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Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
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畔の魔女の採取クエスト 2


「……………………ス……スイさん」


「なにか、渡るものを作るかしないとダメね…………」


「だ……大丈夫か……?」


「…………はい」


 空を飛び湖を渡ろうとしたスイは3分の1を過ぎた頃に動かしていた翼が急に止まった。

 自分の意思と関係なく止まり驚いたスイは、そのまま垂直に落ち水飛沫をあげる。

 フリーフォールのような感覚が有り胃がせり上がるようなあのなんともいえない気持ちにひっ! と声が上がった。


 ザッパァァァァァン!!!


「スイ!」


「スイさん!!」


 仲間の声を水中で聞いていたスイは、思ったより深い水の中に沈み一瞬何が起きたかわからず空気が口からガポリ……と抜けていった。

 嫌にリアルなこのゲームの中で堕天使なスイは勿論息は出来ない。

 んぐっ……となくなった空気に余計パニックになりそうになった時、腕を掴まれる。

 暴れて逃げようとしたスイの顔を固定するようにつかまれ、目を見開くと端正な顔立ちの男性が真っ直ぐスイを見ている。物凄く至近距離で。


「!?」


 ふぅ……と吹き込まれた息に極限まで目を見開いていたスイは、すぐに離れた男性に腕を捕まれ上に浮上していった。


「っ………………はぁはぁ……スイ、大丈夫か?」


「……はっ……グ…………ググググレンさ……」


 水から顔を上げたスイは自分を支えるグレンを赤い顔をして見つめた。


「いいいいいいいま……」


「…………回復薬を直ぐに飲んだ方がいいな」


「へぁ!?」


 慌てて体力ゲージを見ると瀕死になっていた。

 グレンは水に落ち窒息状態で一気にゲージが赤くなった事に気付き、ゲージを見ながら空気を口から直接入れた。

 そうすると、物凄い勢いで減っていたゲージがピタリと止まったようだ。

 グレンが来なければスイは死に戻りをしていた。


 グレンに引っ張って貰いながら戻ると、濡れ鼠になったスイがべチャリ……と上がってきた。

 大好きハーヴェイ特性のポーションを飲み一気に回復したスイは……グレンへと話しかけようとした時、ショートケーキを持つクリスティーナが現れる。


「………………しぬ……まさかの溺れるとは……」


「……スイ……ほら、これ食べて」

 

「うぅ……ありがとうクリスティーナ……っぐぇっふぉ!! 何食べさせた!?」


「………………ちっ」


「舌打ちすんな!!」


 口の中が不味いでいっぱいになっているスイにリィンがジュースを差し出すと、それを受け取って一気飲みした。


「どうする、どうやって進む?」


 イズナがカガリを見上げて聞くと、ぐるりと湖の周りを歩いていたナズナが何かを見つめていた。

 目を細めてじっと見ていると、その隣にアレイスターも立つ。


「…………………………何か書いてるわよね」


 目を細めて見ていると名前らしきものが書いてある。


「…………畔の……魔女……カ……ンテ……ラ? かしら……こちらにわたる場合は…………あぁ、なるほど」


 ナズナの手を引きアレイスターが戻ると、スイが土下座をしていた。


「………………ん!? スイちゃん何してるの!?」


「死んでお詫び申し上げます…………」


「いや、助けた意味がないだろう」


 土下座をして地面に額を擦り付けるスイの肩を掴んで立たせようとするグレン。


「私めの為に激しくハレンチな行為をさせて申し訳なく……」


「ハレンチとか今どき言うのか……いや、スイ気にしていない、と言うか俺こそ悪かった」


「いえいえいえ……死に戻りギリギリで助けられたのは私ですから……」


「あらぁ……カオスだわ……そしてリィンちゃんが干からびそうなくらいに泣いていてタクが真っ白になってる……」


「タク悪い事した? お仕置?」


「違うみたいよ?」


「…………違うんだ」


 はぁ……とナズナはタクを見ながら息を吐き出した。

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