暖かな温泉
ナズナ様暴走回です(˶' ᵕ ' ˶)
微妙! という人は回れ右(゜ロ゜;))((;゜ロ゜)ドキドキ
ベタベタになったスイは、まず体を流したいと1番近い温泉に向かうことにした。
あのイベント以来温泉に来たことがないスイ達。
すなわち、初めての温かい温泉なのである。
「ふあぁぁぁぁぁぁぁ……なにこれ気持ちいい」
「お肌がしっとりモチモチなんだけど!!」
「うわぁぁ、見てくださいよー髪もトュルントュルンですよー! たまりませんねぇー!!」
「あら、効能も書いているのですよー」
「なになに、腰痛肩こり、お肌によく顔も2割増綺麗に……? 顔? 2時間の異性を惑わすフェロモ…………は?」
温泉の近くに置いてある立て看板にはデカデカと効能が書かれていた。
さすがゲーム、オカシイ。
「やっだぁぁぁぁ!! フェロモンですって!! 今のままでも魅力的なのに、これ以上魅了したらクリスティーナたぁぁぁいへぇぇん!! もう、クリスティーナったらこ あ く ま」
「わぁぁぁ!! イズナさんが水没しましたー!!」
「とうとうイズナまでムキムキ女子の餌食に……」
「セラも何を真顔で言ってるんですかー!!」
「あらぁ、このまま死亡判定になっちゃうのかしら? 救出するのですよー」
死亡?! とあわあわしている間、男性風呂でも騒動が起きていた。
「あらぁ、リィンちゃんったらタオルいる?」
「い……一応。外さない方がいいかなって」
「まあ、タクが襲っても困るものねぇ」
「襲わねぇよ?! 襲わ………………うわぁ……女神」
「えっ…………あの、私男ですからね? ぺったんこですから……タクさん?! 目がなんだか……」
手をワキワキとさせているタクに引き攣るリィン。
男とわかっている今、温泉に時間をずらして入らず一緒にと言われて入ったが、乳白色のお湯に浸かると体は見えないので女の子がいるようだ。
タク、血迷う。
「スイちゃんの女神さまぁぁぁ!!」
「スイさんの?! 指定有りなのですか?!」
そうじゃない。違う場所が気になってしまうリィンだったが、フェアリーロードには素晴らしい守護神がいるのだ。
「天誅」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
いつもの如く打ち上げられたタクが星になる。
そんな姿に全員が目を見開いた。
「ナ……ナズナ?!」
「おまっ……ここ男湯だぞ!!」
「大丈夫、水着着用」
「俺らが大丈夫じゃねーんだよ!!」
「異性の裸はモザイク仕様にしてるから気にしない」
「だから!! そうじゃなくて!!」
突然の乱入ナズナに皆が叫んでいるが、実は誰よりも先に来ていたナズナ。
紺色のスクール水着には、大きくナズナと書いてある。
「なんでここにいる、ナズナ」
「アイツら、なんで止めねぇんだよ!」
「…………リィンが心配だったのと、女子風呂覗き撃退要員。因みに、皆からのお願いできてるの。リィン愛されてるね」
「…………ナズナちゃん」
「ぎゅってしとく?」
「裸はちょっと…………」
困ったように笑っているリィンをじっと見るナズナが頷いた。
「………………やっと男だって確信」
「こんな所で確認しないで?!」
バシャン! とお湯を跳ねさせて湯船に浸かるリィンを何度も頷いて見た。
ナズナさん最強。
「ナズナ、大丈夫だった?」
まさかの片割れを男湯にぶち込んだ、常識人の筈のイズナが、一番に声をかける。
「行って正解、リィン危なかった」
「タクですかー? やっぱり」
「うん。タクだった」
欠片も信用されていないタクは、ビクビクと大魔王様ごめんなさい、許してください……と呟いている。
「………………ナズナちゃんったら、なにしたのぉ?」
「いつも通り打ち上げた」
「……………………裸のタクさんを?」
はぁはぁしながら聞くクリスティーナに頷いてある物を見せた。
「モザイクだし……これ、足に着けたから安心」
「…………………………」
「ナズナ、あんた…………」
「これは………………」
女性陣沈黙、男性陣は誰もが視線を外した。
ナズナが持っているのは足技を多用する職業の愛用品で、脛から足首までのガードをするものだ。
勿論攻撃力プラスになるので今までよりも威力が高い。
「…………なんでそんなの持ってるのよ」
「興味が出たから……?」
イズナは無言でセラニーチェの服を握ったが、諦めなさい……と言われて終わった。
どんどん残酷度を跳ね上げていく撲殺天使ナズナ様にドン引きしている間に、リィンが小走りで来てナズナを抱きしめた。
「ありがとうね」
「いい、大丈夫」
さっきしなかったナズナの希望を叶えたリィンは、すぐにスイ達にもお礼を言った。
「みんなも、気にかけてくれてありが………………と…………」
「いいんですよー、リィンの無事が一番なんだからぁぁぁぁ? リィン? どうしました? 顔が赤いですよ?」
クラーティアが顔を赤らめモジモジしているリィンを見ていると、リィンは意を決したように顔を上げる。
「クラーティアさん! な……なんで今日、こんなに可愛らしいんです?!」
「……………………はい?」
「えっ?! 何かしました? 目が離せないのですけど!」
「あら? あらあら? 腐女子は見てるだけでいいのですよ??」
慌てている間にも、他の場所で騒ぎが起きている。
「あらぁ、ちょっとセラちゃんこっちみて……髪を上げてるのも新鮮でいいわね……可愛いわよ」
「ちょっ…………アレイスター近い!! あんた無駄に顔綺麗なんだから無闇に近付かないで!」
「はぁぁぁぁぁぁ、気付かなかったよ人魚の尾って綺麗なんだね」
「わかってるじゃなぁーい!! でもねファーレン女の子の1番は筋肉よ! 忘れちゃだーめ!」
「お前のこの細い腕のどこにあんなでかい武器持って振り回せんだ……俺が守ってやるから、次からは前にでるなよ……」
「あらあらあらあら、お姉さん困っちゃうから正気に戻ってカガリくん」
「…………可愛いな、同じ顔なのにお前に惹かれる……」
「グレンが……壊れた……」
「手を掴むなぁぁ!!」
「イズナは免疫ないからフェロモンダダ漏れで近付いたらだめ」
グレンがイズナを口説いている時、スイはふと思い出したのが温泉の効能だった。
「………………2時間、男性を惑わすフェロモン?」
「なにそれ?」
「お風呂の効能にあったの」
「スイは? 誰も来ないけど」
首を傾げるスイとナズナ。
ナズナは男風呂にいたからわかるが、スイは同じ効能があるはす。
「もしかして、目が合った人とかかな?」
「確かに、みんな目を見てる」
ガンガン攻める珍しい男性陣の姿を眺める2人。倒れているタクはスイが今フリーだからチャンスだったのにね……とナズナが呟いた。
ナズナは途中からスクショをして、スイは今日は空中庭園は無理かなぁ、と体育座りをして晴れ渡る青空を見上げた。




