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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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公式イベント4

スイよりも後ろにいたファーレンは突進を使って前に出て盾を構える。

グレンがスイを抱え雪玉から守り、盾を使って放たれた複数の雪玉をファーレン1人で抑えた。

カガリ曰く、盾職は後に攻撃を通すようなそんな恥ずかしい事は出来ねぇ! らしい。

必死に覚えた突進をここに来て発揮したファーレンはチラッとグレンに守られているスイをみた。


よし、ダメージなし!


ビュンビュン際限なく飛ぶ雪玉にスタミナが減るファーレンを、リィンとセラニーチェが一気に回復させる。

そしてバリアを張ったことによりスタミナ減少が緩やかになった。

ゲーム仕様で完全にバリア性能は使えないが、減少はするらしい。


「バリアか! こっちにも!!」


敵チームも一気にバリアを張るが、その次の瞬間、アレイスターの銃を使った雪玉が飛び交ってきた。


「アタシを忘れちゃやーよ!」


「ぐぁ! 当てられた!!」


「フェアリーロードつよすぎだろ!」


崩れ始めた隊列をさらに切り崩すようにイズナとデオドールが前に出て、ナズナが楽しそうに素振りという名の蹴りを出す練習をしていた。


今はそれいらないよ、ナズナ!!


防御をする前衛を飛び越えてアーサーがスイへと切りかかってきた。

一気に総大将を刈り取る気満々のようだ。


「悪いけど! 取らせてもらうよ!」


雪玉を持って飛び込んできたアーサーは、ファーレンを掠りながらスイの前に出てきた。

既にグレンはスイから離れていたため、手を伸ばしたがアーサーの方が早かった。


「っしまった」


「っ! 負けられ……ない!」


雪玉はスイに1つ当たり、体を捻って2個目を避けた。

そのままスイの上に倒れ込み2人で雪に埋まる。

ゴロゴロと雪に跡をつけて体も雪に塗れるが、スイの体はまだかろうじてホカホカしていた。

アーサーは寒さに手がかじかみ唇が紫になっているが構わず雪玉へと手を伸ばす。


「きゃあ!」


「これで、俺の勝ちだ!」


倒れたまま雪玉を新たに掴み当てようとするアーサーに、スイは避けきれない!

ぽふん、と肩に雪玉が当たり2乙。

そこでスイが足を蹴り上げアーサーを吹き飛ばした。

腹部にクリーンヒット!!!

ナズナじゃなくて良かったね!!


「負けないん、だから!!」


グッと踏み込み楽器を振り抜くスイをアーサーは目を見開いて見た。

まるでスローモーションのように近づく楽器、そしてスイがアーサーは誰かと重なって見えていた。


「おい! アーサー!!」


呼ばれた声にハッとして急いで離れたアーサーのいた所には楽器で出来たクレーターがある。

一撃当たってたらバリアをしてようとスタミナは全損するだろう。


「…………………みどり?」


「え?」


アーサーは楽器を掴み地面にクレーターを作ったスイを真剣に見つめていた。


「………みどりだろ? なぁ?」


「…………だれ?」


急に呼ばれたリアルの名前に思わず答えたスイに、アーサーは一気に嬉しそうに笑った。


「やっぱり! やっぱりだ!! 俺さ!!…………」


スイに夢中で話すアーサーの背中に連続で衝撃が起きた。

ぽふん、ぽふん、と数回。

びっくりして振り向いたアーサーの前には怒っているリィンがいて、両腕に持つ雪玉を一気にアーサーに向かって投げつけた。


「………あ!」


ハッとした時には遅く、アーサーはスイへと視線を向け手を伸ばしながら消えていった。


「リィン……さん?」


「こんな人が沢山いる所でリアルの話をするなんて許せません!」


プンプンと怒るリィンは頷いて他へと走っていった。


「……………ありがとう、リィンさん。……なんだかあの人……」


うーん、と考え込んだスイを狙う雪玉に気付き慌てて楽器で防いでから、恐怖のスキル、破壊のロンドを弾いた。無意識だった。

阿鼻叫喚である。


「………………あ」


すいません……と呟くスイは泣きながら装備を出したり、もう無いー! と叫ぶプレイヤーをみていた。

せっかく復活した雪山やかまくらもすぐに消滅、残念である。

そんなプレイヤー達をスイは慈悲の心一遍も見せること無く雪玉を当てた。

あの、鋭く痛い雪玉である。

素肌に射抜く雪玉は、それはそれは痛かっただろう………









「うらぁぁぁぁ!!」


「っ! くっ!!」


「よし、キイロチーム討ち取ったァァ!」


遠くでアカチームがキイロチームを撃ち破った声が聞こえた。

一撃雪玉を当ててたのが響いたのか、スタミナが減り、雪玉残り4回。

アカチームが一気に押し寄せキイロチームを負かしたのだ。

キイロチームのリボンが外れ全員がフィールドから消えていった。



残り、3チーム。


勢いに乗ったアカチームはアオチームを見る。

ミドリチームは危険と判断しているのだ。

全体的に見通しの良くなったフィールドの中で、スイはおにぎりを取り出しあむあむしだした。

おにぎりはシャケと昆布、シーチキンが入った爆弾おにぎり。

大きめおにぎりあむあむあむあむ


『あむあむしてるー!?!?』


『なぜ今ー!?』


頬に米粒を付けたスイは大きなおにぎりをペロリとたべきり、武器を持ち直してアカチームとアオチームを見る。


「みんな、頑張って! スキル! 『鼓舞』」


一気にやる気が上がり、グレンとクラーティアが魔法を撃つ。

負けじとアオチームも全体魔法をしてミドリチームの数十人を戦闘不能にした。

アオチームのランカーがアカチームのランカーを数人倒し、アカチームの総大将へと走りよるが………



「っ、アオチーム、とうばーつ!!!」


「えぇ!? なんでぇ!?」


「クリスティーナちゃんに不可能なんてなくてよー!!!」


1番後ろにいたクリスティーナが前線へ出て敵が入り乱れる中まさかの討伐をしてみせた。

両腕には雪玉がこんもりと乗っている。

アカチームはただ1人ミドリチームが交じるクリスティーナを狙うが


「あぁん! モテモテェ!!」


くねくねするクリスティーナは銃火器を取り出し一気に放火!!

火炎放射ーーー!!!


「……………………勝てる気がしない」


スイはクリスティーナを見て言ったが、周りは全員お前にな!!! とツッコミをしていた。


これで残り2チーム、アカチームとミドリチームだ。








「……………なんだよ、奏者は足を引っ張るもんだろぉ!!!」


響いたのはアカチームの男性の声。

いや、アキラだ。

あの時、ファーレンといた。

あのクリスティーナに通報された、彼だ。


スイは奏者の言葉に顔を向け、目を見開く。

睨み付けるその人をスイは見つめた。

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