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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第2章 水の都アクアエデンと氷の城
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愛の料理人、加入

スイに懇々と危ない時の対処を教え込んだクラメンはやっと椅子に座って落ち着いた。


「なんか……心配だわぁ……」


ぽやっとしているスイはみんなの話をしっかり聞いているのだが、ちゃんとわかってるのか……? と全員が不安になる。


「どうぞ、温かい飲み物です。喉痛めますよ」


クリスティーナが全員に飲み物を配っていく。


「あら、ありがとう」


「すいません」


全員がコップを持ち喉に流し込む


『!?』


「どうですか? マスカットティーにしてみましたー」


どこからかお盆を取り出し胸に抱えたムキムキ女子の破壊力が凄まじい。


「………ステータスがヤバい」


ランダムでプラス値がステータスに付いていた。


「遊び心です♡」


ウインクしながら言うクリスティーナに、全員が別の意味で吹き出した。

ボス並みに破壊力がある。


「良かったら、これもどうぞ」


次々と並べられた食事に全員が目を丸くする。

軽く店を開けるレベルである。


「………すごいな」


「スイに聞きました。この間の、皆さん美味しいって言ってくれたって。嬉しかったです」


「こっちこそ、美味いメシをありがとう」


カガリを筆頭に全員が感謝の言葉を言いながら頭を下げた。


「呼んでいただいて光栄です。なんちゃって♡ 改めまして、スイのリアフレのクリスティーナです。βから戦える愛の料理人クリスティーナをしています。よろしくお願いします」


スカートの端をつまんで綺麗に広げ淑女の礼をしたクリスティーナ。

さらに破壊力が増して何人かが貧血やめまいを起こす、状態異常を素でやらかした。


「あ……あぁ、フェアリーロードのリーダーカガリだ。よろしく」


「はい! 皆さんは有名ですからちゃんと皆さんわかりますよ。よろしくお願いしますね!」


そう言ったクリスティーナはチラチラと見ていたタクをガン見し始めた。


「特にタクさん、よろしくお願いしますねぇ」


「ひぃ!!」


くねくねしながらタクに近づくクリスティーナに、タクは冷や汗をバシャーとかきながら後に下がっていく。


「あん! つれない!!」


「………スイ、お前の友達インパクトヤベぇだろ……」


「なんかすいません」


タクに迫るクリスティーナに、ナズナが近づきスカートを引っ張る


「クリス」


「はぁい! なんですか?」


「デザート食べたい」


この間の焼き菓子を気に入ったナズナがデザートを要求する。

イズナが慌てて止めようとするが、クリスティーナがニッコリと笑った。


「はぁい! おまかせですよー♡」


バックを漁り、取り出したのは巨大な丼。

ナズナにちょっと待ってくださいね♡と伝えてタクへと駆け寄る。


「タクさぁぁぁぁん♡ これ、恋の増量ティラミスです! 食べてくださぁい♡」


「oh......」


丼に作られた巨大ティラミスにタクは冷や汗。

それ自体は美味そうなのに、チョコプレートにタクさんへ愛をこめて♡ 召し上がれ♡

と書かれている。妙に綺麗な飾りのイラストまで入っていた。


「がんばっちゃった♡」


「く、くってやれよ、タク……」


笑いを堪える声が色々な所から聞こえる中、タクはティラミスを受け取ったがヒクヒクと口端を引き攣らせていた。


「みなさんも、はい♡」


「oh......」


他の人には小さめお花模様のケースに入り、小さなチョコプレートに名前が書かれている。

タクとの力の入れ方がわかりやすく違っていた。

しかし、ちゃんと一人用である。

スイに渡されたティラミスにはチョコプレートはホワイトチョコに変わっていてミニスイの絵も書かれていた。


「かわい!」


「力作なんだからぁー」


ほらほら、ここがねー!

スイにくっついてティラミスの説明をするクリスティーナに全員が顔を見合わせた。


宿の料理人を探していたが、これには条件があった。

加入ラッシュの事も考えて、第一に入る為に媚びたりしない。

フェアリーロードの名前を出して私ここに入ったんだから! 等と自慢し周りを煽るような非常識な行動はしない。


このクリスティーナを見ていたら、媚びるとは違うかなりのインパクトはあるが性格から来ているものだろう。

なにより仲良くしていけそうだし、スイが信頼しているのがよくわかる。

周りを煽る様な事もしないだろうし、しっかりと自分の意思を話すクリスティーナに全員が好感度をあげた。


全員の意思は一致した。


「クリスティーナ」


「はぁい!」


スイのスプーンを奪い無理やりアーンしようとしているクリスティーナ。

呼ばれた事により振り向きざまにスプーンはスイに奪われたが、クリスティーナはしっかりとクラメン全員を見つめていた。


「フェアリーロードのクランハウスは宿を経営しようと思ってるんだが、クリスティーナにここで料理人としてフェアリーロードへの加入をしてもらいたい。これは、フェアリーロード全員の希望だ。…………どうだ?」


正直、この広い食堂を1人で回すのは大変だとわかっている。それも含めてカガリはお願いしてきた。

クリスティーナはキッチンを見せて欲しいと頼み、キッチンへと向かう。

使うキッチン用品は全て用意されているし、大型の冷蔵庫、冷凍庫が3つずつ置いてある。


「お願いが」


「なんだ」


「高いんだけど、ストックを大量に作れる時間停止の鞄を買って貰いたいの。料理人と言っても食材の調達、私には狩りね。をしたり、やっぱりイベントやクエストはしたいわ。だから私が居なくても最低限の料理のストックが出来て食堂が回るようにしたいの。いい?」


どんな凄いことを言われるのかと思っていたら、そんな事か。と、全員はホッとした。


「じゃ、また全員から金徴収なー」


カガリは全員に声をかけると、はーい! 金策しなきゃなーと次々に返事が返ってきた。

クリスティーナはそれに驚く。

まさか、かなりの高額商品を要求したのに反対も無く全員があっさりと頷いたのだ。


「…………いいの?」


「必要なんだろ? それに、宿のことはクランの問題なんだから全員で解決は当たり前」


カガリが当然の様に言ってる途中、クラメン全員が財布を確認。

よりリアルになるようにステータスから財布が出せる様になったのだ。


そのバックってどれ位するの? 足りるかな?

買うなら1番容量大きい方がいいよね

ナズナは、スイーツいっぱい入るの希望……

あんたね、宿に使うやつでナズナのじゃないんだよ?

許せない……

はぁ………

私、クランハウス買った後に防具買ってしまったから足りないかも

あたしも、可愛い服買っちゃったわー

アレイスター後で見せてね

もちろんよ、見てね♡


キャッキャッと話しながらお金を確認するクラメン達を見たクリスティーナは柔らかく笑った。


「本当に、いいクランですねぇ」


「だろ? お前もその一員だがな」


カガリから来たフェアリーロードへの加入申請に、クリスティーナは笑いながら[はい]を押す。


「皆さん、よろしく。皆さんが喜んでくれる料理やスイーツを今後も作り続けるから楽しみにしててね」


『よろしくねー!!』


財布を見ていたクラメン達はクリスティーナを見て全員口々に挨拶をかわした。


「クリスティーナ」


「ん?」


「こっちでもよろしくね」


差し出されたスプーンにはティラミスが乗っていて、スイは笑顔でクリスティーナの口元に運ぶ。

ぱくっ! と食べたクリスティーナは笑った。


「うん、よろしくね!」





これで無事フェアリーロードへ料理人の加入が決まった。

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