表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
88/268

これは人災です。

まるで災害としか言いようがない

台風みたいな人達が入店してきた。




フェアリーガーデンのもふもふ広場に出来た豪華なソファ。

そこに今日は非番なスイが座りもふもふと戯れている。

外からも見える為いい客寄せパンダ状態だった。

氷の城に行きたかったクリスティーナは今日もフライパンを振っている。

やはり、料理人は忙しくしているが本人はメキメキと料理スキルが上がりこれでもかと喜んでいる。


「おやつたべる?」


「きゃん!」


膝に座っていたもふもふが伸び上がり顔付近まで到達した時だった。

フェアリーガーデンの扉が開き4名様らいてーん!


「「「「「「いらっしゃいませ」」」」」」


お仕事中のクラメンとバイト3名はすぐに声をかけた。

バイトの5人はよく動き気が利く人が多い。

中にはフェアリーロードとの繋がりが出来たと下心ある人もいるが、それが仕事に差し支えはない為放置である。


「すっごいなぁ、流石フェアリーロード」


キョロキョロとしながら言う男性。

スイはその4人を見て眉を寄せた。

2人、あのイベントで見たのを覚えている。

しかもそのうちの1人はスイの名前を呼んだのだ、スイではなく、翠、と。


立ち上がっていたもふもふがおやつ! と鼻をあむっとした事により目線を逸らし1口サイズのビーフを出した。

ヘレヘレヘレヘレヘレヘレ


「……………あぁ」


かわいいぃぃ!!


「もふさんお座り」


膝の上でちょこんと座るもふもふの視線はビーフ一直線。

カチカチと歯を鳴らしている。

ちゃんとあげるって、まって


「もふ待て」


鼻先にビーフを持っていき待てをさせる。

ちょっと近づいては離れて足をバタバタさせている。頑張ってる、待て頑張ってる!


「よ「スイ!!」……し」


よしに被された声

もふもふはちゃんと聞いていたのでスイの指ごとあむっと食べた。


「……え?」


指ごと食べたもふもふは、ゴックンした後もスイの指をあむあむ。

味してるのかな?


「…………えと、いらっしゃいませ?」


「アーサー知り合い?………あら、あなた確か噴水広場で会ったよね? あなた強くってびっくりしちゃった! イベント私瞬殺だったぁ」


うふふと笑って言った女性、アリアはアーサーの腕を掴んで話していた。


「………あ、総大将だった方ですね」


「えぇ、まさか総大将が最初っから出てくるなんて思わなくてびっくりしちゃった!」


可愛いね、とスイの膝にいるもふもふを見る。

嬉しいスイはもふもふを抱っこして腕を上下させた。


「報酬でもらった子です。可愛いですよね」


デレデレとして言ったスイの前にアーサーが割り込んできた。


「なぁ、スイ……あれだろ? な?」


「……?」


流石にイベント終了後にリアルの名前を呼んだのを不味かったと思ったアーサーはなかなか言葉を続けられない。

アーサーから見たらスイは翠とわかって話をするが、翠から見たら2回目に顔を合わせたプレイヤーである。

…………………だれ?

が、感想。


「………あの、だから」


「いらっしゃいませ、ご宿泊ですか? お食事ですか?」


「泊まりで。あ、食事も出来る?」


「はい、大丈夫です。手続きよろしいでしょうか」


「はい。おら! 行くぞアーサー」


見かねたバイトが声をかけた。

それにカンザキが答えてアーサーを引き摺って行く。

バイトグッジョブ!!


「…………はい、もふさんあーん」


あむ!

放置する事にしたスイはまたもふもふにおやつを与える。

この間のカットでスッキリしたもふもふは元々くせっ毛の為全身クリンクリンになっている。

それがまた可愛く、お尻がまん丸になっていた。

歩く度に、尻尾を振るたびにまん丸のお尻がフリフリされる。

それにスイだけじゃなく皆が魅了されていた。


「きゃん!」


「はい、待て」


ちょうだいちょうだいするもふもふに待てをさせるスイの顔は見せられないくらい緩んでいた。












「アーサー知り合いなの?」


部屋を借りた4人は荷物を置いてすぐにアリアがアーサーに聞く。

3人は部屋の素晴らしさに感嘆し探検しようとした時だった。

アリアはまっすぐアーサーだけを見る。


「あ、声掛けてたよな」


カンザキが聞きイリアも靴を脱ぎながらベッドに座った。

4人部屋を借りたのはとりあえず部屋の様子見とクエスト中心に動き軽く休む為である。

英雄の箱庭は酒場メインの為飲むには良いが休むには少し落ち着かないのだ。


「…………リアルでの、その知り合いなんだ」


「……そう、なの?」


流石に元カノとは言わなかったが、カンザキとイリアは気づいた。

イリアが小さくあの子が……と呟く。

アリアは少し心配そうにしてアーサーの隣に座った。


「………でも、知り合いなんだもんね? それだけだもんね?」


きゅっ……と服を握って見つめるアリアに何も言えないアーサーに、アリアの不安がムクムクと胸をしめていった。



「……あれ、やばくね?」


「めんどくさい事になりそうだねぇ」


「まさかフェアリーロードの新加入してた奏者だったとは……」


ボソボソと聞こえない様に話すイリアとカンザキにアーサーは困った様に視線を向けた。







「もふ、お昼寝する?」


目をウトウトし始めたのに気付き、もふもふを抱っこしたスイはもふもふ広場で横になる茶太郎の所まで向かう。


「ちゃったさん、もふ眠いみたい。お願いしていい?」


「わふ」


息を吐き出す様に返事をした茶太郎はもふもふのスペースを作る、まるでどうぞというように。

頭のいい子だ。

そこにもふもふを置いて茶太郎におやつをおすそ分け。

あむっと食べてからスイの頬を舐める茶太郎。

餌付け万歳、好感度はうなぎ登りだ!!


「クリスティーナ、ちょっとお腹すいてきたかも」


「あらぁ、何食べたい?」


「……うーんと」


「ローストビーフ丼2個」


スイの隣に現れたアーサーは食券を2枚バイトでは無く近くに来たクリスティーナに直接渡そうとする。


「…………話したいんだ、いいだろ? 大事な話だ。…………飯は奢る」


なんだか鬼気迫る様子にスイは引き、クリスティーナは眉を寄せる。


「……えっと、私は話ないですけど?」


「いや、有るはずだよ。絶対に」


不穏な雰囲気のアーサーにスイはクリスティーナを見るが、クリスティーナもなんだこいつと言う表情をしている。

その揉めてる様子に気づいたクラメン達は眉を寄せた。


「悪いけどトラブルは困る」


「あ、カガリさん」


割り込んだカガリ、不穏な雰囲気に心配してきたのだ。


「ただ、話をしたいだけなんだ。スイと大事な話があるから!」


その必死な様子や動きにスイはドンドン表情を険しくさせていく。


………………宏に似てる?


「……スイ?」


「………話ならクリスティーナも交えてならいいですよ」


「え?……いやでも……2人が……」


スイが言ったクリスティーナ同伴に1番驚いたのはクリスティーナ自身だ。

クリスティーナはえぇ? と言いながらカガリを見た。


「………トラブルが起きたらその時は対応させてもらう」


まだ何も起きてない状態で追い出すこともできない。

本当にただ話をするだけかも知れないと、カガリはクリスティーナ同伴でを条件に頷いた。

クリスティーナは仕方なくローストビーフ丼のチケットを1枚だけ預かる。


「期限は無いからまた次に使って。スイのはいらないから」


奥に戻って行ったクリスティーナは、ローストビーフ丼とカルボナーラ、トロトロビーフシチューオムライスを作った。

ちなみに、カルボナーラとオムライスはクリスティーナチョイスである。


エプロンを外してそれぞれ持ったまま、1つのテーブルに座る。

クラメンや英雄の箱庭達が心配して見ている中、スイは受け取ったオムライスを見ていた。


食べたい………

でも、なんかガン見されてる………

空腹ゲージ減ってるんだけどなぁ……


「…………あの、なんですか?」


「…………まずは、謝る。ごめん」


「何についてですか?」


「……………リアルの名前呼んで悪かったよ」


「え?」


頭を下げたアーサーに、クリスティーナは目を見開く。

スイのリアルの名前は今の所リアフレのクリスティーナしか知らない。


「…………あの後運営から警告されてさ、マナー違反だって。次にしたらアカウント一時停止って言われた」


リィンに怒られ運営から警告され。

アーサーはそこでやっと身バレの危険に結びついた。

スイが翠だと気づき、リアルで話せなかった翠が目の前にいるとテンションが一気に上がったのだ。

それにより名前を呼んでしまい警告されたが、アーサーはスイと話すことを諦めなかった。


「……………リアルでの知り合いって事?」


スパゲティを食べ始めたクリスティーナに合わせてオムライスにスプーンを入れる。

トロトロの卵にバターライス。

濃厚なビーフシチューにはお肉ときのこ類がこれでもかと入っていて、柔らかく煮詰められた玉ねぎの甘さもしっかりとわかった。


「「おいしぃー!」」


小皿を用意していた為2人は取り分けお互いに交換した。


「……まぁ、そうなる」


アーサーが、歯切れ悪くいい、ローストビーフ丼を見つめた。


「…………私の予想が当たったら、クリスティーナも知ってるよ」


「「え?」」


クリスティーナとアーサーが顔を合わせる。

共通してこのゲームをしているのはこの3人だけである。

したがって……………


「「ま、まさか!!」」


クリスティーナは立ち上がってアーサーを見て、アーサーは目を見開いた。


リアルでも料理好きなクリスティーナに、廃人並にゲームするアーサー。

しかも、お互いがβテスターでお互いのアバターがβから居るのも知っている。


「…………さいってい」


「………まさか、クリスティーナが……」


カン!! とフォークがお皿に当たり音が響く。

不機嫌な地を這うような声は周囲にも聞こえ一瞬で食堂が静まり返った。


「……………………で。話ってなに?」


「あ! 前も言ったけど、一緒に遊べるようになったんだからクエストやろうよ! 奏者のバフは凄かったって聞いたし、楽しみだなぁ!! まだ俺よりもレベル低いよね? レベリング手伝うしさ!! あと、クランの移籍だね! まさかフェアリーロードだとは思わなかったけど、俺と一緒のがいいだろ? 今すぐさ…………」


「それって、引き抜きかしら?」


テーブルにコップが現れた。

それはセラニーチェが持っていて、隣にはカガリもいる。

コクン、と飲んだココアから甘い匂いが漂う。


「わざわざクラメンがいるクランハウスで引き抜きするなんて、英雄の箱庭は随分マナーがなってないのね?」


チラッとカンザキ達をみると、顔を青ざめさせている。特にアリアは信じられないと見ていた。


「基本的にクランを抜けたり入ったりに規制は無いし自由だけど引き抜きはマナー違反って暗黙の了解よね。βテスターのあなたがそれを知らないわけじゃ無いでしょ?」


ジッと見ているセラニーチェに、アーサーも見返した。


「俺はスイの彼氏なんだ。だから一緒に居た方が楽しい。だろ?」


スイを見て言ったが、スイは眉を寄せる。


「…………………元ね。ついでにもう連絡しないでっていったんだけどな」


あむっとオムライスを食べると、ちょうどログインしてきたナズナとイズナが現れた。

ナズナがスイに向かい口を開けた為、ナズナの口にオムライスを入れる。


「……………迷惑行為と捉えていいかしら?」


ナズナを見てからセラニーチェが言うと、アリアが立ち上がって走りよってきた。


「まって! まってください!! アーサー、あなた何言ってるの? 他のクランの人引き抜きなんて!……………それも……彼女?」


チラッとスイを見るアリア。

指輪をキュッと触って言った。


「……………?」


「あの! 私アーサーと結婚してるんです!!」


「………は?」


指輪を見せて言うアリアはアーサーの手も掴み見せて来た。

確かに同じ指輪をしている。


「…………………それで?」


確かにスイ、いや、翠が欲しかったものだ。

貰うことも出来ず、他の人には渡すのね。ふーん? と思わず考えてしまう。

渡さなかったアーサー本人は居心地悪そうに、話を聞いていたクリスティーナはため息をついた。


リアルの彼女を蔑ろにして、ゲーム内の彼女を大事にして更には結婚なんて


「……………お前男運ねぇなぁ」


「そう思います…………」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ