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第3話「天空(そら)に響く歌声 VS狼人間(ワーウルフ)」(5)

かなり遅れてしまいましたが第3話の5を公開しました。

本業が忙しくなったとゆうのもありますが、内容にも色々盛り込んでたので思いの外時間が掛かってしまいました。

その分すごく長くなってしまいましたが。。

これで3話の完結となります。

全精力を注ぎ込んで書き上げました。

楽しんで頂けると嬉しいです。

(16)


森の奥。

いこいの広場に辿り着いた3人が見たのは、目をおおいたくなるような惨状だった。

4羽の魔獣は怪獣映画さながらの激戦を繰り広げ、そこかしこで子供達が取っ組み合いの喧嘩けんかをしていた。

男女関係なく、近付いて来た者を誰彼だれかれかまわず攻撃しているようだ。


「レリ姐の記憶で知っとったけど、」

「これはきっついわ。。」

「これはボクでも見てられないっす。。」


3人はあまりの衝撃しょうげきに立ちすくんでしまった。

が、直ぐに気を取り直し。


「って弱気になっとったらあかんやん。」

「せやな。早く(はよ)何とかせな。」

「そんで具体的にどうするっすか?」


智佳オーニオの問いに紗都美ミミナが、


「何とか動き止めましょ。気絶させてもたら由維さん(キャロン)の声が届かんくなるんで。

 われの武器やと子供らの相手は向かへんから魔獣の方担当するんで。

 莉紗絵ホクス智佳さん(オーニオ)で子供ら抑えるって事で。」


指示を出すと、


「まかしとき。」

「まかせるっす。」


2人は了承の意を示した。

紗都美ミミナ腕輪リングに触れ、


収納物取り出し(ストレージアウト)。」


と言いながらチャウダーを出して、


「チャウダー、ウェイク、モードH!」


命じた。

起動したチャウダーは、


ワゥーーーッ!


と吠えると紗都美ミミナの背丈くらいの大きさのハンマーに姿を変えた。

そのの部分を右手で握ると持ち上げて肩に担ぎ、魔獣に向かって突進して行った。


紗都美ミミナを見送った2人も行動を開始した。

莉紗絵ホクスは腰のホルスターから銃を抜くとモードワンのままで、


全弾装填フルロード雷弾サンダーブレット!」


雷撃系の弾丸を装填そうてんした。

智佳オーニオは、


「召喚武装、いぬ!」


武装し、2人は子供達への攻撃を開始した。

莉紗絵ホクスの発射した弾丸たまが着弾すると軽い電撃が体をしびれさせしばらく動けなくなる。

智佳オーニオは武装から発する音波の衝撃波で動きを止める。

どちらも加減している為、数分で回復し動き出してしまうので再度攻撃をする。

そんな時間稼ぎに専念した。


魔獣に向かって行った紗都美ミミナは、


反重力アンチグラビティ!」


と叫びながらハンマーの片側を地面に打ち付け発生した反発力で体を浮かすとハンマーの向きを変え、


重力グラビティ!」


と叫びながらハンマーを魔獣に打ち付けた。

ハンマーから発生した重力波が魔獣を押し潰すように地面に叩きつける。

そうやって空中の魔獣をねじ伏せていった。

そんな単調な作業を繰り返していると、


ワォォォォォォォォォォン!!!


とゆう遠吠えが聞こえて来た。


「なんや、今のん?」

「なんか吠えてたで。」

「狼、っすか?」


3人がいぶかしんでいると、


ワォォォォォォォォォォン!!!


再度の遠吠え、そして何かが走ってくる音が近付いて来た。


「おおお、何かよったで!」

「でかっ!」

狼人間ワーウルフって奴っすね。」


突然現れた新たな驚異きょういに3人の意識が引き付けられ動きが止まった。

狼人間セラミネ智佳オーニオの姿を捉えると、


襲いかかった!


その動きは早く、対応が遅れた智佳オーニオは攻撃をまともに受けてしまい吹き飛ばされた。

なんとか防御出来たもののダメージは大きく、すぐに動ける状態ではなかった。

このままでは周りが被害をこうむり子供達が危険にさらされる。

そう感じた莉紗絵ホクス紗都美ミミナは意思を確認するまでもなく互いに向かって走り出した。


「「我らのガッツで、いてこましたるー!」」


2人の意思がシンクロし、腕輪ブレスの宝石が赤く、青く、輝きを増す。


「「ハーツ・シンクロース!!」」


走り寄った2人は勢いを抑えながら腕輪ブレスの宝石を打ち合わせ、


キン!


打ち合わせた腕を中心にくるっと回り、止まった。


澄んだ音が響き、2人が赤と青の光の球体に包み込まれる。

そして膨れ上がった光球が消えると、赤青の巨人が姿を現した。


(17)


「ううっ。。」


呻き声を漏らしながらリカーラが体を起こした。

狼人間セラミネに吹き飛ばされた後、木に激突した為ダメージが大きく何とか体を動かせるといった状態だ。

周りを見るとラヴュナも同じような状態だった。

ルゥパニはみずから茂みに逃げ込んだのが幸いし大きなダメージは無いようで、セシリネをかかえてリカーラに近づいてきた。

この世界では治癒系の魔法は特殊魔法の為、素質のある者にしか使えず怪我をしても簡単に回復が出来ない。

リカーラは体の痛みに耐えながら近付いてきたルゥパニに、


「あなたはその子を連れて救護班に合流して。」


指示を出した。


「わかったぁ。」


ルゥパニは了承すると森の入り口付近に集まって来ているであろう救護班の所に向かった。

リカーラはラヴュナに近付くと、


「動ける?」


と声を掛けた。


「なんとか、ね。」


痛む体を強引に動かしながらラヴュナが答えた。


「私は狼人間セラミネを追います。

 あなたはどうします?」

「行くよ。どうなってるか気になるからね。」


リカーラはうなずくと広場の方へ歩き出し、ラヴュナも後を追って歩き出した。

何とか広場に辿り着いた2人が目にしたのは莉紗絵ホクス紗都美ミミナが勢い込んで駆け寄る姿だった。


「「ハーツ・シンクロース!!」」


走り寄った2人が腕輪ブレスの宝石を打ち合わせると、


キン!


と澄んだ音が響き、2人は赤と青の光の球体に包み込まれた。

光球は膨れ上がり、程なく消えた。

そして赤青の巨人が姿を現した。


「まさかあの達が巨人、だったの!?」

「まさか、そんな。。」


リカーラとラヴュナは衝撃的な出来事に言葉を失った。


(18)


「そんな事になっとったんや。」


スマホの画面を見ながら由維ゆいが呟いた。

色々説明するには時間が掛かると思っていた梨深りみは内容を整理してまとめ、メールにして保存しておいた。

それを由維ゆいに送信し読んで貰っていた。


「とりあえず~理解してくれたみたいやね~。

 そんで由維ゆいの歌で~子供()こころ~救えるんちゃうかって思うんよ~。」


そんな梨深りみの問い掛けに由維ゆいは、


まかしとき。うちの歌でメロメロにしたるわ!」


勢い込んで答えた。


「ねぇねぇおねえちゃん、それってなんなの?」


2人会話に割り込むようにマイクを指差してニモーニがたずねてきた。


「これか?これは”マイク”ってゆう声を遠くまで響かせる道具や。

 これからめっちゃええ歌聞かしたるから楽しみにしとき。」


由維ゆいが笑顔で答えると、


「うた、ってなに?」


ニモーニが不思議そうな表情で問い返した。


「へ?」


歌を知らないとゆうニモーニの問いに変な声で反応する由維ゆい梨深りみが、


「どうやらこの世界には~歌うゆう文化が無いみたいなんよ~。」


先程さきほど得た情報を伝えた。


「それはあかんわ。歌を知らんなんて勿体な過ぎやで。

 ニモーニちゃん、これからお姉ちゃんが歌っちゅうもんを聞かせたるから心に刻みや。」


自信満々で豪語する由維ゆいに、


「うん、わかった。」


満面の笑顔で答えたニモーニだったが実は良く判っていなかった。

それでも何か面白そうとゆう事だけは伝わったようだ。


「は~。ほんま由維あんたは~歌の事になると~抑えがきかへんな~。」


呆れ顔でため息混じりに呟く梨深りみ

そこに数名の救護班の面々が姿を現した。

その中のリーダーとおぼしき人が、


「怪我人が多数出ていると聞いたのですが、その子は大丈夫ですか?」


問い掛けてきた。


「この子は大丈夫です~。

 皆さんは救護班の方ですよね~。

 リカーラさんからの伝言なんですけど~、怪我直したら~覚醒させとって下さい〜との事です~。

 ちょっと暴れるかもやけど~すぐおさまるんで~よろしゅうお願いします~。」


梨深が話掛けていると森の方からルゥパニが子供を抱えて駆けて来た。

救護班を目にすると、


「この子の治療をぉ。」


言うや子供セシリネをそっと地面に下ろした。

救護班の1人が、


「アタ・ハ・タタ・ウゲ・ラ・ウミコ」


癒しの魔法の呪文を唱えた。

セシリネは傷が治り覚醒すると、


ガァ!


と呻き声を上げ、暴れだそうとするのを梨深りみが抱き締めて抑え込んだ。


「こんな感じで~ちょっと暴れるけど~直ぐ治まるんで~。

 他の子らもお願いします~。」


梨深りみの申し出に、


「判りました。急いで対処します。」


リーダーが答えると、救護班とルゥパニは森の方に向かって行った。


「セシリネちゃん、大丈夫?」


心配そうに声を掛けてくるニモーニに、


「大丈夫やで~直ぐに治まるから~。」


梨深は笑顔で答えると、


由維ゆい~始めて~。」


声を掛けた。


「まかしとき。

 ほんなら伏守由維ふくもりゆいの異世界スペシャルステージ、ぶちかましたるわ!」


そう高らかに宣言し、マイクのスイッチをオンにした。

すると由維ゆいを中心に1メートル四方の四角い光が現れた。

その光は由維ゆいを乗せた状態で50メートル程浮き上がると横10メートル、縦5メートルの長方形に大きさを変えた。

それに伴って由維ゆいの服がアイドルのステージ衣装のような派手な感じに変化し、目がキラっと光った。

ように見えた。

そして光のステージから直径10センチくらいの球体が10個現れるとひとつは梨深りみ達の近くに、他は森の方に飛んで行った。

その球体はスピーカーになっていて、一斉にイントロが流れ始めると高揚こうようした由維ゆいの、


「うちの歌は、めっちゃ刺さんでぇ!!!」


絶叫が響き渡った。

と同時に梨深りみからため息が、漏れた。


(19)


智佳オーニオに襲いかかった狼人間セラミネは現れた巨人サリシスを次のターゲットとして捉え、襲いかかってきた。

両手を組み、力比ちからくらべの状態になる。

狼人間セラミネの力はサリシスより強く徐々に押さえ込まれていく。

のを受け流すように反転しながら投げ落とす。

が、狼人間セラミネは体を捻り四つん這いで着地すると、跳ねるようにサリシスに襲いかかる。

サリシスは右拳みぎこぶしを握りしめ、パンチで迎撃しようとした時、


「やめなさい!」


リカーラの叫び声が響いた。

その声に反応して動きを止めたサリシスに狼人間セラミネがぶつかりおおかぶさるように押し倒した。

のしかかられた状態ながらも狼人間セラミネの腕をつかんで拘束こうそくしつつサリシスは声のした方に目を向けた。


「それはあなた達の仲間のよ!」


リカーラが続けた。


『なんやて!?』

『ほんならこの狼人間ワーウルフはセラミネさんなんか?』


2人の一瞬の逡巡しゅんじゅんがスキを生み、狼人間セラミネが拘束から逃れ飛び退すさった。


ワォォォォォォォォォォン!!!


吠えて威嚇いかくしてくる狼人間セラミネにサリシスは慌てて起き上がり、対峙した。


紗都美さっつん、どうする?』

『もう直ぐ由維さん(キャロン)のステージが始まるやろから時間稼ぐしかないわ。』

『”悪意の種(メリスシード)”の効果が切れて元に戻るん?』

『多分な。』

『ほなら我が動いて気を(きぃ)引くから。』

『我が拘束する(おさえる)、って感じで。』


脳内会議を手早く終わらせサリシスが動いた。

とりあえず捕まえようとするが狼人間セラミネの動きは早く、捕まえらない。


『あかん、めっさ早いわ。』

『こう動かれると技も使えない(へん)やん。』


脳内会議しながらも飛び掛かってきた狼人間セラミネをギリギリで回避する。

そんな感じの攻防をサリシスと狼人間セラミネが続けていると、


♪チャラララ〜〜〜ン♫


とイントロが聞こえてきた。

その音楽に、


『『きたっ!』』


莉紗絵ホクス紗都美ミミナ歓喜かんきの声を上げた。


「この変な音は、なんなんだ?」


ラヴュナの言葉に、


「これが”歌”、とゆうものなの?」


リカーラが驚きながら声を漏らした。


「違うっすよ。

 歌ってゆうのはこうゆう音楽に乗せた声の事っす。

 すぐ聞こえてくるっすよ。」


智佳オーニオ言葉終ことばおわりに合わせるように、


「うちの歌は、めっちゃ刺さんでぇ!!!」


由維ゆいの絶叫が響き渡った。

サリシスと智佳オーニオ以外の人間や魔獣がその声に引き付けられ、動きが止まった。


『この曲は。』

魔法の歌姫(マジカルアイドル)キャロン、やな。』

『かなり飛ばしてんなぁ。』


2人が話していると歌が始まった。


♫心(むしば)む邪悪な闇を

 白く染め上げ癒したる

 うちの美声びせいが届いたら

 どんなけがれもイチコロや♪


サリシスは歌に気を取られている狼人間セラミネの背後に回り込んで羽交はがめにして動きを封じた。

狼人間セラミネはそれを振りほどく素振りも見せず歌に聞き入っていた。


♫世界が真っ暗になったら

 うちが光って照らしたる

 白く輝くこの声に

 メロってもても知らへんで♪


狼人間セラミネの体が少しづつちじんでいるのに気付いたサリシスは拘束を解くと、倒れないように支えながら成り行きを見守みまもった。


♫うちはマジカルアイドル

 どんな敵にも負けんのや

 アイ・ラブ・ユー魔法の言葉で

 あんたのハートをめった打ち♪


由維キャロンの歌の調子が上がるにつれ子供達の体から黒い霧が霧散していく。

4羽の魔獣にも歌が響いたのか体が縮んでいっていた。


♫うちに惚れてもあかんで

 ひとりのもんにはなれんから

 全人類の心をいや

 マジカルアイドル キャ、ロ、ンやで♪


由維キャロンの歌が終わりアウトロが余韻を残すように流れている。

そして音が消えると、辺りに静寂が戻った。

子供達は力を使い果たしたようで静かに寝息を立てて眠っていた。

4羽の魔獣は何事もなかったように歩き回っている。

そしてセラミネは大きくなった影響で服が破壊したようで、裸で倒れ気を失っている。

セラミネに近付いた智佳オーニオは、


「わぁぁ、セラミネ裸じゃないっすか。」


言いながら慌てて指輪ストレージからジャージの上着を取り出すと羽織はおらせた。


「これが、歌の力なの。。」

「言葉もないね。」


リカーラとラヴュナが思いをこぼした。


走査スキャン!』


サリシスはセラミネや子供達の中を調べ、”悪意の種(メリスシード)”が種の状態に戻っているのを確認した。


『ふぅ、何とか間に合っ(おう)たみたいやな。』

『結構ギリっぽかったんちゃう?』

『せやな。由維さん(キャロン)流石さすがやわ。』

『ほんなら仕上げといこか。』


サリシスは意を決して智佳オーニオの側に向かって行った。


(20)


「何だと!?」


異常事態を感知しランタルが目を覚ました。


「開花直前の”悪意の種(メリスシード)”が枯れた、とゆうのか。」


ランタルは起こり得ない事態に驚愕きょうがくしていた。

悪意の種(メリスシード)”はランタルの細胞から作り出され、生物の体内に入り込み定着する。

その後、土壌となる母体の恐れや憎しみ等の負の感情を養分にして芽吹き、成長する。

負のエネルギーが一定量いっていりょうに達すると花が咲き、大量の負のエネルギーをランタルへと送り込む。

そして母体の生命力を昇華させる。

そうやってランタルは負のエネルギーを溜め込み、満足すると次の場所へと移動する。

そんな事を繰り返して来たが、このようなケースはまれだった。


捜査官共いぬどもにそんな事が出来るやからは居なかったはずだ。

だとするとここにそれが出来るやからが居た、とゆう事か。」


この問題は即時に解消しなければ安心して負のエネルギーを楽しんでは居られない。

そう考えたランタルは問題を解決する事の出来る部下を呼び出す為に右手で左腕を掴むと引き抜いた。

引き抜いた腕を放り投げると人の形に姿を変えた。


「これはお久しぶりです、ランタル様。

私を起こされるとは余程よほどの事態のようですね。」


執事っぽくうやうやしく頭を下げながら問い掛けた。


「成長した”悪意の種(メリスシード)”を枯らす事の出来るやからが居るようだ。

 早急に見つけ出し、排除しろ。

 捜査官いぬも紛れ込んでる。気取けどられたくないのでな。

 接触は極力きょくりょくけろ。」


ランタルの命令に、


御意ぎょい。」


了承の意を示すと姿を消した。

そしてランタルは再び眠りに就いた。


(21)


「セラミネさんはどうですか?」


智佳オーニオに近付き片膝をついて身を低くしたサリシスが尋ねた。


「寝てるみたいっす。疲れきったって感じっすね。

 見た感じ大丈夫そうっすよ。」


との答えに安堵すると、


「我らは子供達が同じ事にならんように体内の"悪意の種(メリスシード)"を消滅させます。

 ちょい生命力も使うんで滅多な事では使えんのですけど、こんなんもう見たないんで。

 なんで、ちょい力貸して貰えませんか?」


サリシスはこれからの事を話し、助力を頼んだ。


「いいっすよ。何すればいいんっすか?」


そんな相談をしていると少し離れた所では、


「歌の力。これはもっと詳しく調べる必要があるわね。」


リカーラが策を巡らせていた。

そしてラヴュナに近付くと耳打ちで何かを伝えた。


「そ、それは!?

 たしかにそうだね。わかった協力するよ。」


ラヴュナの了承を得たリカーラは連れ立って森の入り口の方に向かって行った。

その事には気付かず詳細を説明したサリシスは行動を開始した。


「チャウダー、我らが空に上がったらモードFで追っ掛けてきて我と莉紗絵ホクスを回収して。

 頼んだで。」


ワゥッ!


チャウダーに命じたサリシスは、


「じゃ、智佳さん(オーニオ)たのんます。」

「了解っす。」


頼みを受けた智佳オーニオは、


「武装解除!

 召喚武装、うし!」


武装を変えるとバレーボールのレシーブの体制になり、


「いいっすよ。」


サリシスに声を掛けた。


「行きますよ。」


そう言うと右足の先を智佳オーニオの腕に乗せた。

腕に重みが掛かったのを確認した智佳オーニオはパワー全開でサリシスを打ち上げた。

うしのパワーで打ち上げられたサリシスは技の発動準備を始めた。

残っている全ての力で全身が赤く、青く、発行する。

その状態をたもち、かなりの高さまで上がった所で大の字になり体全体でブレーキを掛けてとどまった。

落ち始めるまでのを利用して技を発動させる。


悪意メリス消滅エクスティンクションフラッーシュ!!!」


サリシスの全身が光を増し、その光が地上に降り注がれた。

辺りが光に包まれ、程なく消えた。

その光を浴びた者達の体内の”悪意の種(メリスシード)”が消滅した。


ちからを使い果たしたサリシスは莉紗絵りさえ紗都美さつみの姿に戻り、落下を始めた。

そこにフライチャウダーが到着し、2人を回収して地上へと向かった。


(22)


歌い終えた由維ゆいが大満足、とゆう表情で降りてきた。

地上に降り立つとステージは消え、元の服に戻っていた。


「いやぁ、めっちゃ良い(ええ)ステージやったわ。

 どうやった歌は?」


少し息をあらげながらニモーニに問い掛けた。


「なにあれぇ。

 すんごいたのしかったぁ!!」


興奮して答えるニモーニに、


「せやろ、せやろ。

 これが歌ちゅうもんや。心ウキウキするやろ。」

「うん。すっごいどきどきしたぁ。」


ニモーニは目をキラキラさせていた。

ように見える。


「こっちも治まったわ~おおきに~。」


梨深りみが声を掛けてきた。

見ると梨深りみに抱かれてセシリネが眠っていた。

そこに、


「あれが歌、とゆうものなのね。

 たしかに衝撃的だったわ。」


言いながらリカーラが現れた。


「子供達を救ってくれた事、感謝します。

 その子もこちらで預かるわ。」


リカーラの言葉に合わせるように近付いてきたラヴュナにセシリネを託した。

と同時にリカーラの後ろに隠れていたルゥパニが動いた。

虚をつき背後に回ったルゥパニが由維ゆいを拘束する。


「ちょ、何すんねん!」


由維ゆいが暴れて拘束から逃れようとしたがルゥパニの力が強く、振りほどけなかった。


その時、辺りが目映まばゆい光に包まれた。

目を覆わんばかりの激しい光は直ぐに消えた。


のとタイミングを合わせたようにセラミネを抱えた智佳ちかが森から出てきた。

智佳ちかは瞬時に状況を理解したが、セラミネを放り出す訳にもいかず動けなかった。


「あなたも向こうに行きなさい。」


リカーラにうながされ梨深りみが渋々智佳の方に向かった。


「これは~どうゆうことやろね~リカーラさん~。」


梨深りみが怒気を込めた声で尋ねた。


「ほんまやで。さっさと離しいや。」


暴れる由維ゆい他所よそに、


「このの歌の力は研究の必要があるわ。

 界渡り(トラベラー)の未知の力はこの世界の糧になる為にあるのよ。

 存分に調べさせて貰うわ。」


狂気染きょうきじみたリカーラの言葉に、3人は絶句した。

そこにフライチャウダーに乗った莉紗絵りさえ紗都美さつみが下りてきた。

2人は梨深りみの側に付くと、


「何か、ムグムグ、大変な事に、ムグムグ、なってます?」

「あ、ムグムグ、由維さん(キャロン)、ムグムグ、捕まってるやん。」


顔サイズの大きなどら焼きっぽい食べ物をムグムグしながら声を掛けてきた。

緊張感の無い2人に、


「はぁ〜、あんたらな〜緊張感のうなるから〜食べ終わってからしゃべり〜。」


梨深りみがため息混じりに苦言を発するも、


「いやぁ、ムグムグ、何か、ムグムグ、すんません。」


莉紗絵りさえはヘラヘラと笑いながら詫びてきた。

それは2人の作戦だった。

そのやり取りで気を反らせているスキに紗都美さつみが脳波で、


『チャウダー、姿消して由維さん(キャロン)助けてたって。』


と指示を出していた。

ゆらっとチャウダーの体が揺らいだように見えた、瞬間姿が消えた。

そしてルゥパニに向かって突撃した。


ギャウン。。


チャウダーがはじき飛ばされたようで、少し離れた場所で敵意剥き出しにした姿であらわれた。


「残念でしたぁ。獣化してるあたしはぁ見えてなくてもぉ簡単には近付けないよぉ。」


見るとルゥパニが虎人間ワータイガーの本性を現していた。


「チャウダー、戻ってきぃ。」


紗都美さつみの指示でチャウダーが戻って行った。

のを確認したリカーラの、


「では、ゴミを排除しましょうか。」


言葉を合図にラヴュナが、


「ボウス・マ・カサノタ・サヅイ・ラ・イオ・ニチソ」


呪文を唱えた。

すると5人と1匹がひとまとめで光の玉に捕らえられた。


由維ゆい〜!」


梨深りみの叫び声が響いた。

声は外に聞こえてるようで、


梨深りみ、うちは大丈夫や。後はまかせたで。」


由維ゆいの言葉に、


「わかってるわ〜。

 絶対助けに来るから〜待っといてや〜!」

「期待してんでぇ!」


言葉を交わし合う仲間達を引き裂くように、


「さよなら。

 また会えるといいわね。」


リカーラが言い放った。

そして一瞬闇に包まれた。


光が戻るとそこは空の上だった。

バアルスから排出されたようで、空に浮かぶ都市の下部がどんどん遠ざかって行くのが見えた。


「チャウダー、モードF!」


直ぐに紗都美さつみはチャウダーを変形させると、自分と莉紗絵りさえを回収させた。


「ウィーディム、リリ〜ス!」


梨深りみもウィーディムを開放し自分と智佳ちか、セラミネを回収させた。

そして地上へと向かって行った。


こうして「異世界探検部いせかいたんけんぶ」のメンバーと"バアルス"陣営、"ランタル"陣営との真の戦いが幕を開けた。

いかがだったでしょうか?

ここまでが序章となります。

メンバーの能力や敵勢力がひと通り出せた、はず。

これから真の戦いが始まる、はず。

もっと盛り上げれるよう頑張ります。

次回はいつもの閑話。

3.5話はあの2人が!?

次回は水曜には公開出来ると思います。

楽しみにして頂けると嬉しいです。

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