第2話「一撃必中、燃えろ竜撃! VSキングメタルスライム」(4)
本業に忙殺され更新が遅れてしまいましたが、第2話の4を公開しました。
溜め回的な内容ですが、ついに莉紗絵の武器が火を拭きます。
楽しんで頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。
(9)
11時50分。
列車が「ストファム」の駅に時間通りに到着した。
停止位置に止まった列車がゆっくり着地するとホームの障壁が解除され、扉が開くと乗客が降車を始めた。
ほぼ満席だった列車から多数の乗客が改札に向かって歩いて行く。
梨深、莉紗絵、紗都美も人の流れに巻き込まれていた。
「いやぁ、めっちゃ静かに走ってたなぁ。」
「ほんまやで。リニアモーターカーもこんな感じの乗り心地なんかなぁ。」
「けどな~こんだけ長時間やと~あの椅子はしんどいわ~。」
「ですね。クッションほんま大事や思たわ。」
「それな。」
等と話ながら改札を抜け階段を上がり外に出ると、街の外観が見えた。
「ここがストファムか。」
「プローラより大分小さい感じやね。」
「プローラは~この世界の~最大の都市やからな~。
ここはなんか~ギリシャっぽい~感じがするわ~。」
口々に感想を述べていたが、
「おっと、そろそろチャウダー出したらんとな。」
そう言うと紗都美は腕輪に触れ、
「収納物取り出し。」
と言いながら腕輪から”おすわり”の状態で固まっているチャウダーを引っ張り出した。
地面に下ろして、
「チャウダー、ウェイク。」
と起動命令を発すると、
ワウッ。
と一吠えし動き出した。
紗都美に頭を撫でられ嬉しそうに尻尾を振っている。
その様子を見ながら莉紗絵は、
「ほんま良く出来てんなぁそのワンコ。
ぱっと見ロボには見えへんわ。」
と感心していると、
「せやろ。ここまでするのにめっさ掛かったからなぁ。
そうそう昨日の夜に新機能付けてん。早く見せたいわ。」
「それで夜ごそごそやっとったんか。お陰でなかなか寝れんかったわ。」
「って、5秒で寝てたやん。」
「我はの○太くんかい!」
そんな2人の双子漫才を遮るように、
「へぇ~新機能か~気になるな~。」
梨深が興味津々で混ざってきた時、
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
悲鳴が聞こえてきた。
「今のん悲鳴ちゃうん。」
「街のほうからや。」
「何か判らんけど~智佳ちゃんが心配やし~街に入ろか~。」
「「はい!」」
言うや3人と一匹は街に向かって走り出した。
(10)
「智佳、無事で良かった。」
武闘場から下りて来た智佳にセラミネが声を掛けた。
セラミネの表情から心配させたと気付き、
「心配掛けて悪かったっすね。
でもあの程度なら大丈夫っすよ。」
と笑顔で返した。
「え?あんな危険な攻撃が”あの程度”、なの?」
セラミネは驚きの表情で聞き返した。
どう見てもあれは重症を負わされるくらい激しい攻撃だった。
それを”あの程度”と言い切る智佳に素直に驚いていた。
「そうっすね。
対人戦であれを使わされるとは思わなかったっすけどね。
魔獣とやりあえばあれくらいの攻撃は普通っすから。」
「魔獣?どうゆう事?」
智佳の言葉にさらに謎が深まった。
そもそもこの世界に居る魔獣と呼ばれている存在は生息地から出る事はほとんどなかった。
たまに現れても各街の自警団が対処している。
あんな激しい攻撃をする魔獣は今まで聞いた事がなかった。
そんなセラミネの疑問に、
「あれ?魔獣と戦ったりしないっすか?
イベント、とか、で。」
と言い掛けて昨夜寝る前に感じた事を思い出した。
直ぐに寝てしまったので忘れていたが、今更ながら自分の状況に疑問を持った。
セラミネは突然悩み出した智佳の聞いた事のない単語に、
「イベント?って何?」
とゆうセラミネの更なる問い掛けは届かず、
「うーん。何か大事な事を忘れてる気がするんっすよ。」
頭の奥に残る”何か”がぼんやり蘇る。
大怪我をしている2人の少女の映像が一瞬見えた気がした。
何かを思い出し掛けたその時、
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
あたりから大きな悲鳴が沸き起こった。
皆が闘技場に目を向けている事に気付き智佳とセラミネも闘技場に目を向けた。
そこには対戦者2人の物らしき骨と装備品を眺めるように立つ男の様な何かが居た。
上半身は人の形をしているが下半身は不定形な粘体の状態。
これまで暗躍していたスライムが本格的に動き出したのだ。
スライム男は次のターゲットを審判に定め腕を伸ばし掴もうとした。
が、審判台には結界が張られていて弾き返された。
「チッ。」
舌打ちすると審判の捕食を諦め、闘技場の回りに集まっていた参加者やその関係者を捕食対象に定めた。
スライムの両腕が恐怖心に駆られ逃げ惑う人々に向かった伸びていく。
その時、
「召喚複合武装、子、寅!」
叫びと共に武装した智佳が超速の攻撃でスライムの両腕を切り落とした。
切り落とされた腕だった部分が粘体に変わるとスライムの元に戻り融合した。
その間に人々が闘技場の近くから障壁に守られた客席へと逃れて行った。
セラミネは自分が居ると足手まといになると判断して逃げる観客に混ざって避難すると客席から、
「智佳、頑張って。」
小さく呟き無事を祈った。
「人間風情が俺の楽しみを邪魔するか。
ふむ、貴様からは悪意が感じられんなぁ。
不味そうだが仕方ない。俺の養分にしてやろう。」
言いながら智佳を捕食しようと体全体を伸ばすと取り込みにかかった。
迫り来る粘体を切り刻むが、バラバラにしても直ぐに融合してしまうので智佳の攻撃は効果がなかった。
「やっぱボクの攻撃はこうゆうぐにょぐにょしたのには効かないっすねぇ。
さて、どうしたもんっすかねぇ。」
等と思案していると、
「そんな攻撃しか出来ぬか、人間。
つまらんな。
そろそろ喰わせて貰おうか。」
言い終わると同時に智佳の背後に現れたスライムの一部が絡み付いた。
「しまったっす。」
慌てて振り解こうとしているとスライムから触手のように伸びてきた粘体が智佳に絡み付いた粘体と融合した。
掴まれた形になった智佳を捕食しようと粘体を伸ばそうとした時、
タァーーン!!
と銃声が響き、直後智佳に絡み付いていた粘体が凍結した。
(11)
梨深、莉紗絵、紗都美、チャウダーは街門を駆け抜け街に突入した。
街中は、
「闘技場の方で何かあったらしいぞ。」
「魔獣が現れたって言ってる。」
「面白そうだな、見に行くか?」
「やめとけよ。巻き込まれたらどうするんだ。」
大きな騒ぎになっていた。
梨深はスマホを操作し、地図を拡大して智佳の居場所を確認すると、
「こっちやで〜。」
と言いながら走り出した。
追いかけながら莉紗絵と紗都美は、
「なんか魔獣とか言ってへんかった?」
「我もそう聞こえた。ヤバい事になってそうやな。」
「智佳さんは、まぁ大丈夫やろ。街の人らに怪我ないか心配やわ。」
「ほんま、はよ何とかせな。」
話ながら危機的状況なのを認識していた。
その時、闘技場の入り口らしき所で梨深が止まり、
「止まって~。」
と2人を制止した。
梨深に並び場内に目を向けた莉紗絵と紗都美も状況を把握した。
スライムの一部らしき小さな粘体が智佳の後ろに回り込むようにうにょうにょと動いていた。
次に起こるであろう事を察した梨深が、
「りっさん~あれ撃てる~?」
魔法で攻撃するには距離があり過ぎる。
なので遠距離攻撃が出来る莉紗絵に声を掛けた。
「問題ないです。」
言いながら莉紗絵は腰のホルスターに収まっている2丁の銃「レミントン ダブルデリンジャー」を両手で抜き出した。
そして銃を前後にくっつけると、
「モードIV!」
と変形指示を発した。
すると2丁の銃が融合しながら変形し、1丁のライフル銃「スタームルガー ミニ14」へと姿を変えた。
莉紗絵は左側を前にした半身で左手で銃身を支え、右手でグリップを握り狙撃の構えをとった。
その時、智佳がスライムに捕らえられた。
「りっさん〜あれスライムや〜、凍らせて〜。」
梨深がスライムへの有効な攻撃指示を出す。
「了解です。
装填、氷結弾。」
莉紗絵が右手に魔力を込めると銃内部で弾が生成され、発射準備が整った。
スコープを覗き照準を合わせる。
ふぅっ。
息を吐くと呼吸止めた。
風を読み照準を微調整すると引き金に右人差し指を掛ける。
そして力を込めると引き金を引き絞った。
タァーーン!!
銃声が響いた。
直後、智佳を捕らえていた粘体に着弾し、その部分から徐々に凍っていく。
「智佳ちゃん~逃げや~。」
梨深の声に反応した智佳は自分を捕らえている部分が凍っているのに気付き、両腕を振り下ろし叩き付けた。
衝撃で凍った粘体がヒビ割れ、砕ける。
解放された智佳は梨深達の所まで飛び退った。
「梨深さん。みんなも。どこ行ってたんっすか?
居ないから心配してたっすよ。」
と声を掛けてきた智佳に、
「うそですな。」
「ですな。」
「うそやな~。」
3人が全否定した。
「え、ちょ、そんな事ないっすよ。
ほんまにちゃんと気にしてたっすよ。
・・・ちょっとだけ、っすけど。。」
智佳の反論は徐々に小声になっていった。
「あんま~闘う事ばっかり~考えてたらあかんえ~。」
とか話してると、凍結した部分を排除したスライムが、
「貴様ら、よくもやってくれたな。ゆるさんぞ。
俺様の糧にしてやる!!」
激昂し言い放つと体を伸ばし襲いかかってきた。
それを見て莉紗絵が動いた。
「モードIII!」
変形指示を発するとライフル型だった銃がサブマシンガン「H&K MP7」に変形した。
「全弾装填、氷結弾!」
銃弾がマガジンを埋め尽くすと同時に、
タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタッ!!!
横凪ぎに全弾撃ち尽くした。
迫り来るスライムの粘体が凍りついていく。
その隙に梨深が箱から人形を取り出し発射装置にセットすると、
「アギュリィ~、ミニマムリリ〜ス!」
スライムに向けて発射した。
打ち出された人形が人間大の大きさで解放された。
魔獣アギュリィ。
使役魔獣の1体。
体色は赤銅色、ライオン顔の人間体型。
火、水、風、土4系統の息を放射出来る。
魔獣なのにタキシードを着ている(服も赤銅色で同化してるけど)。
ガァォォォォォ!!
と一吠えすると口から冷気の吐息を吐いて牽制した。
「くっ。」
冷気の風に一瞬怯んだが、凍った部分を盾にして反撃を開始した。
伸びてくる粘体を冷気の吐息で阻む。
一進一退の攻防が繰り広げられる最中、梨深の、
「りっさん~、さっつん~、あれ頼むわ~。
ここやと~不味いから~上にあげるわ~。
変身したら~あっこに~バーンって感じで~。」
との声掛けに、
「了解です。」
「まかして下さい。」
返事をすると顔を見合わせ頷いた。
互いに闘志が漲ぎっているのが感じられる。
「変身???」
言葉の意味を理解出来ていない智佳は置いてけぼりにしつつ、梨深は発射装置を使わず軽く投げて、
「ウィーディム~、ミニマムリリ〜ス!」
と発し人間大でウィーディムを解放した。
莉紗絵と紗都美が左右の肩に乗っかると、
「ウィーディム~よろしゅうなぁ~。」
と声を掛けた。
答えるように、
キシャァァァ!
一吠えするとウィーディムが2人を担いだ状態で上空に舞い上がると、人目が届かない程度の高さで滞空した。
莉紗絵と紗都美は腕輪が付いた腕を胸に当て、
「「我らのガッツでいてこましたる!!」」
声を合わせ士気を高める言葉を発すると、それに反応するように腕輪の宝石が光を増した。
そしてウィーディムを踏み台にして飛び出すと、
「「ハーツ、シンクロース!!」」
決めていた変身の掛け声を叫びながら宝石を打ち合わせた。
キン!
澄んだ音を響かせると、2人は赤と青の光に包まれながら降下していった。
2人が降りてくるのを確認した梨深は、
「ウィーディム~、アギュリィ~、リタ〜ン!」
と発し2体の魔獣を人形に戻した。
そのタイミングに合わせるように光球がスライムの前に着地した。
「なんだ、これは?」
特異な物を目にし訝しむスライムの前で光が弾けた。
そして赤青色の人間大の見慣れない人型生物が姿を現した。
「貴様、何者だ!」
スライムが怒気を含んだ声で奇妙な人型生物に問い掛けた。
「フフン。」
と不適な笑みを浮かべた赤青人型は腰に手を当て軽く胸をそらした仁王立ちになると、
「我か。
我はこの宇宙を犯罪者から守る、
宇宙広域捜査官、サリシスや!!!」
ドヤ顔で言い切った。
やっと4人が揃い、梨深の使役魔獣最後の1体も登場しました。
次回、2話完結(予定)。
3連休があるので少し巻き返せるかも。
火曜更新予定。
よろしくお願い致します。




