ボス戦
蟻さんとのボス戦を繰り返し、装備を見直しスイ達はボスに挑む事となった。
まだ完全にボス戦を攻略出来たわけでは無いのだが、1度挑戦しようと決めたのだ。
スイによって全員の武器をメンテナンスしてから、龍に挑もうと意気込んだ。
「アイテムOK、武器防具も大丈夫……あとは……」
「スーイ、あなた大丈夫?」
「アレイスターさぁぁん……不安ですぅ」
不安感から何度もアイテムを見るスイ。
それを横から見ていたアレイスターが、流石に声をかけると、泣きそうなスイがいた。
困ったように笑ったアレイスターが、スイの頭を撫でる。
「そんなに気を負わなくても大丈夫よ? 失敗しても、またやり直せばいいんだから。1回で初見のボスを倒せることの方が稀なんだから!」
にっこり笑って言ってくれるアレイスターにウルッ……と目を潤ませた時、リィンが腕を掴んできた。
「大丈夫ですっ! スイさんは私が守りますから!ね!」
片手を握り締めて笑顔で言うリィン。ただ可愛い。
「…………あ、私が守らないと」
別の決意が燃え上がりグダグダしていたスイの背筋が伸びた。
アレイスターの言葉に、庇護欲そそるリィンのコンボに否が応でもヤル気が上がる。
「…………単純ねぇ」
「まあ、それがスイのいい所だけどさ」
クリスティーナとファーレンが呆れたように笑い、その隣ではヨダレを垂らしながら写真を撮るクラーティア。
「ぐっふふふ! リィン! いいですよっ! そのまま胸を押し付けてスイちゃんをメロメロに……いった! 痛いじゃないですかぁ! グレンっ!!」
「仲間内を変な目で見るな」
「こんな良いシーンを撮らないわけないじゃないですかぁ! あっ! あぁぁぁ!! スイとリィンの顔が近いっ!! はぁはぁ!」
「落ち着け」
様々な場所で荒ぶる人達を見ながら、イズナが気になる掲示板を見ていた。
それは、次のステージである第4の街についての掲示板だった。
まだだれも到達していない第4の街について様々な憶測が書かれていた。
以前行われた公式イベント 鬼ごっこに突如侵入してきた勇者らしき人物。
鬼を倒した見た事ない人物は、鬼を連れて帰り姿を消した。
第4の街にいるのでは? と様々な考察が飛び回っているのだが、運営からはなにも話は無い。
だから、余計に憶測が広がっていく。
運営も、わかっていないのが現状なのだが。
さて、スイたちが向かうのは、予定通りの空中庭園。
スイ達にはリィンの自爆が脳裏にこびりついている場所でもある。
イベントは終わり、さすがに腐食した龍は出ないだろうと思ってはいるが、ここの運営だからなぁ……と一抹の不安を覚える。
良し、とポーチにしまい込んだ回復薬をカチャリと鳴らしながら手を握りしめ、やる気を再度呼び起こした。
「ふぅん、ここが空中庭園への入口かぁ」
以前と同じ祠にたどり着いた。
封印の呪符は今回も貼ってあって、前回と同じく祠に龍がいるのだろう。
3枚の呪符が付いていて、しゃがみ込み見ていたカガリが、なるほど……と呟いた。
「……良し、じゃあやるか?」
立ち上がり振り返るカガリが首を動かしゴキッと鳴らした。
「……ゲームでも首が鳴った」
「リアルねぇ」
違う所で関心しているスイと、隣にいるクリスティーナ。
頬に手を当て頷く相変わらずズレた2人に、周りは思わず苦笑する。
フェアリーロードらしいまったりとした空間から、カガリが呪符を取った事によりビリビリと肌を刺すような空気感に変わった。
「くるよ」
空気が重苦しくピリピリとする。
鳥肌がたちザワザワとする感覚に、カガリとタク、デオドールが無意識に笑みを浮かべた。
「…………あら、これはまた随分と楽しそうねぇ」
まったりと話し出したが、現れた巨大な龍に編み込んでいる髪を無意識に触って舌舐りをする。
そんなデオドールに、同じく笑いながら剣を握り締めるタク。
「…………相変わらずの戦闘狂め」
スイの行動が目を引くが、フェアリーロードで断トツの戦闘狂はデオドールである。
力が不足しがちだと最近は特にフワフワしながらもイライラしていた。
前衛なのに火力不足を認識しているのは、デオドール自身が1番わかっているのだ。
だが、火力不足とわかっていてもやっぱり戦闘が好きなデオドール。
巨大な槌を握りしめ今日も、巨大な龍に向かって勇敢に駆け抜ける。
走っていく間に笑みは段々無表情に変わり、足に力を入れて一気に飛び上がった。
「…………っすご!!」
音を指先で奏でながらぶわりと風を含ませた服をはためかせてジャンプしているデオドールを見た。
美しい外見からはとても想像出来ない握りしめた槌からの強力な一撃。
今まで使っていた武器と違うものを使っているから新調したようだが、重さが増えたようで以前よりもスピードが少し遅く、タメに時間が掛かっているようだ。
スピードアップを鳴らすと、デオドールの視線がチラリとスイを捉えた。




