになかった感覚がある。
その時、目の端に茶色く揺れる物が過ぎった。
おそるおそる目を向けると、茶色いもふもふした尻尾が見えた。
どうやら自分のおしりにくっついているらしい。
慌てて頭を触ってみる。
そこには少し前まではなかった柔らかな感触の物が2つ。
茶色いケモミミが、あった。
セラミネは狼人間化から完全には戻っておらず狼の耳と尻尾が残った獣人状態になっていた。
愕然とするセラミネの、
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
絶叫が響き渡った。
(3)
「へぇ、ここで”従順”にしてくれるんや。」
とある部屋に連れてこられた由維が皮肉混じりに声を掛けた。
「そうゆう事になるわね。」
リカーラが事も無げに答えた。
由維が連れてこられた部屋は窓がなく、天井の小さな明かりと一脚の椅子があるだけの薄暗い部屋だった。
部屋全体が黒く塗装されているので、より薄暗さが強調されている。
その椅子に由維を座らせたると、逃げられないように手足を拘束具で固定した。
「で、どうされるんやろかねぇ。それ系の魔法かな?それとも何か飲まされるんかな?」
そんな余裕のある態度の由維に少し苛立ちつつリカーラが椅子の背もたれの後ろから銀色のヘルメットのような物を取り出して被せた。
それには左右に1本づつチューブのような物が付いていて、それが椅子の後ろに設置されている機械に繋がっていた。
「ベタやなぁ。これから何か放射するんやろ。
ほんなら子供は寝てる間に、って事か。」
細かに説明しながら薄ら笑っている由維に、
「減らず口もここまでよ。すぐ”いい娘”になるわ。
楽しみね。」
リカーラが嫌みを込めながら返すと機械を操作した。
機械から記憶を封印する魔法術式が脳に直接流し込まれる。
今回は中度(名前以外の個人情報)の封印を施した。
普段子供達に施しているのと同レベルで、この後特殊な情報を上書きする事で自分達に従順になるようにしていた。
リカーラが続けて上書きをしようとした時、
「ふ~ん、全然痛みとか無いんや。これやったら子供達も安全やな。
ま、うちには通用しないけど。」
何事もなかったように由維が話し掛けてきた。
「どうゆう事なの!?」
リカーラは驚きながら再度術式を流した。
が、
「何度やっても無駄やで。この指輪がそうゆう事から守ってくれてるから。」
それが由維の余裕の要因だった。
梨深からの説明でその事を知っていたのだ。
少し不安ではあったが結果何も変化がなかったので守られている事を実感した。
「何ですって!」
怒りを露に由維の指輪を奪い取ろうとしたが、触れた瞬間マイクの時と同様に電気が流れ手を弾いた。
「クッ!」
苦痛の声を発し手を擦るリカーラに、
「止めといた方がええで、痛い目見るから。
ってもう遅いな。」
挑発するように棒読みで声を掛けた由維はさらに、
「そうそう。子供達の洗脳も確認した方がええで。
さっきの光は”悪意の種”消し去るんやけど、状態異常的なんも解消させるみたいやから。」
と楽しげに追い討ちを掛けた。
「な、なんですって!?」
リカーラは心底から驚いた。
もしそれが本当なら子供達が騒ぎ出すのは明らかだ。
急ぎ対処しなければならなくなり由維の拘束を解くと、
「あなたの処遇は後で考えるわ。
"バアルス"からは出られないから好きにしていなさい。」
それだけ言い残してリカーラは大慌てで部屋を出て行った。
残された由維は、
「ほんならしばらくのんびりさせて貰おか。
けど、大人しくはしてへんで。」
不敵な笑みを浮かべながら呟くと、のんびりした足取りで部屋を後にした。
(4)
「似合ってるっすよ、セラミネ。」
そんな智佳の褒め言葉に、
「もういいってばぁ。」
顔を真っ赤にして照れるセラミネ。
だったが褒められた嬉しさがブンブン動いている尻尾で丸わかりになっていた。
「ほんま〜ええ買い物出来たわ〜。」
洋服店から出てきた5人は満足げな笑みを浮かべていた。
変態によって服が崩壊してしまい智佳のジャージを応急的に着ていたセラミネだったが色々と不都合があり獣人の服も取り扱っている洋服店で下着を含めた衣類一式を購入した。
併せて制服だった4人も目立たないようこの世界の衣服を購入し着替えていた。
幸いセラミネのリュックを智佳が回収していたのでカードを使わずに買い物出来るようになっていた。
「ほんなら~細々した物買いたいし~そこの雑貨屋さん入ろか~。」
梨深の提案に、
「はい。」
「おっけっす。」
「雑貨屋”世界地図”、か。」
「なんかおもろそうやな。」
4人も同意したのでぞろぞろと店内に入っていった。
「いらしゃ~い!」
入店すると気の良さそうな店員の声が聞こえてきた。
店内に他の客が居なかったので店長(しかいない)が、
「何かお探しですか?ここは多種多様の商品を取り揃えているので申し付けて頂ければ見繕いますよ。」
気さくに声を掛けてきた。
「ほんなら~。」
梨深が口火を切ると一頻り買い物を楽しんだ。
地球のものと同じような物からこの世界特有の物まで色々な品物が揃っていたので、少々騒がしくなり店長のチェダはちょっと、疲れた。。
「チェダさん~ちょっと尋ねたい事~あるんやけど。」
店の奥の食事スペースでピザのようなものを食しながら休憩していた梨深がチェダに声を掛けた。
「いいですよ。
どのような事ですか?」
朗らかに返してきたチェダに、
「亜人の事に詳しそうな人~知りませんか~?」
と尋ねた。
「亜人ですか。
なら通りの奥にある魔法道具屋”はむらんと”のテトゥ婆さんがここらじゃ一番詳しいですよ。
これを見せれば優遇してくれますので。」
そう言いながら1枚の金属プレートを手渡してきた。
「これは~?」
受け取った金属プレートを不思議そうに眺める梨深に、
「紹介状のようなものです。
これを見せると誰から店の事を聞いて来たか判るんですよ。
この店はその店の仕入れを任されてて信頼されてるので。」
チェダが答えた。
「おおきに~。ありがたく頂いときます~。」
梨深が頭を下げお礼を述べると、
「いえいえ。こちらこそ沢山買って頂きましたので。」
チェダがにこやかに返した。
それからしばらく食事しながらチェダを交え色々話しをしてから店を後にした。
(5)
「ここ~みたいやね〜。」
大通りから外れた路地の奥は光が届かず薄暗い。
はずが、豪奢できらびやかな建物がその存在感をアピールしていた。
その為、路地裏のはずが大通りと同じくらいの明るさになっていた。
「うっわー、ものごっついなぁ。」
「なんか金持ちが悪い方向に全振りした感じやなぁ。」
双子が口々に感想を述べた。
「とにかく入ろか~。」
そう言って入り口に近付く梨深に4人が続いた。
入り口の前に立つとドアが自動で開き出した。
開き戸になっているドアは、
ギィィィィィ!
っと音を立てながら内側に開いていった。
「この音ってわざと出してるっすかねぇ?」
智佳が呟いた。
「やとしたら~すごい拘りあるんやろな~。」
梨深がしみじみと呟き返した。
店内はいかにもな感じの怪しげな品物が所狭しと陳列されていた。
その時、
「よく来ただニ。誰の紹介だニ?」
店の奥から声をかけられた。
見ると小さなカウンターの奥に老婆が座っていた。
頭に小さな耳が見えるのでどうやら獣人のようだ。
5人はカウンターに近付くと梨深が金属プレートを手渡した。
それを見た老婆は、
「ふむ、チェダの紹介だニ。
歓迎するニ。
それでどんな用件だニ?」
と快い表情で尋ねてきた。
「この娘なんやけど~。」
言いながら梨深がセラミネを指し示すと、
「獣人、いや亜人だニ。
しかも亜人遺伝子持ちだニ。
珍しいニ。」
テトゥが全てを見抜いたような内容の事を述べた。
「見ただけで判るんですか~?」
梨深の問いかけに、
「うむ、それが私の能力だニ。」
と答え、
「見たところ成り立てだニ。
戻らなくなった、ってとこだニ?」
言葉を継いだ。
「その通りです~。人間の姿に戻る事って~出来ますか~?」
梨深の問いに、
「姿を人間に戻す事は出来るニ。
けど、亜人遺伝子を消す事は出来ないニ。
なので”きっかけ”があれば獣化するニ。
訓練すれば自由に変態する事も出来るニ。
出来るようになるのに時間掛かるけどニ。」
テトゥが答えた。
「なるほど~ほんならあのルゥパニって人も~そうなんやなぁ。」
梨深の呟きに、
「おや、ルゥパニに会ったのかニ。
あの娘も亜人遺伝子持ちだニ。」
テトゥが言葉を継いだ。
「やっぱりそうなんやね~。
ほんならどうしたら~この子を戻せますか~?」
再度尋ねた。
「そうゆう効果の薬があるニ。
けど素材の虹色水晶が無くて作れないニ。
注文してるけどその素材のある洞窟に住みついた魔獣が強いらしくて手に入れられないらしいニ。
あんた達、界渡りのようだニ。
取ってこれたらすぐ作ってやるニ。」
テトゥの言葉に、
「そんな事まで~判るんやね~。
皆どうする~。」
梨深の問い掛けに3人が当然とばかりに頷いた。
それを見たセラミネは、
「ありがたいです。
けど危険じゃないですか?
私のわがままでそんな危険な事まで。。」
いい掛けたセラミネの言葉を遮るように、
「何言ってるんっすか。仲間が困ってたら助けるのは当然っすよ。」
智佳が言葉を挟んだ。
「智佳さん、本当は、」
「強い魔獣に興味あるんちゃいますか?」
双子の突っ込みに、
「ちょ、ちょっとはあるっすよ。ほんのちょっとっす。
でもセラミネを仲間や思ってるんは本当っす。」
慌て気味に答える智佳に、
「ま、仲間や思てるんはうちらも一緒やし。」
「仲間が困ってるんやから助けるし、やな。」
双子が同意した。
「みなさん、ほんとにいいんですか?」
目にうっすら涙を浮かべ思いを口にするセラミネに、
「セラミネには智佳ちゃんが~沢山世話になったんやし~。
うちも仲間やって思てるし~。頼ってくれてええねんで~。」
梨深が諭すように声を掛けた。
「ありがとうございます。」
涙を流しお礼の言葉を述べるセラミネの頭を優しく撫でながら、
「ほんならテトゥさん~、その洞窟の場所~教えてくれますか~?」
こうして異世界探検部一行はセラミネの獣化症状を治す為、虹色水晶を求めて旅立った。
次の日に。。
もふもふセラミネを仲間に加え動き始めた異世界探検部。
洞窟ではどんな事が起こるのか?
いつも通り5分割くらいになる予定です。
次回も木〜金曜くらいの更新になるかと思います。
よろしくお願い致します。




