能力、ファイナルスペシャルブリザードを手に入れた!~朝練として、異世界に飛ばされた件~
例えば、である。
朝の朝食をとりながら、TVに出ている誕生月占いを見て、今日は“岩塩”がラッキーアイテムです、と言われたとしする。
それを見て僕が、
「……“岩塩”をどうしろって言うんだ」
そう疑問を呈すことも不思議ではないだろう。
それでも何かいいことがあればいいと思って、最近母が購入してきた、何とかの薄桃色の岩塩をサラダにかけてしまったりするのは人間の性といえるかもしれない。
ちなみにこのピンク色の岩塩は、白い岩塩よりも何となく僕は美味しい気がしていた。
占いなんて信じない、といっても気になってしまうものは気になるのは仕方がないといえる。
もっとも猫好きな僕としては、黒猫がよぎると不吉という迷信の場合はそれよりも、こんな可愛いお猫様のお姿を拝見できて、きっと今日はいいことがあるだろうとしか思わないが。
いや、その話はどうでもいい。
問題は今、TVに流れた内容だ。
いつものように占いが流れていたというのに、僕の知己だけ何かがおかしかった。
「ラッキーアイテムが“唇”で、特別な力が目覚めるでしょうって……何か見間違えと聞き間違えをしたのか?」
僕はそう一人納得して朝食の目玉焼きを食べていく。
ちなみに僕は、目玉焼きに醤油をかけて食べるのも好きだが、塩やクレイジーソルトをかけて食べるのも好きだ。
そこはこだわる所ではなく、その時その時の美味しいものを追求していく柔軟性が僕にはあるのだ!
と、一人心の中でドヤ顔をしながらそれを終了し、カバンを持っていつものように高校に向かっていた。
徒歩で通える高校に受かったのは良かったと思う。
そう思いながら夏の暑い日差しに疲労しつつ進んでいき、そこで僕は目撃した。
学校の校庭で誰かが、炎を噴出させたり氷を噴出させたり風が舞ったり電気が走っている光景を!
何かの特撮か何か、いや、もしかしたら曲芸の類かもしれない。
俺はそう思い込もうとした……のだが、そのうちの一人と僕は目が合った。
長い金髪の少女だった。
よく見ると他にも水色の髪の女の子たちもいる。
やはり何かのイベントか? と僕は思っているとそこで金髪の少女が、
「来て!」
僕はそう、金髪の少女に呼ばれた。
それに不用意に僕は近づいたのがいけなかったのかもしれない。
門をくぐったところで僕は、“何か”に入り込んだのを感じた。
そして入り込むと同時に、金髪の少女がこちらに走り寄る。
美少女だった。
しかも彼女は僕に抱きつくように飛び込んできて、キスをする。
突然キスされて僕は混乱していると、目の前の金髪少女が笑った。
「能力、ファイナルスペシャルブリザード、ね」
「え?」
「あの三人に向かって手をかざして、『能力、ファイナルスペシャルブリザード』って言って。今は私が能力を見て、“発現”させているから使えるはず!」
などと僕は言われたが、意味が全くわからない。
でも怖い顔で彼女に僕は見られていたのと、後、目の前の三人の女性らしい何かが……実は顔が真っ黒な闇であったりするのを見ていて怖さを覚えたのもある。
だから手をかざして、
「ファイナルスペシャルブリザード」
と、声を出してみた。
そして目の前に冷気が竜巻のように吹き荒れて、その黒い顔の三人を氷漬けにしたかと思うと……そのまま氷にひびが入ったかと思うと霧のように霧散する。
あの黒い顔の少女達を含めてだ。
人間じゃない? というか今僕は何に巻き込まれているんだ?
そんな不安を覚えているとそこで金髪少女が、
「見えていた時からそうだと思ったけれど、貴方には“特別な能力”があるようね。……朝の少しの時間でいいから、手伝ってもらえないかしら」
そう僕が言われて、部活の朝練のように彼女に、並行世界の“戦い”に巻き込まれたり、あのTVの占い事態が彼女達の戦力増強に必要な人材を集めるものだと知るのは、また、別の話である。