第2話「一撃必中、燃えろ竜撃! VSキングメタルスライム」(5)
第2話の5を公開します。
なんとか1日巻き上げられました。
今回で第2話完結です。
キングメタルスライムとのバトルの結果は?
楽しんで頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。
(12)
セラミネが見ていた場所からスライムの一部が智佳の背後に迫っているのが見えた。
「智佳、危ない!」
伝えようとしたその声は届かず、智佳はスライムに捕らえられてしまった。
このままでは智佳がスライムに取り込まれてしまう。
「あの時」と同じように何も出来ない自分に嫌気が差し、そんな気持ちの奥底で何か黒い淀みを感じた気がした。
その時、
タァーーン!!
銃声が響いた。
「え?」
何処からか聞こえた銃声がセラミネを現実に引き戻した。
そんな突然の出来事に他の観客達も静まっていた。
智佳を見ると凍ったスライムを叩き壊して脱出していた。
「よかった。」
安堵の声を漏らすセラミネの目には智佳の他に3人居るのが見えた。
遠くて顔は見えなかったが、どうやら智佳の知り合いのようだと感じた。
その4人にスライムが体を伸ばし襲い掛かっていく。
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!!!
またも響く銃声。
そして闘技場のスライムの前に赤っぽく光る獅子の獣人に似た顔の人間?のような者が現れ、戦いだした。
セラミネも観客達も目まぐるしく起こる出来事にただ静観するしかなかった。
その時、空に向かって行く青い光が見えた。
それに気付いた人々がその光を目で追った。
上空に留まった青い光から2つの人影らしき物が飛び出すと赤と青の混ざりあった球体が現れた。
その球体が地上に落ちてくる。
そして赤い獅子獣人が突然、消えた。
今まで赤い獅子獣人が居た場所に降りてきた光の球体。
が弾け中から赤と青の半々の体色に白い模様が施された人?らしき物が現れた。
それを見た観客の一部がざわめき出した。
「あれ昨日”プローラ”で見た巨人に似てる気がする。」
「昨日”ゴーレム”と戦ってたってゆう例の巨人か?」
「今は小さいけどそうだと思う。あれは一体何者なんだろう?」
昨日の”プローラ”の顛末を見ていた人達があの時の巨人と似ていると気付いた。
あれは一体何者なのか?
そんなざわつく人達の耳に、
「我か。
我はこの宇宙を犯罪者から守る、
宇宙広域捜査官、サリシスや!!!」
名乗りが聞こえた。
「???」
聞きなれない呼称に人々は戸惑った。
これからどうなるのか?
とりあえず経過を見守る事にした。
(13)
梨深は頭を抱え、智佳はポカンとしていた。
「ほんまに~あの子らは~。。」
あきれる梨深に智佳が、
「えっと、あの子らって事はあれって莉紗絵と紗都美なんっすか?」
不思議そうに尋ねてきた。
そんな智佳の疑問に、
「せやで~2人が~、ってそういえば~智佳ちゃんは~ここが本当の~異世界やって判ってる~?」
疑問に答えようとして智佳の記憶が戻ってないであろう事に気付き質問で返した。
「え?ここやっぱりゲームやないんっすか?」
そう言われ智佳は何度か感じた違和感の事を思い出していた。
頭の奥の方に引っ掛かっている重要な何か。
「部室であの2人に~何があったか思い出して~紙刀智佳~。」
現実を思い出させるキーワードと思われる本名で呼び掛けた。
自分の本当の名を呼ばれた事、部室とゆうキーワード。
それが引き金となり智佳の頭に崩壊を始める部室や大怪我をしている2人の姿がしっかり思い出された。
「梨深さん、あの後どうなったんすか?」
勢い込んで聞いてきた智佳にこれまでの事を話した。
部室で何があり2人がどうなったのか?
自分達の今置かれている状況。
全てを聞いた智佳は、
「そうっすか。
2人は宇宙人から授かった力であの姿になってるんすね。
そしたらその”ランタル”ってのを捕まえたら元の世界に帰れるんっすか?」
理解した上で尋ねた。
「しばらくしたら~他の捜査官が~助けに来てくれるらしいから~それで戻れるはずやで~。」
そんな梨深の言葉に、
「そうなんっすね。
じゃあそれまでにこの世界の強いんと沢山闘っとかなあかんっすねぇ。
自分の体使って強そうなんと闘えるなんて最高っすよ。」
「智佳ちゃんもか〜。」
既にこの世界の強者に興味が行ってしまっている智佳にやっぱり頭を抱える梨深。
ほんとに問題児ばかりだった。
そんな事を話している内に事態は急変していた。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
響き渡る観客の悲鳴。
そしてサリシスがスライムに取り込まれた。
(14)
『『決まった。』』
昨晩考えた決め台詞を格好良く言えた。
これぞヒーロー、って感じで悦に入っている。
そんなサリシスの言葉にスライムがポカンとなっていた。
はて?こいつは何を言ってるんだ?
等と思考していたが我に返ると、
「貴様が何なのか等どうでもいい。
俺の邪魔をするなら取り込むだけだ。」
そう言うと体を伸ばし襲い掛かってきた。
迫り来るスライムに意識を戻した2人は、
『紗都美、任した。』
『任された。
激しき水よ、氷となりて、凍てつかせ。
アイス・スプラッシュ!』
水系担当の紗都美が相手を凍らせる魔法の呪文を唱えた。
氷の飛沫がスライムに襲いかかる。
が、飛沫は弾かれ下へと滑り落ち、闘技場を凍らせた。
見るとスライムの表面が銀色に輝いている。
「いつまでも氷らせられると思うなよ。
メタルに進化した俺を凍らせる事なぞ出来んぞ。
これで俺は最強だー!」
”悪意の種”によって貯められた悪意がスライムをメタルスライムへと進化させていた。
体が金属化した事で魔法耐性が付与され、ほとんどの魔法攻撃が通じなくなっていた。
『魔法が効かへんのんか?』
紗都美が考えていると、
『ほな、これはどうや!』
莉紗絵が体を動かし、右の拳を握ると殴り掛かった。
『ちょ、それはあかんって!』
紗都美が莉紗絵の行動を止めようとしたが間に合わなかった。
ゴン!
鈍い音が響く。
『『いったーーー!!!』』
痛みを逃がすように手を振りながら2人がシンクロ状態で痛みを訴えた。
『莉紗絵、あんたはアホか。アホなんか?
メタル言うてたやろ。
そんなん固いに決まってるやろ。
ちょっとは考えや。』
『本当にすんません。
魔法あかんかったら物理攻撃しかない思てん。』
とかやってたら目の前にスライムの体が迫っていた。
『『あ!?』』
既に回避出来る状態ではなかった。
慌てて紗都美が、
『防御膜』
と発した。
そしてスライムの体に包み込まれた。
(15)
観客の悲鳴で闘技場に目を向けた梨深と智佳はサリシスがスライムに取り込まれるのを目にした。
「あかん~取り込まれてもた~。」
「ちょ、ヤバくないっすか?」
「簡単に溶かされたりは~しないと思うけど~変身してられる時間もあるし~長くは持たへんやろな~。」
「それダメやないっすか。」
サリシスの体が簡単に消化されたりはしなくとも変身が解除されればただの人なので直ぐに消化されてしまう。
何とかしないと、と考えを巡らせているとスライムが新たな動きを見せた。
「ほほう、抵抗するか。面白い。
ならばこうゆうのはどうだ?」
言うや、頭の形を保っている部分が空を見上げ両腕らしき部分を上げて天を仰ぐような体勢を取った。
そして人には聞き取れない音波を発した。
すると何処からともなく多数のスライムが引き寄せられるように飛んできて、メタルスライムの体に融合していき、20m四方の闘技場を埋め尽くし押し潰す程の大きさと質量を有した巨大なキングメタルスライムへと進化した。
同時に膨れ上がった”悪意”のエネルギーが消化力を増大させた。
(16)
『ふぅ。
何とか防御膜張ったからしばらくは大丈夫やろ。』
安堵した紗都美の言葉に、
『しばらく、ってどんくらい?』
莉紗絵が尋ねた。
『この膜が消えるか、変身解けるか、までやな。』
『そっか。
って、このままやったら絶対溶かされるやん。』
『せやねんけどな、これぶにぶにで攻撃効かへんねん。』
『もしかして、詰んでる?』
『詰んでるな。』
『ってなに冷静に言ってんねん。大ピンチやん。』
などと話している時、外では。
「うわ、めっちゃでかなったっすよ。」
「取り合えず~助け出さなあかんねんけど~ミックルスのパワーでも~厳しそうやしな~。」
梨深が悩んでいると、
「梨深さん、そんならアレ使うっすよ。
なんとかギリいけるっすからフォロー頼むっす。」
智佳が進言した。
それを聞き梨深は、
「判った~準備しとく~。ほな頼むわ~。」
理解し準備を始めた。
「了解っす。」
梨深の言葉を受け智佳も準備を始めた。
スライムから10メートル程離れた所に立ち見据えると、
「召喚複合武装、丑、寅、辰、亥!」
一度に召喚出来る最大4つを攻撃系で武装した。
そして右拳を腰だめに構え腰を落とした体勢で拳と両足に力を集中させる。
その時、梨深がある事を思い出した。
「チャウダ~、さっつんに繋いで~。」
チャウダーを介して紗都美と通信出来る機能。
この指示だけは主人への連絡手段の為、誰でも使う事が出来た。
ワゥッ!
一吠えすると紗都美への脳波リンクによる回線が開かれた。
「さっつん~聞こえる~。」
梨深の呼び掛けに、
『おお?梨深さんの声が。。
って、ああチャウダー回線ですか。
すっかり忘れてたわ。』
と緊張感のない声で答えた。
『そっち~どんな感じ~?』
とゆう問い掛けに、
『いやもう、めっちゃ困ってましてん。
中、ぶにぶにで攻撃効かへんし、ヘタに魔法使うと自爆もんやし。
ほんまどないしよ?って感じで。』
と言いつつも、まだ気持ちに余裕はありそうだ。
『最悪、自爆覚悟で必殺技使わなあかんかなって感じで。』
そんな考えの紗都美に、
「これから智佳ちゃんが~アレやるから~後は頼むで~。」
梨深がこれから起こる事を伝えた。
『おお、助かります。
ほんならこっちも備えますんで、よろしゅう頼みます。』
そう言って通信を終えた。
静かになってた紗都美に、
『どしたん。何かあった?』
と尋ねた。
『ああ、梨深さんから通信があってん。
智佳さんがアレやってくれるんやて。』
そんな回答に、
「そんな体力残ってたんや。
後で良くお礼言っとかんとあかんな。
で、その後のどうすんのん?」
と尋ねてきた。
「・・・、って感じでどやろ。」
「ええと思うわ。」
「ほな、そうゆう事で。」
話がまとまった頃、外では智佳が、
「一撃必中!」
叫んで地を蹴った。
亥の突進力が一気に間合いを詰める。
その勢いに丑のパワーと寅の攻撃力を乗せた辰の炎の一撃、
「竜炎咆哮!!!」
を叩き込んだ。
その一撃でスライムの上2/3が吹き飛んだ。
自分の上部が吹っ飛んだのを見て、サリシスが地を蹴りスライムから脱出した。
そして力を使い果たし倒れる智佳を抱き止めた。
「チャウダー、モードB!」
ワゥーッ!
と吠え、紗都美の脳波による指示に従い無人運転でサリシスの所に走った。
近付いたバイクチャウダーのサイドカーに智佳を乗せると、
「梨深さんとこ戻って智佳さん降ろしてからモードAで待機。
後で連絡するから回線開けといて。」
指示を出した。
チャウダーは、
ワゥッ!
と吠えると梨深達がいる所に向かい走り去った。
その間にスライムが元通りの姿に融合していた。
「貴様、よくもやってくれたなー!!」
怒り叫ぶスライム。
それを見て、
『うっわ、何かめっさ大きくなってるやん。』
『これは大きくならんと出力足りんひんなぁ。』
と、とぼけた感想を言うと、
でやぁぁぁぁぁ!
と雄叫びを上げながら巨大化し、スライムと同じくらいの大きさになった。
「な、なんだと!?」
自身と同じくらいの大きさになったサリシスに驚愕するスライム。
そして、その姿を見た観客が、
「やっぱり”プローラ”で見た巨人だったんだ。」
「さっき”宇宙”とか”捜査官”とか言ってなかったっけ?」
「って事は”自警団員”みたいな感じなの?」
とざわついた。
そんな観客のざわつき等気にすることなくサリシスは手の平を合わせた状態で腕を頭上に伸ばし、腕を左右にゆっくり開いていく。
手の平から発生した光が頭上に光のアーチを描いた。
その光のアーチをスライム向けて振り下ろすとアーチが広がり覆い被さった。
そして、
「放電!」
と発するとスライムに被せた光の膜が放電した。
メタルスライムの体を雷撃が駆け巡る。
グァァァァァァァァァァ!!!
スライムが苦痛の悲鳴を上げる。
サリシスの腕輪の宝石の光は既に弱い点滅状態になっていた。
直ぐ様、紗都美はチャウダーを介して通信を行った。
『梨深さん、聞こえますか?』
紗都美の問い掛けに、
「聞こえてるで~。」
と返答があった。。
紗都美が取り急ぎ用件を伝える。
それに答えようとした梨深に智佳が、
「梨深さん、すいませんっす。
ボク、観客席に居る知り合いに挨拶しときたいっす。
なんで駅で合流でいいっすか?」
「判った~ほな後でな~。」
「了解っす。」
そう言うと智佳は観客席に急いで向かった。
梨深が、
「そうゆう事やから~こっちはうちだけや~。
ほんなら〜やっちゃって〜。」
と伝えると、
「了解です。
チャウダー、1分後にモードFで梨深さんと我ら回収してこっから離脱するで。
ほんなら作戦開始や。」
そう言うとサリシスは、
『走査!』
と発し、電撃で動きが止まっているスライムのコアの位置を特定した。
『一気に決めんで!』
『よっしゃ、いてもーたるわ。』
言いながら光の槍を作り、
『断罪の槍ー!』
と叫びながら光の槍をコアに突き刺した。
そして光の膜が消えるのと合わせるようにコアを無くしたスライムが蒸発し始めた。
力を使い果たし変身が解けそうになっているサリシスは残ったエネルギーで人間サイズに戻った。
そこに飛んで来た飛行形態のフライチャウダーに掴まると闘技場から離脱した。
そして変身が解けた。
2人は素早く羽の上に移動すると、
「何かたいして活躍してなくないか?」
「ほんま、智佳さんに持ってかれた気がするわ。」
そんな事を言いながら落胆していたが、
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
お腹が鳴った。
そして、
「「腹減った〜〜〜!!!」」
2人の叫びが青空に轟いた。
って感じで第2話終了です。
今回もサリシスはいいとこなしです。
新米ヒーローはそう簡単には活躍出来ないもんなのです。
こんな感じで少しづつバトル要素を濃くしていければと思ってます。
次回は2.5話。
出番の少ないあの子が頑張ってくれます。
来週月曜更新予定。
よろしくお願い致します。




