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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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おいでませ、ペットショップ3

もふもふを抱っこしながら2階に上がった。

2階には真ん中に広く作られた遊べる広場に壁一面にはガラスのペットケージ。中には色々な動物が寛いでいて小さくシールが貼ってある。

時間や日にちが表示されていて値段が書いてある


「…………え? もしかしてレンタル……?」


そう。

ペットショップにはペットレンタルがある。

報酬で貰えなかった人用に、1匹までペットのレンタルができるのだ。

数時間にしてお散歩したりここの広場で遊んでもよし

数日にしてクランハウスに連れて帰りまったりするも良し。

ちなみに、ケージやお皿のレンタルはあるが食事は別途用意である。

数時間でも空腹を訴えたらご飯用意してあげてね。

それ用にサンプル位のご飯も売っている。

ちなみに、サンプルはペット保持者以外にも持っていけるがオープンセールの為今日から一週間しか置いていない。

また何かセールがあったら登場するかも……


「凄いなぁ……」


種類も豊富で性格も書いてあるケージを見ていると、ガヤガヤと騒がしくなってきた。


「俺だって! 俺だってペットレンタルしてぇんだよー!」


なんだか悲痛な叫びが聞こえる。

集まり出した人垣をかき分けながら見てみると、一人の男性プレイヤー。

頭上にはペット犯罪者の文字が表示されていた。


「………あらぁ」


騒いでる男は真ん中のふれあい広場に突入するが一斉に逃げ出しそばに寄らない。

なんでだよ! と叫ぶがみんな逃げる逃げる。

1匹猫が捕まったが、毛を逆立てて唸り引っ掻く。

逃げてたペットたちが一斉攻撃! 猫の救出に向かう!!


シャーー!!!


「…………なるほど、ペット犯罪者怖いな」


制裁が酷いことに……

これが動物好きならかなりの大ダメージだ。

ちなみに、店員さんが鬼の形相で男を抱えあげ店の外にぶん投げた。

綺麗な若い女性の店員さんだった……



「へぇ、凄いなぁ……」


ペットケージが有る逆側の方には3箇所のカットルーム。

店員さんがシャンプーとカットをしてくれるようだ。

勿論有料だが必須だろう。

既に3つとも埋まっている、が。


「おまたせしました」


「ありがとうございます!」


可愛くカットされた犬が飼い主の手元に帰ってくる。

次別の犬が入り5分後


「おまたせしましたー」


「いやいや、早すぎだろ。どんな魔法だ」


3部屋全てがフルスピードでシャンプードライヤーカットブローまで終わらせる。

勿論1人でだ。


「………スゴすぎるペットショップ」


カットルームの隣には充実したペットホテルが置かれていた。

クランハウスがない人向け、クエストや長期ログイン出来ない時の為のペット救済場所だ。

私たちプレイヤーがログアウトしても、ペットたちはこのAnotherfantasiaに残り続ける。

スイたちみたいなクランハウスがあり、いない時それぞれが面倒を見てくれるなら問題ないがソロプレイヤーにそれは難しい。

ログアウトしてから残っていたペットは仕方なく噴水広場へと集まり次に飼い主が来るのを待ち続けるのだ。


簡易ペットホテルとして、大きな広場が設けられていた為そこに入って待つのだ。

これに驚いた飼い主は、ペットを抱えて走り回ることになった。

ログアウト時にクランハウスに一時保護を頼む為だ。


これに貢献したのがフェアリーガーデンだったりする。

広々した場所に作れたもふもふ広場。クラメンがいるので水も渡してくれたのだが、これは閑話休題。


ペットホテルが出来たため噴水広場の簡易ペットホテルである広場は使われる回数も今後は減るだろう。

ちなみに、ペットホテルを使わずログアウトしたらやはりペットたちは噴水広場の簡易ペットホテルへと向かう事になる。


「広いのはこの為かぁー……」


既にペットホテルは何個か埋まっていた。

それぞれに寛ぎ飼い主が置いていった玩具などをあむあむしていたりする。

ちなみに食事は店員さんに頼んで手持ちを渡し、指定した時間にあげてもらうらしい。

今まさにご飯をあげている人がいる。


近くにはカウンターがあり、レンタルとホテル、カットで別れていた。

スイはまっすぐカットに向かう。


「シャンプーとカットお願いしていいですか?」


「はい! 只今の待ち時間20分です。よろしいですか?」


「はい」


お金を先に渡してお呼びしますね、との声を聞いてからもふもふと一緒に他のペット達が遊ぶ広場に来た。


「遊んできていいよ」


下ろして行ってらっしゃいすると、スイをずっと見つめている。


「ん?」


「きゃん!」


軽くジャンプしながら歩くもふもふ。

でも、途中で止まりまたスイを見る。


「…………ん?」


座って尻尾パタパタお尻フリフリ

いい顔して舌ヘレヘレ


「………んん?」


「待ってるんじゃないですか?」


隣にいた女性プレイヤーに声をかけられ、スイはその人を見た。


「あなたが一緒に来るの待ってるんだと思いますよ」


「! ありがとうございます」


待ってるのか! そうなのか!!

今行くねぇぇぇ!!


ちゃんと座って待ってたもふもふの所に行くと、もふもふは立ち上がり尻尾フリフリしながらスイの足の間に頭突っ込み体を割り込ませてその場に座った。

立ったスイの足の間に挟まるようにして座るもふもふは満足そうだ。


「………………それでいいの? 遊ばないの?」


ヘレヘレヘレヘレ









「それじゃお願いします」


「はい、確かに」


「きゃん! きゃん! きゃん! きゃん!」


カットの順番が来てもふもふを手渡すと、いきなり騒ぎ出してスイに向かって手を伸ばし体をよじる。


「よく懐いてますねー。大丈夫よ、大丈夫よー」


店員さんがそう言って連れていったもふもふからは悲痛な叫びが響いている。




「…………あ、あぁ……ああぁぁぁぁ………」


シャンプー、ブロー、カット。

もふもふさん、初体験にビビり……………

盛大に粗相をした。


「…………ビビりか」


普段はトイレをしない様に出来ているAnotherfantasiaのペットたち。

ただ、あまりの恐怖に晒された時は盛大に粗相する様になっているらしい。

たった5分の間、もふもふはかなりの恐怖を味わったようだった。


この後、歩かせて帰る予定だったがもふもふが爪を立てて降りなかった為、結局抱っこで帰るのだった。








初ペットショップ巡りは実りの良いものだった。

ただ、一瞬でお財布が寒くなる。

アブナイ、アブナイ…………

でもプルプルするもふもふを見て金策に力を入れなくては……と再度確認するスイだった。

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