クランハウスについて
「お待たせしました」
扉をノックして入ったスイは室内にフェアリーロードの面々がいるのを確認すると、リィンが手を振っているのに気付き笑顔を浮かべてリィンに近づいた。
隣のあいている椅子を勧められて座ると、セラニーチェは頬杖を突いて呟く。
「あとはクラちゃんだけねー」
「クラーティア、まだ来ないのかな」
「簡単なクエスト受けちゃったから終わらせたらすぐに行くって聞きましたけど……」
「遅いわよねぇ」
見ると確かにクラーティアはいない。
リィンが言う通りクエストが終わってないのだろうか。
「カガリ、どうするー?」
「…………仕方ねぇし、話すか。クラーティアはまぁ、知ってるしな」
一瞬迷った様子を見せたが、カガリは頭をカリカリと掻いてから話し出した。
事実、元からいるフェアリーロードのメンバーは大体の話を知っている。
集められて話す内容を知らないのはスイ、そしてファーレンだけであった。
カガリは2人のために詳しく話しだす。
「初めにお前達が来た時にクランハウスの事を話したの覚えてるか?」
カガリの質問にファーレンは頷き、スイは曖昧な反応を示す。
実はクランハウスをいまいちわかっていなかった。
なのであの時の話も理解はしていなかった。
「すみません、クランハウスがなんだか……」
「あら、そっかー」
セラニーチェが目を見開いて言う。
そして簡単に説明をしてくれた。
クランメンバーが集まる家を用意できる事、それには金銭が必要である事。
「それでだ、クランハウスなんだが第二の街で良さそうな物件を数カ所見つけた。宿屋で一階は食堂になってる」
「へぇ、食堂かぁ」
「じゃ、料理スキル持ってる人を探さないとですね」
「スイちゃん、料理スキルある? 俺手料理食べた……いってーー!」
いつもの如くタクが鼻息荒く言いグレンに頭を殴られている。
「まぁ、冗談はそれ位で、問題はあなた達ふたりなのよねぇ」
アレイスターが髪をかきあげながら言うと、ファーレンは俺っすか? と自分を指さす。
「第二の街に行くには、初心者の森のボスを倒す必要があるのよー。2人ともまだ倒してないわよねぇ?」
くねくねしながら聞くアレイスターに、スイは頷く。
「まずは、ボス攻略が先だな。あの時のウルフとは比べ物にならない。ちゃんと立ち回らないとお前達のレベルだと死ぬぞ」
グレンが前回の2人の動きを指摘しながら言うと、ファーレンは胸を張って言った。
「俺は大丈夫です! あの時棒立ちしてたこいつとは違いますから! ちゃんと動けます!!」
「……………ファーレン」
「は…………い」
カガリが強い視線で見てることに気付き言葉を詰まらせる
カガリだけでなく、他のクラメンもいい顔をしていない。
「お前は何を思ってここに居るのか俺にはわかんねーよ。だがな、条件に出してる仲良くが出来ないならここに居る資格はねぇからな?」
「……は、い」
カガリの言葉に俯くファーレンを全員が見たあと、スイにも視線を寄せた。
スイは無表情でファーレンを見ていたが、視線に気付きふわっと笑って見せた。
「……まずは、ボスを倒して第二の街に。これをしてもらえるか? もちろん、クランメンバーのフォローはする」
カガリは二人を見て言う。
ファーレンは、何度も頷きスイはリィンに腕を軽く叩かれる。
ニッコリ笑うリィンは、大丈夫ですと優しく言いスイは小さく頷いた。
第二の街へと向かい動く事が決まった時、セラニーチェにクラーティアからチャットが来た。
あら? と呟いたセラニーチェはチャットを繋ぐと会話の最中から表情が険しくなっていく。
それを見たスイ、ファーレン以外のクランメンバーも真剣な表情に変わっていく。
「………………カガリ、出る準備よ。クラーティアちょっと不味いわ」
セラニーチェは立ち上がりカガリに言う。
カガリも立ち上がり全員に視線を向けた。
「来れるヤツら、全員頼む」
カガリの言葉にフェアリーロード全員が動きだした。




