リア友との出会い
水のヴェールがキラキラと光る噴水広場のベンチにスイは座っていた。
リアルであかねと会う約束をしたため、仕事が終わり次第すぐにゲームにインしたスイは約束している噴水広場で待っていた。
「あ!…………スイかな?」
リアルの名前を言いそうになったその子はスイを見つけて駆け寄って行った。
「あ、そう……………よ!?」
「待たせたかな? ごめんねー」
「……お……おおぅ…………」
大きな重火器を持つその人は赤い髪のごっっっつい女性だった。
三つ編みに結んだ髪をドット柄リボンで結んでいるのがまたジワる。
ガチガチに体を保護するメイルから見える赤のフリルスカート。
そこから伸びる筋肉ムキムキの逞しい足。
でも、声はアニメ声でミスマッチさがまた激しい。
「………あ、あか「のんのん! ここではクリスティーナよ!」クリスティーナ……………」
激しいだろ!!
待ってよ、処理しきれない!!
なんでこの見た目? なんでこのムキムキ!?
なんでアニメ声!! なんで!! なんっでクリスティーナ!!!
笑い要素しかないじゃないか!!!
「なんなのこの見た目ー!!!」
「いいじゃないのー!」
くねくねしながら言うあかね、もといクリスティーナ。
くねくねすんな!!
「あったまいってー……」
「あら、大丈夫? ほら、これ飲んで」
「ありがと……ごっふ!! 何飲ませた!?」
「………………失敗か」
やめろ! 命の危険がある!!
暫くいい争いが続いたあと、クリスティーナはスイの隣に座ってグッと伸びをした。
「ゲームでスイと会えるなんて嬉しいなぁ」
「なんか、不思議な感じだよね」
「ほんと、見た目も違うしね。スイ可愛く作ってるじゃん!」
「見た目はあんたにかなわないよ!!」
パシッと腕軽く叩くと、巨体のクリスティーナが吹っ飛んでいった。
スイは自分の手を見つめ、ぶっ飛ばされたクリスティーナを見た。
「………ごめん、強く叩きすぎた」
「どんだけ強く叩けばぶっ飛ぶっていうのさ!!」
見た目のモーションは軽く腕を叩いただけなのだが。
あの重い楽器をもつ手、腕の強さをスイは見誤っていた。
「まったくー、ここはダメージない場所だから良かったけど! 外ならダメージ食らうんだからね! ってか、どうやったの? 今の」
「………さぁ?」
軽く叩いただけ。
同じ事したら、同じ様にクリスティーナはぶっ飛ぶだろう。
「とりあえずさ、ほら食べてみてよ」
「………大丈夫ぅー? さっき不味かったんだけど」
「あれは試作品!!」
まず自分で飲め!!
そう言いながらも受け取ったのはハンバーガーとポテト。
ハムっと食べると口いっぱいに広がる旨みに目が見開いた。
ポテトとの相性もバッチリでものすごく美味しい。
「……………おいしい」
ハンバーガーを見て言うと、クリスティーナは満足そうに頷いた。
「でしょ! このテリヤキソース作るの大変だったんだから! あとはね、これとこれとこれと……………」
「まって! まってよ! 食べきれない!!」
渡されるまま受け取るが、膝の上やベンチにも置くクリスティーナに、落ち着け! と話す。
まだハンバーガーだって残ってる。
「じゃ、鞄に入れて! ほら! ほら!!」
うへへと笑うクリスティーナ。
その外見と声に合わない笑い方にスイは吹き出し、むせる。
「……これ。みんなに食べてもらうよ」
「!! た……タクさんもぉー?」
「だから、くねくねすんな!!」
タクさん気になるならなんでその見た目……
βだよね……あかね……
「よろしくねぇー、出来れば一番に、一番にたべてもらってぇ? うへっうへへ」
「きもっ! わかった!」
「あ、これも」
渡されたのは大きなケースに入っていた焼き菓子など。
「料理人としてどうかっていうより、みんなで美味しいって食べて欲しいな。そっちの方が嬉しい」
「……わかった」
頷いて預かるとクリスティーナは嬉しそうに笑った。
……………………嬉しそうなのに、笑いを誘う
「………ぶはっ!」
「……なんで笑った?」




