幻の食材と、レアドロップを求めて7
強い敵だから、手加減なんて出来ないのは分かってた。
だから、スイは全力でバフ、デバフを掛けてリィンは守りを固める。
その都度回復をしていき、スキルが一定まで上がった為リジェネも覚えた。
少しずつだが回復していくリジェネは重宝され、常に全員にかけられていく。
「子供のイノシシは市場に出たことないのぉ……味違うのかしら」
ニヤニヤとしながらイノシシの足を鷲掴みにするクリスティーナ。
子供は力も無くスピードも遅い。
その為簡単に捕まえられるようだ。
クリスティーナ、よだれが出てる。
サクサクと子供を捕まえ捕縛、ストレージにぽい。
親がそれを見て怒る。
クラメンでフルボッコ、無理やり縄にかけられてスイの餌食になるか、無表情でハンマーを振るうデオドール、腕をもがれた腹いせかのように地面を陥没させるくらいの威力で蹴りを繰り出すイズナの誰かがタコ殴りにする。
そのおかげでドロップも落ちる落ちる。
リィンと清水は離れた場所から常に補助していた。
スイの早弾きはかなり重宝して、ステータスはグングン上がっていく。
それは、高ステータスのイノシシすら上回っていた。
「……………………さぁぁぁあ、あとはお前だよぉぉ、ジャァァァァアアンボォォォォ……………」
まるで幽霊かのようにゆらりと向きを変えて、影で顔は見えないはずなのに、目だけがギラギラと輝いているのがわかる。
ガチャガチャとミサイルを動かしてニヤニヤとするのは、もはや犯罪者のそれだ。
「わたしが、美味しくぅ……調理してあ げ る♡」
くねくねしながらもムキムキ女子ははぁはぁ……と息を荒くして走りだした。
清水、ドン引き。
他クラメンは生暖かい眼差しをしながらもクリスティーナの援護に向かった。
「……………………美味しい肉料理のためよ、スイ。がんばれ、スイ」
自分に言い聞かせているスイは、武器をハープからサブであるヴァイオリンに持ち替えた。
悪魔の楽器、ヴァイオリン
スイの一方的な惨劇がはじまった。




