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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第1章 はじめまして幻想郷
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荒ぶる親友


「あ、翠ー」


「おまたせー」


パタパタと走りよる翠の先にはあかねが手を振っていた。

フリルのブラウスにブラウンのショートパンツをはいているあかねは実年齢よりも幼く見えた。

翠はモノクロでカッコよくキメた服装。珍しくモノクロに合わせてワンポイントに決めた濁った赤のヒールは少し高めでコツコツと心地いい音を鳴らしている。


「カラオケ予約してるから早くいこー」


「うん、ありがとう」


すぐ近くにある馴染みのカラオケに向かう2人は、部屋に通された後ひとしきり歌を歌い飲み物で喉を潤す。

フリータイム万歳! 無制限最高!!

平日だから安い安い!

安月給には優しい料金だ!!


「んー! カラオケさいっこう!」


「あぁぁぁぁぁぁ楽しい!!」


マイクを通して翠が言った為、よく響いている。

マイクを置いて靴を脱いだ足をソファに投げ出した。

ちょっと浮腫んでいた足を軽くマッサージするとそれが気持ちいいのなんのって。


「それにしても、仕事大丈夫なの? 今日平日だよ?」


「ん? あぁ、取引先の人が接待が入ったとかで急遽仕事あいたんだよねー。上司にそう言われていきなり明日休みね、だもん。私も良くわかんないんだよねー」


レモンソーダをジュルジュルとストローで飲んでいるあかねが首をかしげながら答える。

今日はそんなあかねの急な誘いに乗って朝からカラオケだった。

翠は働きすぎでどっかで休み取れ、と言われた後にあかねから連絡来たため

じゃあこの日に、と指定したのだ。


「んー、あ、そういやさ、スキルの発動変わるって見た?」


「へ?……あぁ、ゲーム?」


「うん、運営が発動をもう少し早めるようにスキル~~で発動出来るようにするらしいよ」


「へぇ、初めて聞いたわ」


確かにそれなら早いからバフもかけやすいだろうなぁ……

ただ、以前よりも簡単に発動するから何かステータスの変更とか運営考え中と公式サイトに書かれているようだ。


「どう? ゲームすすんでる?」


「ん? うん、今はクランに入ってるんだけど第二の街に行きたいからこれからボス倒すところ」


「あー、あそこかぁ。なかなか強いよー、レベル上げないとなかなかキツい」


「そっかぁ、やっぱり……………あれ?」


メニューのデザートを見ていた翠は頭をあげてメニューからあかねへと視線を向ける。


「もう戦ってる?」


「ん? うん、私今は第二の街にいるからね! たおしたよー! けちょんけちょんにしてやったよー!」


グッと右手をグーにして言うあかねに、マッサージの手を止めて紅茶を飲む翠はフムフム、と頷く。


「それにしても翠がクランかぁ、思った以上に入ったの早かったね?」


「なりゆきで入らせてもらったんだけどね」


フェアリーロードっていうの、そう言った翠にレモンソーダを口に含んでいたあかねが吹き出した。


「うわっ! きたな!! なにしてるの!?」


「ちょっ……フェアリーロード!? まじで!?」


「へ? う、うん」


上半身を乗り出して聞いてきたあかねに翠は体を背もたれにつけて離れる。


「えーー!? フェアリーロードっていったらトップランカーの集まりだよ!? メンバー増やさない少人数って昔っから有名なんだよ!??」


みみみみみみどり! 大丈夫なの!?

あんな凄い人たちの中に入って!!

翠まだ初心者だよ!?

ついていけてる!? 大丈夫!?

タクさんかっこいい!? あぁぁぁん!

推しはタクさんだよー!!




あれ? あかねの暴走が途中からおかしい事にかわったよ?

しかも、タクさんっていったよ? まじか。

とりあえず、レモンソーダのストローを口に突っ込んで黙らせる事にした。


「むぐぅ!!!」


「ほーら、美味しいレモンソーダだよー」


焦りで喉が渇いていたのか、ゴクゴク飲んで炭酸でむせている。


「大丈夫ー?」


「ストロー突っ込んだの翠のくせにぃ」


「優しさだよ、うれしかろ?」


ニシシと笑って自分のストローをくわえた。


「で、さっきの話だけど初心者なりに頑張ってるよ。必死にぃ」


「そっかぁ、強いクランなら余計に頑張ろってなるよねー、それで聞いてなかったけどジョブなにしてるの?」


「ん? 奏者だよーあかねは?」


「奏者かぁー………………ぶふぁ!!!」


「何回吹き出すのよ、あと顔自重しろ」


残りわずかのジュースも更に吹き出したあかねが崩れた顔を披露していた。


「いやいやいやいや! 奏者!? 地雷職だよ!?」


「気に入ってる」


…………………………はぁぁぁぁぁ

ふっかいため息を吐いたあかねは首をふるふると振った。

既に諦めている。


「楽しい? ゲーム」


「楽しいよ!」


「なら良かった」


翠が楽しいならいっか

そう笑った友達はとっても翠思い。優しいあかねに、翠もニッコリと笑った。

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