これは人災です。2
「…………まず、話しかけないでって言った時点で今の状況が凄く不満」
「す、スイ?」
「クランのみんなに迷惑かけてる今の状況もすごーく不満」
あむっと食べる。
「あなたのクラメンに迷惑掛けてるのに何にも気にしないあなたの神経が信じられないし、お客さんに迷惑かけてケロッとしてるのもありえない」
申し訳なさすぎると眉を下げて周りを見た。
エールを持つ手が完全に止まっている。
「おいしぃご飯が満足に食べれないし、何よりその女心を無視して自分の意思を貫こうとしてるのに、ど ん び き!!」
アリアはパっ! とスイを見た。
「…………良くわかんないけど、天罰?」
「……え?」
ナズナがじっとアーサーを見ている。
ゆっくりと近づくと軽く足を動かした。
『お願いします、ナズナさま』
「任された」
クラメンが頭を下げたその時だった。
「っっぎゃーーーー!!!」
「ナズナスペシャル」
抉るようにあの場所を真上に蹴り上げたナズナ、アーサーはいつも以上に吹き飛び、落ちてきた時ピンポイント狙って第二の衝撃。
回し蹴りをして玄関から外へと飛び出ていった。
残された手のつけてないローストビーフ丼だけが
取り残されてる。
「……ナズナさん」
「蹴りスキル手に入れた。これもタクのおかげ」
…………………強く生きろ! タク!!
「…………連帯責任?」
シュッシュッシュッと足を動かすナズナの視線は青ざめたカンザキ。
フェアリーロードこわい!!
「………まぁ、こっちも手を出した。これは謝る。すまなかった。……………だが」
ナズナの頭を抑え止めたカガリは頭を下げた。
ナズナもそれを見てペコッと頭を下げる。
「こっちも迷惑をかけられている。それは、わかるよな?」
「……ああ、すまなかったよ」
「止めれず悪かった」
「…………………………」
3人が3人ともカガリに頭を下げた。
「今回、食堂の客にも迷惑が掛かった。これは俺が何とかするが、次はないと思ってくれ。あいつ、アーサーだったか。次にフェアリーガーデンで問題を起こした場合、英雄の箱庭全員使用禁止にする」
「‼‼ わかった」
このランクの宿泊にクリスティーナの食事が禁止になるのは英雄の箱庭にしても痛いことだ。
繋がりもそうだし、クリスティーナの食事は他のと違う。
「理解してもらって良かったわ」
ニッコリ笑って言ったセラニーチェ、その笑顔がこわい。
「………悪いスイ、これで大丈夫か?」
「はい、また何かあったら言い返しますし、ナズナちゃんがやり返してくれましたし」
「好きな人守るのはとーぜん」
グッと手を握るナズナにクリスティーナが感動。
どっから出したのかチーズケーキとジュースを出してナズナに渡した。
すぐ食べるナズナにカガリは笑ってから、食堂の客に頭を下げた。
「迷惑かけて悪かった。次回無料になるチケットを配布させてもらうから、次もまた来てくれ」
「まじか! クリスティーナさんの飯ただ!?」
「スイたん大変だなぁ……」
「スイたんの彼氏………」
「え、上限なし? 1番高いのでもいいかな……」
用意されたチケットはすぐに配られ、これを見ていたスイは立ち上がりカンザキの前に立った。
「………………今回の迷惑料、1人宿泊費3倍でいいですよ」
「………え?」
ニッコリ
「1番安い四人部屋です、良かったですね。………………この人数を次回無料にしてるんですから、かなりの損害です。オープンしたてでマイナスイメージ付いちゃいます。
……勿論それくらい、は ら い ま す よ ね ?」
「「「…………は、はい」」」
魔王降臨。
流石にハープをチラつかせはしなかったが、スイの本気度がよく伝わり3人はこくこくと頷いた。
「…………よし、挽回できます」
キリッとカガリを見ながら言うが、カガリは苦笑するだけだった。
「……………おおおおおおおお……………」
ピクピクしているアーサーの周りには人が集まり顔の知れたアーサーに全員が英雄の箱庭だ、と口々に言う。
そして、クエストから帰ってきたタクが見てすぐにナズナであると理解したが、いつも以上のダメージにタクは今後の自分を嘆いたのだった。




