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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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プレイヤーの想像

公式イベント内容が知らされたプレイヤーの反応は雪合戦と聞いて一瞬ん? と首を傾げていた。


「雪合戦……とな」


「雪合戦、どう戦えと……」


「いや、雪玉ぶつけるんだろう」


「わかってるって!……楽しいのか?」


「初公式イベントだぞ? 絶対それだけじゃないだろ」


「「「「「たしかに」」」」」


噴水広場にいるプレイヤーたちは知り合いじゃないが集まり話をしていた。

今聞いたばかりのホットニュースである。


「でも、あれだな。チーム編成が偏りなく組んでくれるのがうれしいところだな」


「確かに、高ランカークランが重なることないってことだろ?」


「いや、4チームだろ? 絶対どっか被るだろ」


「………被ったチームになりますように!!!!!」


全員が手を合わせて祈りだした。


「でも、おれはフェアリーロードと同じがいいな……」


「はっ! スイたん!! はぁはぁ」


「ゆ、雪にまみれるスイたん……そして濡れるスイたん……」


「いやまて、スイたんを守るんだ!!」


私を守ってくれるの………うれしい……すき!

なぜか濡れて張り付く服、胸の前で手を組んで潤んだスイが幻覚のように見えていた。


「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」」」


そんな男性プレイヤーを女性プレイヤーは白い目で見ていた。

また、掲示板があれそうだ。





「クシュ!」


「スイ大丈夫? 飲む?」


いきなりくしゃみをしたスイにクリスティーナは飲み物を手渡してきた。

中はアップルティー、あったかい優しい味に息を吐き出した。


「大丈夫?」


「うん、なんだろ?」


「ゲームで風邪なんてならないだろうしね」


「ね」






あるクランでの話。


「公式イベントが雪合戦だなんてね」


いつもと変わらずエール片手に椅子に座り話すカンザキとイリアにアーサー。

そう。ここはクラン英雄の箱庭である。


「まあ、初公式イベントだし、報酬も出るし。やるしかないじゃないか」


イリアがカラカラと笑っていった。

同感! とカンザキが言うと二人でカンパーイとコップをぶつけ合う。

ノリは完全酔っ払いのそれだ。


「楽しみだな」


「お、やる気だなアーサー」


「あぁ、おれ今目標ができたからな!」


「目標?」


「どんなのだい?」


アーサーのみなぎるやる気に二人が視線を向けるとアーサーは満面の笑みを浮かべて答えた」


「前言った元カノがゲームを始めたんだ! おれ、その子見つけて一緒にクエストしたりとか!! あ、クランにも入れないとな!!」


部屋は十分広いから一緒でいいだろうし……と話すアーサーを、二人は不思議なものを見る目つきで見ていた。


「アーサー? 別れたんだよな?」


「だよ?」


「じゃ、普通に考えて無理だろ……」


「え? なんで?」


二人のいう事が理解できないと首を傾げるアーサーにイリアが立ち上がり言う。


「それに、アリアとゲーム内とはいえ結婚しといて元カノ連れて来るのはどうかと思うぞ」


「アリア、うん。確かに奥さんになったけど……」


「すごい喜んでたんだし、悲しむし怒ると思うぞ」


カンザキも静かに言うと、アーサーは考え込んだ。



アーサーがアリアと結婚をしたのはアリアのお願いからだった。

実はリアルで付き合った事なくて、雰囲気だけでもといったアリアに当時ゲームに熱中していて楽しみ、この付き合いもゲームの一貫だしと受けたのだ。

スイ、いや翠がゲームをする事を半ばあきらめていたからという事もある。


そして、雰囲気だけと言っていたはずのアリアはそのままアーサーにのめり込むように好きになっていった。

そんな後戻りできない状態となった時に結婚システムの導入、アリアは喜び舞い上がった。

結婚なんて! アーサーと結婚なんて!!

そう喜ぶアリアを今更断れなくなっていたのだった。


「悪いけど、元カノが戻ってきたらこれは破棄になるかな」


自身の指についている指輪は間違いなく結婚指輪である。

しかも、つい数日前教会に行ってきたばかりで結婚したばかりだ。


真っ白なウエディングドレスを着てハニカムアリアとタキシードを着たアーサーを二人は最前列で見ていたのだから。

二人はまだ来ていないアリアを不憫に思い、どうにかやめろと伝えるがそれもアーサーには響かなかった。








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