第3話「天空(そら)に響く歌声 VS狼人間(ワーウルフ)」(5)
かなり遅れてしまいましたが第3話の5を公開しました。
本業が忙しくなったとゆうのもありますが、内容にも色々盛り込んでたので思いの外時間が掛かってしまいました。
その分すごく長くなってしまいましたが。。
これで3話の完結となります。
全精力を注ぎ込んで書き上げました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
(16)
森の奥。
憩いの広場に辿り着いた3人が見たのは、目を覆いたくなるような惨状だった。
4羽の魔獣は怪獣映画さながらの激戦を繰り広げ、そこかしこで子供達が取っ組み合いの喧嘩をしていた。
男女関係なく、近付いて来た者を誰彼構わず攻撃しているようだ。
「レリ姐の記憶で知っとったけど、」
「これはきっついわ。。」
「これはボクでも見てられないっす。。」
3人はあまりの衝撃に立ち竦んでしまった。
が、直ぐに気を取り直し。
「って弱気になっとったらあかんやん。」
「せやな。早く何とかせな。」
「そんで具体的にどうするっすか?」
智佳の問いに紗都美が、
「何とか動き止めましょ。気絶させてもたら由維さんの声が届かんくなるんで。
我の武器やと子供らの相手は向かへんから魔獣の方担当するんで。
莉紗絵と智佳さんで子供ら抑えるって事で。」
指示を出すと、
「まかしとき。」
「まかせるっす。」
2人は了承の意を示した。
紗都美は腕輪に触れ、
「収納物取り出し。」
と言いながらチャウダーを出して、
「チャウダー、ウェイク、モードH!」
命じた。
起動したチャウダーは、
ワゥーーーッ!
と吠えると紗都美の背丈くらいの大きさのハンマーに姿を変えた。
その柄の部分を右手で握ると持ち上げて肩に担ぎ、魔獣に向かって突進して行った。
紗都美を見送った2人も行動を開始した。
莉紗絵は腰のホルスターから銃を抜くとモードIのままで、
「全弾装填、雷弾!」
雷撃系の弾丸を装填した。
智佳は、
「召喚武装、戌!」
武装し、2人は子供達への攻撃を開始した。
莉紗絵の発射した弾丸が着弾すると軽い電撃が体を痺れさせしばらく動けなくなる。
智佳は武装から発する音波の衝撃波で動きを止める。
どちらも加減している為、数分で回復し動き出してしまうので再度攻撃をする。
そんな時間稼ぎに専念した。
魔獣に向かって行った紗都美は、
「反重力!」
と叫びながらハンマーの片側を地面に打ち付け発生した反発力で体を浮かすとハンマーの向きを変え、
「重力!」
と叫びながらハンマーを魔獣に打ち付けた。
ハンマーから発生した重力波が魔獣を押し潰すように地面に叩きつける。
そうやって空中の魔獣をねじ伏せていった。
そんな単調な作業を繰り返していると、
ワォォォォォォォォォォン!!!
とゆう遠吠えが聞こえて来た。
「なんや、今のん?」
「なんか吠えてたで。」
「狼、っすか?」
3人が訝しんでいると、
ワォォォォォォォォォォン!!!
再度の遠吠え、そして何かが走ってくる音が近付いて来た。
「おおお、何か来よったで!」
「でかっ!」
「狼人間って奴っすね。」
突然現れた新たな驚異に3人の意識が引き付けられ動きが止まった。
狼人間は智佳の姿を捉えると、
襲いかかった!
その動きは早く、対応が遅れた智佳は攻撃をまともに受けてしまい吹き飛ばされた。
なんとか防御出来たもののダメージは大きく、すぐに動ける状態ではなかった。
このままでは周りが被害を被り子供達が危険にさらされる。
そう感じた莉紗絵と紗都美は意思を確認するまでもなく互いに向かって走り出した。
「「我らのガッツで、いてこましたるー!」」
2人の意思がシンクロし、腕輪の宝石が赤く、青く、輝きを増す。
「「ハーツ・シンクロース!!」」
走り寄った2人は勢いを抑えながら腕輪の宝石を打ち合わせ、
キン!
打ち合わせた腕を中心にくるっと回り、止まった。
澄んだ音が響き、2人が赤と青の光の球体に包み込まれる。
そして膨れ上がった光球が消えると、赤青の巨人が姿を現した。
(17)
「ううっ。。」
呻き声を漏らしながらリカーラが体を起こした。
狼人間に吹き飛ばされた後、木に激突した為ダメージが大きく何とか体を動かせるといった状態だ。
周りを見るとラヴュナも同じような状態だった。
ルゥパニは自ら茂みに逃げ込んだのが幸いし大きなダメージは無いようで、セシリネを抱えてリカーラに近づいてきた。
この世界では治癒系の魔法は特殊魔法の為、素質のある者にしか使えず怪我をしても簡単に回復が出来ない。
リカーラは体の痛みに耐えながら近付いてきたルゥパニに、
「あなたはその子を連れて救護班に合流して。」
指示を出した。
「わかったぁ。」
ルゥパニは了承すると森の入り口付近に集まって来ているであろう救護班の所に向かった。
リカーラはラヴュナに近付くと、
「動ける?」
と声を掛けた。
「なんとか、ね。」
痛む体を強引に動かしながらラヴュナが答えた。
「私は狼人間を追います。
あなたはどうします?」
「行くよ。どうなってるか気になるからね。」
リカーラは頷くと広場の方へ歩き出し、ラヴュナも後を追って歩き出した。
何とか広場に辿り着いた2人が目にしたのは莉紗絵と紗都美が勢い込んで駆け寄る姿だった。
「「ハーツ・シンクロース!!」」
走り寄った2人が腕輪の宝石を打ち合わせると、
キン!
と澄んだ音が響き、2人は赤と青の光の球体に包み込まれた。
光球は膨れ上がり、程なく消えた。
そして赤青の巨人が姿を現した。
「まさかあの娘達が巨人、だったの!?」
「まさか、そんな。。」
リカーラとラヴュナは衝撃的な出来事に言葉を失った。
(18)
「そんな事になっとったんや。」
スマホの画面を見ながら由維が呟いた。
色々説明するには時間が掛かると思っていた梨深は内容を整理して纏め、メールにして保存しておいた。
それを由維に送信し読んで貰っていた。
「とりあえず~理解してくれたみたいやね~。
そんで由維の歌で~子供達の心~救えるんちゃうかって思うんよ~。」
そんな梨深の問い掛けに由維は、
「任しとき。うちの歌でメロメロにしたるわ!」
勢い込んで答えた。
「ねぇねぇおねえちゃん、それってなんなの?」
2人会話に割り込むようにマイクを指差してニモーニが尋ねてきた。
「これか?これは”マイク”ってゆう声を遠くまで響かせる道具や。
これからめっちゃええ歌聞かしたるから楽しみにしとき。」
由維が笑顔で答えると、
「うた、ってなに?」
ニモーニが不思議そうな表情で問い返した。
「へ?」
歌を知らないとゆうニモーニの問いに変な声で反応する由維に梨深が、
「どうやらこの世界には~歌うゆう文化が無いみたいなんよ~。」
先程得た情報を伝えた。
「それはあかんわ。歌を知らんなんて勿体な過ぎやで。
ニモーニちゃん、これからお姉ちゃんが歌っちゅうもんを聞かせたるから心に刻みや。」
自信満々で豪語する由維に、
「うん、わかった。」
満面の笑顔で答えたニモーニだったが実は良く判っていなかった。
それでも何か面白そうとゆう事だけは伝わったようだ。
「は~。ほんま由維は~歌の事になると~抑えがきかへんな~。」
呆れ顔でため息混じりに呟く梨深。
そこに数名の救護班の面々が姿を現した。
その中のリーダーとおぼしき人が、
「怪我人が多数出ていると聞いたのですが、その子は大丈夫ですか?」
問い掛けてきた。
「この子は大丈夫です~。
皆さんは救護班の方ですよね~。
リカーラさんからの伝言なんですけど~、怪我直したら~覚醒させとって下さい〜との事です~。
ちょっと暴れるかもやけど~すぐ治まるんで~よろしゅうお願いします~。」
梨深が話掛けていると森の方からルゥパニが子供を抱えて駆けて来た。
救護班を目にすると、
「この子の治療をぉ。」
言うや子供をそっと地面に下ろした。
救護班の1人が、
「アタ・ハ・タタ・ウゲ・ラ・ウミコ」
癒しの魔法の呪文を唱えた。
セシリネは傷が治り覚醒すると、
ガァ!
と呻き声を上げ、暴れだそうとするのを梨深が抱き締めて抑え込んだ。
「こんな感じで~ちょっと暴れるけど~直ぐ治まるんで~。
他の子らもお願いします~。」
梨深の申し出に、
「判りました。急いで対処します。」
リーダーが答えると、救護班とルゥパニは森の方に向かって行った。
「セシリネちゃん、大丈夫?」
心配そうに声を掛けてくるニモーニに、
「大丈夫やで~直ぐに治まるから~。」
梨深は笑顔で答えると、
「由維~始めて~。」
声を掛けた。
「まかしとき。
ほんなら伏守由維の異世界スペシャルステージ、ぶちかましたるわ!」
そう高らかに宣言し、マイクのスイッチをオンにした。
すると由維を中心に1メートル四方の四角い光が現れた。
その光は由維を乗せた状態で50メートル程浮き上がると横10メートル、縦5メートルの長方形に大きさを変えた。
それに伴って由維の服がアイドルのステージ衣装のような派手な感じに変化し、目がキラっと光った。
ように見えた。
そして光のステージから直径10センチくらいの球体が10個現れるとひとつは梨深達の近くに、他は森の方に飛んで行った。
その球体はスピーカーになっていて、一斉にイントロが流れ始めると高揚した由維の、
「うちの歌は、めっちゃ刺さんでぇ!!!」
絶叫が響き渡った。
と同時に梨深からため息が、漏れた。
(19)
智佳に襲いかかった狼人間は現れた巨人を次のターゲットとして捉え、襲いかかってきた。
両手を組み、力比べの状態になる。
狼人間の力はサリシスより強く徐々に押さえ込まれていく。
のを受け流すように反転しながら投げ落とす。
が、狼人間は体を捻り四つん這いで着地すると、跳ねるようにサリシスに襲いかかる。
サリシスは右拳を握りしめ、パンチで迎撃しようとした時、
「やめなさい!」
リカーラの叫び声が響いた。
その声に反応して動きを止めたサリシスに狼人間がぶつかり覆い被さるように押し倒した。
のしかかられた状態ながらも狼人間の腕を掴んで拘束しつつサリシスは声のした方に目を向けた。
「それはあなた達の仲間の娘よ!」
リカーラが続けた。
『なんやて!?』
『ほんならこの狼人間はセラミネさんなんか?』
2人の一瞬の逡巡がスキを生み、狼人間が拘束から逃れ飛び退った。
ワォォォォォォォォォォン!!!
吠えて威嚇してくる狼人間にサリシスは慌てて起き上がり、対峙した。
『紗都美、どうする?』
『もう直ぐ由維さんのステージが始まるやろから時間稼ぐしかないわ。』
『”悪意の種”の効果が切れて元に戻るん?』
『多分な。』
『ほなら我が動いて気を引くから。』
『我が拘束する、って感じで。』
脳内会議を手早く終わらせサリシスが動いた。
とりあえず捕まえようとするが狼人間の動きは早く、捕まえらない。
『あかん、めっさ早いわ。』
『こう動かれると技も使えないやん。』
脳内会議しながらも飛び掛かってきた狼人間をギリギリで回避する。
そんな感じの攻防をサリシスと狼人間が続けていると、
♪チャラララ〜〜〜ン♫
とイントロが聞こえてきた。
その音楽に、
『『きたっ!』』
莉紗絵と紗都美が歓喜の声を上げた。
「この変な音は、何なんだ?」
ラヴュナの言葉に、
「これが”歌”、とゆうものなの?」
リカーラが驚きながら声を漏らした。
「違うっすよ。
歌ってゆうのはこうゆう音楽に乗せた声の事っす。
すぐ聞こえてくるっすよ。」
智佳の言葉終わりに合わせるように、
「うちの歌は、めっちゃ刺さんでぇ!!!」
由維の絶叫が響き渡った。
サリシスと智佳以外の人間や魔獣がその声に引き付けられ、動きが止まった。
『この曲は。』
『魔法の歌姫キャロン、やな。』
『かなり飛ばしてんなぁ。』
2人が話していると歌が始まった。
♫心蝕む邪悪な闇を
白く染め上げ癒したる
うちの美声が届いたら
どんな汚れもイチコロや♪
サリシスは歌に気を取られている狼人間の背後に回り込んで羽交い締めにして動きを封じた。
狼人間はそれを振りほどく素振りも見せず歌に聞き入っていた。
♫世界が真っ暗になったら
うちが光って照らしたる
白く輝くこの声に
メロってもても知らへんで♪
狼人間の体が少しづつ縮んでいるのに気付いたサリシスは拘束を解くと、倒れないように支えながら成り行きを見守った。
♫うちはマジカルアイドル
どんな敵にも負けんのや
アイ・ラブ・ユー魔法の言葉で
あんたのハートをめった打ち♪
由維の歌の調子が上がるにつれ子供達の体から黒い霧が霧散していく。
4羽の魔獣にも歌が響いたのか体が縮んでいっていた。
♫うちに惚れてもあかんで
ひとりのもんにはなれんから
全人類の心を癒す
マジカルアイドル キャ、ロ、ンやで♪
由維の歌が終わりアウトロが余韻を残すように流れている。
そして音が消えると、辺りに静寂が戻った。
子供達は力を使い果たしたようで静かに寝息を立てて眠っていた。
4羽の魔獣は何事もなかったように歩き回っている。
そしてセラミネは大きくなった影響で服が破壊したようで、裸で倒れ気を失っている。
セラミネに近付いた智佳は、
「わぁぁ、セラミネ裸じゃないっすか。」
言いながら慌てて指輪からジャージの上着を取り出すと羽織らせた。
「これが、歌の力なの。。」
「言葉もないね。」
リカーラとラヴュナが思いを溢した。
『走査!』
サリシスはセラミネや子供達の中を調べ、”悪意の種”が種の状態に戻っているのを確認した。
『ふぅ、何とか間に合ったみたいやな。』
『結構ギリっぽかったんちゃう?』
『せやな。由維さん、流石やわ。』
『ほんなら仕上げといこか。』
サリシスは意を決して智佳の側に向かって行った。
(20)
「何だと!?」
異常事態を感知しランタルが目を覚ました。
「開花直前の”悪意の種”が枯れた、とゆうのか。」
ランタルは起こり得ない事態に驚愕していた。
”悪意の種”はランタルの細胞から作り出され、生物の体内に入り込み定着する。
その後、土壌となる母体の恐れや憎しみ等の負の感情を養分にして芽吹き、成長する。
負のエネルギーが一定量に達すると花が咲き、大量の負のエネルギーをランタルへと送り込む。
そして母体の生命力を昇華させる。
そうやってランタルは負のエネルギーを溜め込み、満足すると次の場所へと移動する。
そんな事を繰り返して来たが、このようなケースは稀だった。
「捜査官共にそんな事が出来る輩は居なかったはずだ。
だとするとここにそれが出来る輩が居た、とゆう事か。」
この問題は即時に解消しなければ安心して負のエネルギーを楽しんでは居られない。
そう考えたランタルは問題を解決する事の出来る部下を呼び出す為に右手で左腕を掴むと引き抜いた。
引き抜いた腕を放り投げると人の形に姿を変えた。
「これはお久しぶりです、ランタル様。
私を起こされるとは余程の事態のようですね。」
執事っぽく恭しく頭を下げながら問い掛けた。
「成長した”悪意の種”を枯らす事の出来る輩が居るようだ。
早急に見つけ出し、排除しろ。
捜査官も紛れ込んでる。気取られたくないのでな。
接触は極力避けろ。」
ランタルの命令に、
「御意。」
了承の意を示すと姿を消した。
そしてランタルは再び眠りに就いた。
(21)
「セラミネさんはどうですか?」
智佳に近付き片膝をついて身を低くしたサリシスが尋ねた。
「寝てるみたいっす。疲れきったって感じっすね。
見た感じ大丈夫そうっすよ。」
との答えに安堵すると、
「我らは子供達が同じ事にならんように体内の"悪意の種"を消滅させます。
ちょい生命力も使うんで滅多な事では使えんのですけど、こんなんもう見たないんで。
なんで、ちょい力貸して貰えませんか?」
サリシスはこれからの事を話し、助力を頼んだ。
「いいっすよ。何すればいいんっすか?」
そんな相談をしていると少し離れた所では、
「歌の力。これはもっと詳しく調べる必要があるわね。」
リカーラが策を巡らせていた。
そしてラヴュナに近付くと耳打ちで何かを伝えた。
「そ、それは!?
たしかにそうだね。わかった協力するよ。」
ラヴュナの了承を得たリカーラは連れ立って森の入り口の方に向かって行った。
その事には気付かず詳細を説明したサリシスは行動を開始した。
「チャウダー、我らが空に上がったらモードFで追っ掛けてきて我と莉紗絵を回収して。
頼んだで。」
ワゥッ!
チャウダーに命じたサリシスは、
「じゃ、智佳さん頼んます。」
「了解っす。」
頼みを受けた智佳は、
「武装解除!
召喚武装、丑!」
武装を変えるとバレーボールのレシーブの体制になり、
「いいっすよ。」
サリシスに声を掛けた。
「行きますよ。」
そう言うと右足の先を智佳の腕に乗せた。
腕に重みが掛かったのを確認した智佳はパワー全開でサリシスを打ち上げた。
丑のパワーで打ち上げられたサリシスは技の発動準備を始めた。
残っている全ての力で全身が赤く、青く、発行する。
その状態を保ち、かなりの高さまで上がった所で大の字になり体全体でブレーキを掛けて留まった。
落ち始めるまでの間を利用して技を発動させる。
「悪意消滅光!!!」
サリシスの全身が光を増し、その光が地上に降り注がれた。
辺りが光に包まれ、程なく消えた。
その光を浴びた者達の体内の”悪意の種”が消滅した。
力を使い果たしたサリシスは莉紗絵と紗都美の姿に戻り、落下を始めた。
そこにフライチャウダーが到着し、2人を回収して地上へと向かった。
(22)
歌い終えた由維が大満足、とゆう表情で降りてきた。
地上に降り立つとステージは消え、元の服に戻っていた。
「いやぁ、めっちゃ良いステージやったわ。
どうやった歌は?」
少し息を荒げながらニモーニに問い掛けた。
「なにあれぇ。
すんごいたのしかったぁ!!」
興奮して答えるニモーニに、
「せやろ、せやろ。
これが歌ちゅうもんや。心ウキウキするやろ。」
「うん。すっごいどきどきしたぁ。」
ニモーニは目をキラキラさせていた。
ように見える。
「こっちも治まったわ~おおきに~。」
梨深が声を掛けてきた。
見ると梨深に抱かれてセシリネが眠っていた。
そこに、
「あれが歌、とゆうものなのね。
たしかに衝撃的だったわ。」
言いながらリカーラが現れた。
「子供達を救ってくれた事、感謝します。
その子もこちらで預かるわ。」
リカーラの言葉に合わせるように近付いてきたラヴュナにセシリネを託した。
と同時にリカーラの後ろに隠れていたルゥパニが動いた。
虚をつき背後に回ったルゥパニが由維を拘束する。
「ちょ、何すんねん!」
由維が暴れて拘束から逃れようとしたがルゥパニの力が強く、振りほどけなかった。
その時、辺りが目映い光に包まれた。
目を覆わんばかりの激しい光は直ぐに消えた。
のとタイミングを合わせたようにセラミネを抱えた智佳が森から出てきた。
智佳は瞬時に状況を理解したが、セラミネを放り出す訳にもいかず動けなかった。
「あなたも向こうに行きなさい。」
リカーラに促され梨深が渋々智佳の方に向かった。
「これは~どうゆうことやろね~リカーラさん~。」
梨深が怒気を込めた声で尋ねた。
「ほんまやで。さっさと離しいや。」
暴れる由維を他所に、
「この娘の歌の力は研究の必要があるわ。
界渡りの未知の力はこの世界の糧になる為にあるのよ。
存分に調べさせて貰うわ。」
狂気染みたリカーラの言葉に、3人は絶句した。
そこにフライチャウダーに乗った莉紗絵と紗都美が下りてきた。
2人は梨深の側に付くと、
「何か、ムグムグ、大変な事に、ムグムグ、なってます?」
「あ、ムグムグ、由維さん、ムグムグ、捕まってるやん。」
顔サイズの大きなどら焼きっぽい食べ物をムグムグしながら声を掛けてきた。
緊張感の無い2人に、
「はぁ〜、あんたらな〜緊張感のうなるから〜食べ終わってからしゃべり〜。」
梨深がため息混じりに苦言を発するも、
「いやぁ、ムグムグ、何か、ムグムグ、すんません。」
莉紗絵はヘラヘラと笑いながら詫びてきた。
それは2人の作戦だった。
そのやり取りで気を反らせているスキに紗都美が脳波で、
『チャウダー、姿消して由維さん助けてたって。』
と指示を出していた。
ゆらっとチャウダーの体が揺らいだように見えた、瞬間姿が消えた。
そしてルゥパニに向かって突撃した。
ギャウン。。
チャウダーが弾き飛ばされたようで、少し離れた場所で敵意剥き出しにした姿で現れた。
「残念でしたぁ。獣化してる私はぁ見えてなくてもぉ簡単には近付けないよぉ。」
見るとルゥパニが虎人間の本性を現していた。
「チャウダー、戻ってきぃ。」
紗都美の指示でチャウダーが戻って行った。
のを確認したリカーラの、
「では、ゴミを排除しましょうか。」
言葉を合図にラヴュナが、
「ボウス・マ・カサノタ・サヅイ・ラ・イオ・ニチソ」
呪文を唱えた。
すると5人と1匹がひと纏めで光の玉に捕らえられた。
「由維〜!」
梨深の叫び声が響いた。
声は外に聞こえてるようで、
「梨深、うちは大丈夫や。後は任せたで。」
由維の言葉に、
「わかってるわ〜。
絶対助けに来るから〜待っといてや〜!」
「期待してんでぇ!」
言葉を交わし合う仲間達を引き裂くように、
「さよなら。
また会えるといいわね。」
リカーラが言い放った。
そして一瞬闇に包まれた。
光が戻るとそこは空の上だった。
バアルスから排出されたようで、空に浮かぶ都市の下部がどんどん遠ざかって行くのが見えた。
「チャウダー、モードF!」
直ぐに紗都美はチャウダーを変形させると、自分と莉紗絵を回収させた。
「ウィーディム、リリ〜ス!」
梨深もウィーディムを開放し自分と智佳、セラミネを回収させた。
そして地上へと向かって行った。
こうして「異世界探検部」のメンバーと"バアルス"陣営、"ランタル"陣営との真の戦いが幕を開けた。
いかがだったでしょうか?
ここまでが序章となります。
メンバーの能力や敵勢力がひと通り出せた、はず。
これから真の戦いが始まる、はず。
もっと盛り上げれるよう頑張ります。
次回はいつもの閑話。
3.5話はあの2人が!?
次回は水曜には公開出来ると思います。
楽しみにして頂けると嬉しいです。




