表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷  作者: くみたろう
第3章 温泉と食料と疫病
219/268

閑話・ベータ版7


「…………うまい」


「そうかい! それは良かった!」


 食卓に出されたシチューを口にして頭を下げながら言うと、ノーマは腰に手を当てて胸を反らして言った。

 あの解体の衝撃から抜け出せないカガリは、あのうさぎがこうなったのか……とスプーンに掬われた肉を見て頭を横に振った。


「肉の引取りは結構いい値がつくからそのうち余ったら売りに出したらいいよ」


「……売れるのか」


「勿論だよ! シチューに肉はかかせないからね!」


 ウィンクしながら教えてくれたノーマに礼を言って完食する。


「あたしやここらの店では出来ないけど、食べるだけで体力なんかを上げる効果があることもあるらしいよ」


「! バフ効果付きか!」


「バフ? て体力上がったりする事かい?」


「そう!……そうか、この世界は食べ物にバフが着くのか。……必ず食べないといけないわけじゃないから完全な嗜好品だな。でもそれでバフがつくなら買わない訳には行かないし……いや、魔法でどこまでバフが着くのか、食べ物のバフとの差を見てからだな」


 まだゲーム序盤だし、お金は大切だから節約は今後も必要だろうし……と、考えながら食べていたらあっという間に完食していた。


「……ご馳走様でした」


「はい、お粗末さま」


 ステータスが変わるわけでも無いのに、何故か体が温かい感じがした。






 クエストクリアで、報酬にもらったのはシチュー1杯。

 だが、それ以上の情報という報酬を貰ったのでカガリは満足だった。



 

「んー、始めたばかりのゲームは情報集めだけでも楽しいな!」


 最初に運営から通達されていたベータ版の利用期間は2ヶ月、行ける範囲は第2の街まで。

 通常のゲームよりもかなり短縮された内容で1ヶ月で次の町に行けるようにしてあるとか。

 システムの確認とゲームに触れてもらうのが趣旨としたベータ参加らしい。


 かなりゲームクオリティは高いが、ソロプレイにはかなりの無理ゲー。

 カガリはゲーム好きで始めたソロは最初から戦闘が厳しくて、無理だと辞める奴でそうだな、と思っていた。


 実際に1週間後にはソロプレイヤーや、仲間を作ったがうまくコミュニケーションをとれない、敵を倒せないなどで辞めるプレイヤーもいた。

 それを見て運営はなるべく本ゲーム配信の時に良くなるようにと調整を繰り返す。


 ゲームを楽しめている人達はかなりの満足度を叩き出し、有名になりつつあるプレイヤーもチラホラと出てきたのは始まって3週間くらいがたった頃だった。


「いいわよねぇ、私も有名になってみたいわ」


 ゲーム内で配信されるファンタジア通信。

 まるで新聞の様に各所に置かれているそれは、ゲーム内での最新情報が書かれていた。

 最近ではクランの作成可能に、ピックアッププレイヤー等情報が目白押しだ。

 

「僕だって有名になってゲーム内で知らない人はいない! って言われたいよ」


「それは俺がなる!!」


「あんたには無理よ」


 最初に組んだパーティ、その5人でカガリ達はまだ行動をしていた。

 戦闘で予め情報を集め動きを決めてある程度の敵は倒せる。だが、そこで止まってしまっていた。

 これはカガリ達だけではなく、どのパーティーにも言えるのだが。


 敵が強くなるにつれてプレイヤーのレベルやスキルが追いつかなくなってきたのだ。

 ベータ版ということもあり課金は出来ない。

 強くなる為には今はただレベルやスキルを上げる以外に無いと思われている。

 しかし、その中でもピックアッププレイヤーとして頭1つ以上、他よりも強いプレイヤーがいた。


 一体どうやって強くなっているのか。

 それが今のベータプレイヤーの関心を引いていた。

 クラン毎に強いひともいれば、少数ではあるがソロプレイヤーもピックアップに出ている。


「……こいつは化け物だな」


 カガリもそのピックアッププレイヤー達に感心を示す1人。

 特にある1人を気になっていた。

 ソロプレイヤーのクリスティーナ、料理人。

 1面を飾るほどのプレイヤーであるクリスティーナは赤い髪を三つ編みに結んだムキムキ女子である。

 戦闘職でないのにソロでフィールドを動き周り食材採取をしていると聞く。


「(……もしかして、前に聞いた料理のバフか……?)」


 表に出てない情報である為、不用意に言えないカガリ。

 検証をしたいと思っていたのでどうにか接触したい所ではあるのだが、如何せん既に第2の町に行っているとの情報が飛び交っていた。

 まだ第1の町にいるカガリには会える気がしない。


「……どうする? こんな所で黙ってても変わらないけど」


 カガリが言うと全員の視線が集まる。


「……なんかクエストしますか?」


 ハラが言うと全員が立ち上がった。


「まぁ、することないしね。なんかしましょーか」


「あまり汚れないのがいいな」


 流石に3週間が経ったらそれぞれの個性も出てくる。

 ミリタリーナはイライラしがちだが、それは足並みが合わないから。

 楽しくゲームをしたいのにわがまま言ったり、戦闘も作戦通りに出来ないことの方が多い。

 しかし、個人で強くなる気があるのか無いのか、皆酒場で話しているだけなのもイライラしてしまう。


 シュウはその見た目を生かして他のプレイヤーに声をかけているようだ。

 そして潔癖では無いと言っているが異常に汚れるのを嫌がる。

 髪から服から、全てにおいて。


 皆が皆変な方向に我が強くてなかなか上手く纏まらない。

 性格的なものもだが、1番はその戦闘についてカガリは頭を悩ませていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 化物料理人が出て来たwww 料理も化物だから凄いw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ